第1章 総則

第2章 商標登録及び商標登録出願

第3章 審査

第4章 商標権

第4章の2 登録異議の申立て

第5章 審判

第6章 再審及び訴訟

第7章 防護標章

第7章の2 マドリッド協定の議定書に基づく特例

第8章 雑則

第9章 罰則

第1章 総則

第1条 (目的)

この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。

あわせて需要者の利益を保護する

第2条 (定義等)

この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
1. 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
2. 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)

知覚性、視認性

前項第2号の役務には、小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれるものとする。

この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。
1. 商品又は商品の包装に標章を付する行為
2. 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
3. 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
4. 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
5. 役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
6. 役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
7. 電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によつては認識することができない方法をいう。以下同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為
8. 商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為
9. 音の標章にあつては、前各号に掲げるもののほか、商品の譲渡若しくは引渡し又は役務の提供のために音の標章を発する行為
10. 前各号に掲げるもののほか、政令で定める行為

前項において、商品その他の物に標章を付することには、次の各号に掲げる各標章については、それぞれ当該各号に掲げることが含まれるものとする。

この法律で「登録商標」とは、商標登録を受けている商標をいう。

この法律において、商品に類似するものの範囲には役務が含まれることがあるものとし、役務に類似するものの範囲には商品が含まれることがあるものとする。

この法律において、輸入する行為には、外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為が含まれるものとする。

第2章 商標登録及び商標登録出願

第3条 (商標登録の要件)

自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。
1. その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
2. その商品又は役務について慣用されている商標
3. その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。第26条[商標権の効力が及ばない範囲]第1項第2号及び第3号において同じ。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
4. ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
5. 極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標
6. 前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標

前項第3号から第5号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。

第4条 (商標登録を受けることができない商標)

次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
1. 国旗、菊花紋章、勲章、褒章又は外国の国旗と同一又は類似の商標
2. パリ条約(1900年12月14日にブラッセルで、1911年6月2日にワシントンで、1925年11月6日にヘーグで、1934年6月2日にロンドンで、1958年10月31日にリスボンで及び1967年7月14日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する1883年3月20日のパリ条約をいう。以下同じ。)の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国の国の紋章その他の記章(パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国の国旗を除く。)であつて、経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標
3. 国際連合その他の国際機関(ロにおいて「国際機関」という。)を表示する標章であつて経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標(次に掲げるものを除く。)
イ 自己の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似するものであつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
ロ 国際機関の略称を表示する標章と同一又は類似の標章からなる商標であつて、その国際機関と関係があるとの誤認を生ずるおそれがない商品又は役務について使用をするもの
4. 赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律(昭和22年法律第159号)第1条の標章若しくは名称又は武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成16年法律第112号)第158条第1項の特殊標章と同一又は類似の商標
5. 日本国又はパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の政府又は地方公共団体の監督用又は証明用の印章又は記号のうち経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の標章を有する商標であつて、その印章又は記号が用いられている商品又は役務と同一又は類似の商品又は役務について使用をするもの
6. 国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標
7. 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標
8. 他人の肖像若しくは他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)又は他人の氏名を含む商標であつて、政令で定める要件に該当しないもの
9. 政府若しくは地方公共団体(以下「政府等」という。)が開設する博覧会若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であつて特許庁長官の定める基準に適合するもの又は外国でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会の賞と同一又は類似の標章を有する商標(その賞を受けた者が商標の1部としてその標章の使用をするものを除く。)
10. 他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
11. 当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務第6条[1商標1出願]第1項(第68条[商標に関する規定の準用]第1項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をいう。以下同じ。)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
12. 他人の登録防護標章(防護標章登録を受けている標章をいう。以下同じ。)と同一の商標であつて、その防護標章登録に係る指定商品又は指定役務について使用をするもの
13. 削除
14. 種苗法(平成10年法律第83号)第18条第1項の規定による品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似の商標であつて、その品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
15. 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第10号から前号までに掲げるものを除く。)
16. 商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標
17. 日本国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地のうち特許庁長官が指定するものを表示する標章又は世界貿易機関の加盟国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地を表示する標章のうち当該加盟国において当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒若しくは蒸留酒について使用をすることが禁止されているものを有する商標であつて、当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒又は蒸留酒について使用をするもの
18. 商品等(商品若しくは商品の包装又は役務をいう。第26条[商標権の効力が及ばない範囲]第1項第5号において同じ。)が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標
19. 他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)

国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを行つている者が前項第6号の商標について商標登録出願をするときは、同号の規定は、適用しない。

第1項第8号、第10号、第15号、第17号又は第19号に該当する商標であつても、商標登録出願の時に当該各号に該当しないものについては、これらの規定は、適用しない。

第1項第11号に該当する商標であつても、その商標登録出願人が、商標登録を受けることについて同号の他人の承諾を得ており、かつ、当該商標の使用をする商品又は役務と同号の他人の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の業務に係る商品又は役務との間で混同を生ずるおそれがないものについては、同号の規定は、適用しない。

第5条 (商標登録出願)

商標登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書に必要な書面を添付して特許庁長官に提出しなければならない。
1. 商標登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 商標登録を受けようとする商標
3. 指定商品又は指定役務並びに第6条[1商標1出願]第2項の政令で定める商品及び役務の区分

次に掲げる商標について商標登録を受けようとするときは、その旨を願書に記載しなければならない。
1. 商標に係る文字、図形、記号、立体的形状又は色彩が変化するものであつて、その変化の前後にわたるその文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合からなる商標
2. 立体的形状(文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合を含む。)からなる商標(前号に掲げるものを除く。)
3. 色彩のみからなる商標(第1号に掲げるものを除く。)
4. 音からなる商標
5. 前各号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める商標

商標登録を受けようとする商標について、特許庁長官の指定する文字(以下「標準文字」という。)のみによつて商標登録を受けようとするときは、その旨を願書に記載しなければならない。

経済産業省令で定める商標について商標登録を受けようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、その商標の詳細な説明を願書に記載し、又は経済産業省令で定める物件を願書に添付しなければならない。

前項の記載及び物件は、商標登録を受けようとする商標を特定するものでなければならない。

商標登録を受けようとする商標を記載した部分のうち商標登録を受けようとする商標を記載する欄の色彩と同一の色彩である部分は、その商標の1部でないものとみなす。 ただし、色彩を付すべき範囲を明らかにしてその欄の色彩と同一の色彩を付すべき旨を表示した部分については、この限りでない。

第5条の2 (出願の日の認定等)

特許庁長官は、商標登録出願が次の各号の1に該当する場合を除き、商標登録出願に係る願書を提出した日を商標登録出願の日として認定しなければならない。
1. 商標登録を受けようとする旨の表示が明確でないと認められるとき。
2. 商標登録出願人の氏名若しくは名称の記載がなく、又はその記載が商標登録出願人を特定できる程度に明確でないと認められるとき。
3. 願書に商標登録を受けようとする商標の記載がないとき。
4. 指定商品又は指定役務の記載がないとき。

特許庁長官は、商標登録出願が前項各号の1に該当するときは、商標登録を受けようとする者に対し、相当の期間を指定して、商標登録出願について補完をすべきことを命じなければならない。

商標登録出願について補完をするには、手続の補完に係る書面(以下「手続補完書」という。)を提出しなければならない。

特許庁長官は、第2項の規定により商標登録出願について補完をすべきことを命じた者が同項の規定により指定された期間内にその補完をしたときは、手続補完書を提出した日を商標登録出願の日として認定しなければならない。

特許庁長官は、第2項の規定により商標登録出願について補完をすべきことを命じた者が同項の規定により指定された期間内にその補完をしないときは、当該商標登録出願を却下することができる。

第6条 (1商標1出願)

商標登録出願は、商標の使用をする1又は2以上の商品又は役務を指定して、商標ごとにしなければならない。

前項の指定は、政令で定める商品及び役務の区分に従つてしなければならない。

前項の商品及び役務の区分は、商品又は役務の類似の範囲を定めるものではない。

第7条 (団体商標)

一般社団法人その他の社団(法人格を有しないもの及び会社を除く。)若しくは事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除く。)又はこれらに相当する外国の法人は、その構成員に使用をさせる商標について、団体商標の商標登録を受けることができる。

前項の場合における第3条[商標登録の要件]第1項の規定の適用については、同項中「自己の」とあるのは、「自己又はその構成員の」とする。

第1項の規定により団体商標の商標登録を受けようとする者は、第5条[商標登録出願]第1項の商標登録出願において、商標登録出願人が第1項に規定する法人であることを証明する書面を特許庁長官に提出しなければならない。

第7条の2 (地域団体商標)

事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除き、当該特別の法律において、正当な理由がないのに、構成員たる資格を有する者の加入を拒み、又はその加入につき現在の構成員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない旨の定めのあるものに限る。)、商工会、商工会議所若しくは特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人又はこれらに相当する外国の法人(以下「組合等」という。)は、その構成員に使用をさせる商標であつて、次の各号のいずれかに該当するものについて、その商標が使用をされた結果自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、第3条[商標登録の要件]の規定(同条第1項第1号又は第2号に係る場合を除く。)にかかわらず、地域団体商標の商標登録を受けることができる。
1. 地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標
2. 地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして慣用されている名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標
3. 地域の名称及び自己若しくはその構成員の業務に係る商品若しくは役務の普通名称又はこれらを表示するものとして慣用されている名称を普通に用いられる方法で表示する文字並びに商品の産地又は役務の提供の場所を表示する際に付される文字として慣用されている文字であつて、普通に用いられる方法で表示するもののみからなる商標

前項において「地域の名称」とは、自己若しくはその構成員が商標登録出願前から当該出願に係る商標の使用をしている商品の産地若しくは役務の提供の場所その他これらに準ずる程度に当該商品若しくは当該役務と密接な関連性を有すると認められる地域の名称又はその略称をいう。

第1項の場合における第3条[商標登録の要件]第1項(第1号及び第2号に係る部分に限る。)の規定の適用については、同項中「自己の」とあるのは、「自己又はその構成員の」とする。

第1項の規定により地域団体商標の商標登録を受けようとする者は、第5条[商標登録出願]第1項の商標登録出願において、商標登録出願人が組合等であることを証明する書面及びその商標登録出願に係る商標が第2項に規定する地域の名称を含むものであることを証明するため必要な書類を特許庁長官に提出しなければならない。

第8条 (先願)

同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なつた日に2以上の商標登録出願があつたときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。 ただし、後の日に商標登録出願をした商標登録出願人(以下この項において「後出願人」という。)が、商標登録を受けることについて先の日に商標登録出願をした商標登録出願人(当該商標登録出願人が複数あるときは、当該複数の商標登録出願人。以下この項及び第6項において「先出願人」という。)の承諾を得ており、かつ、当該後出願人がその商標の使用をする商品又は役務と当該先出願人がその商標の使用をする商品又は役務(当該商標が商標登録された場合においては、その登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の業務に係る商品又は役務)との間で混同を生ずるおそれがないときは、当該後出願人もその商標について商標登録を受けることができる。

同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について同日に2以上の商標登録出願があつたときは、商標登録出願人の協議により定めた1の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。 ただし、全ての商標登録出願人が、商標登録を受けることについて相互に承諾しており、かつ、それぞれの商標の使用をする商品又は役務との間で混同を生ずるおそれがないときは、当該全ての商標登録出願人がそれぞれの商標について商標登録を受けることができる。

商標登録出願が放棄され取り下げられ若しくは却下されたとき、又は商標登録出願について査定若しくは審決が確定したときは、その商標登録出願は、前2項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。

特許庁長官は、第2項本文の場合は、相当の期間を指定して、同項本文の協議をしてその結果を届け出るべき旨を商標登録出願人に命じなければならない。

第2項本文の協議が成立せず、又は前項の規定により指定した期間内に同項の規定による届出がないとき(第2項ただし書に規定するときを除く。)は、特許庁長官が行う公正な方法によるくじにより定めた順位における最先の商標登録出願人のみが商標登録を受けることができる。 ただし、当該くじにより定めた順位における後順位の商標登録出願人(以下この項において「後順位出願人」という。)が、商標登録を受けることについて先順位の商標登録出願人(当該商標登録出願人が複数あるときは、当該複数の商標登録出願人。以下この項及び次項において「先順位出願人」という。)の承諾を得ており、かつ、当該後順位出願人がその商標の使用をする商品又は役務と当該先順位出願人がその商標の使用をする商品又は役務(当該商標が商標登録された場合においては、その登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の業務に係る商品又は役務)との間で混同を生ずるおそれがないときは、当該後順位出願人もその商標について商標登録を受けることができる。

第1項ただし書又は前項ただし書の場合において、先出願人又は先順位出願人の商標が商標登録され、その登録商標に係る商標権が移転されたときは、その登録商標に係る商標権者を先出願人又は先順位出願人とみなして、これらの規定を適用する。

第9条 (出願時の特例)

政府等が開設する博覧会若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であつて特許庁長官の定める基準に適合するものに、パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の領域内でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会に、又はパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国のいずれにも該当しない国の領域内でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会であつて特許庁長官の定める基準に適合するものに出品した商品又は出展した役務について使用をした商標について、その商標の使用をした商品を出品した者又は役務を出展した者がその出品又は出展の日から6月以内にその商品又は役務を指定商品又は指定役務として商標登録出願をしたときは、その商標登録出願は、その出品又は出展の時にしたものとみなす。

商標登録出願に係る商標について前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を商標登録出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、その商標登録出願に係る商標及び商品又は役務が同項に規定する商標及び商品又は役務であることを証明する書面(次項及び第4項において「証明書」という。)を商標登録出願の日から30日以内に特許庁長官に提出しなければならない。

証明書を提出する者が前項に規定する期間内に証明書を提出することができないときは、その期間が経過した後であつても、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、その証明書を特許庁長官に提出することができる。

証明書を提出する者がその責めに帰することができない理由により、前項の規定により証明書を提出することができる期間内に証明書を提出することができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその証明書を特許庁長官に提出することができる。

第9条の2 (パリ条約の例による優先権主張)

パリ条約の同盟国でされた商標第2条[定義等]第1項第2号に規定する商標に相当するものに限る。)の登録の出願に基づく優先権は、同項第1号に規定する商標に相当する商標の登録の出願に基づく優先権についてパリ条約第4条に定める例により、これを主張することができる。

第9条の3

次の表の上欄に掲げる者が同表の下欄に掲げる国においてした出願に基づく優先権は、パリ条約第4条の規定の例により、商標登録出願について、これを主張することができる。

第9条の4 (指定商品等又は商標登録を受けようとする商標の補正と要旨変更)

願書に記載した指定商品若しくは指定役務又は商標登録を受けようとする商標についてした補正がこれらの要旨を変更するものと商標権の設定の登録があつた後に認められたときは、その商標登録出願は、その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす。

第10条 (商標登録出願の分割)

商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合であつて、かつ、当該商標登録出願について第76条[手数料]第2項の規定により納付すべき手数料を納付している場合に限り、2以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の1部を1又は2以上の新たな商標登録出願とすることができる。

前項の場合は、新たな商標登録出願は、もとの商標登録出願の時にしたものとみなす。 ただし、第9条[出願時の特例]第2項並びに第13条[特許法の準用]第1項において準用する特許法(昭和34年法律第121号)第43条第1項及び第2項(これらの規定を第13条[特許法の準用]第1項において準用する同法第43条の3第3項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、この限りでない。

第1項に規定する新たな商標登録出願をする場合には、もとの商標登録出願について提出された書面又は書類第13条[特許法の準用]第1項において準用する特許法第43条第2項(第13条[特許法の準用]第1項において準用する同法第43条の3第3項において準用する場合を含む。)の規定により提出された場合には、電磁的方法により提供されたものを含む。)であつて、新たな商標登録出願について第9条[出願時の特例]第2項又は第13条[特許法の準用]第1項において準用する同法第43条第1項及び第2項(これらの規定を第13条[特許法の準用]第1項において準用する同法第43条の3第3項において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな商標登録出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。

第11条 (出願の変更)

商標登録出願人は、団体商標の商標登録出願を通常の商標登録出願(団体商標の商標登録出願及び地域団体商標の商標登録出願以外の商標登録出願をいう。以下同じ。)又は地域団体商標の商標登録出願に変更することができる。

商標登録出願人は、地域団体商標の商標登録出願を通常の商標登録出願又は団体商標の商標登録出願に変更することができる。

商標登録出願人は、通常の商標登録出願を団体商標の商標登録出願又は地域団体商標の商標登録出願に変更することができる。

前3項の規定による商標登録出願の変更は、商標登録出願について査定又は審決が確定した後は、することができない。

第1項から第3項までの規定による商標登録出願の変更があつたときは、もとの商標登録出願は、取り下げたものとみなす。

前条第2項及び第3項の規定は、第1項から第3項までの規定による商標登録出願の変更の場合に準用する。

第12条

防護標章登録出願人は、その防護標章登録出願を商標登録出願に変更することができる。

前項の規定による出願の変更は、防護標章登録出願について査定又は審決が確定した後は、することができない。

第10条[商標登録出願の分割]第2項及び第3項並びに前条第5項の規定は、第1項の規定による出願の変更の場合に準用する。

第12条の2 (出願公開)

特許庁長官は、商標登録出願があつたときは、出願公開をしなければならない。

出願公開は、次に掲げる事項を商標公報に掲載することにより行う。 ただし、第3号及び第4号に掲げる事項については、当該事項を商標公報に掲載することが公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると特許庁長官が認めるときは、この限りでない。
1. 商標登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 商標登録出願の番号及び年月日
3. 願書に記載した商標第5条[商標登録出願]第3項に規定する場合にあつては標準文字により現したもの。以下同じ。)
4. 指定商品又は指定役務
5. 前各号に掲げるもののほか、必要な事項

第13条 (特許法の準用)

特許法第43条第1項から第4項まで及び第7項から第9項まで並びに第43条の3[決定]第2項及び第3項の規定は、商標登録出願に準用する。 この場合において、同法第43条第1項中「経済産業省令で定める期間内」とあるのは「商標登録出願と同時」と、同条第2項中「明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲及び図面」とあるのは「商標登録を受けようとする商標及び指定商品又は指定役務を記載したもの」と、「次の各号に掲げる日のうち最先の日から1年4月」とあるのは「商標登録出願の日から3月」と、同条第7項中「前項の規定による通知を受けた者は」とあるのは「優先権証明書類等を提出する者は、第2項に規定する期間内に優先権証明書類等を提出することができないときは、その期間が経過した後であつても」と、「優先権証明書類等又は第5項に規定する書面」とあるのは「経済産業省令で定めるところにより、優先権証明書類等」と、同条第8項中「第6項の規定による通知を受けた者」とあるのは「優先権証明書類等を提出する者」と、「前項に規定する期間内に優先権証明書類等又は第5項に規定する書面」とあるのは「前項の経済産業省令で定める期間内に優先権証明書類等」と、「、前項」とあるのは「、同項」と、「その優先権証明書類等又は書面」とあるのは「その優先権証明書類等」と、同条第9項中「優先権証明書類等又は第5項に規定する書面」とあるのは「優先権証明書類等」と、同法第43条の3第2項中「又は世界貿易機関の加盟国」とあるのは「、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国」と、「若しくは世界貿易機関の加盟国の国民」とあるのは「、世界貿易機関の加盟国の国民若しくは商標法条約の締約国の国民」と、同条第3項中「前2条」とあるのは「第43条[割増登録料]」と、「前2項」とあるのは「前項」と読み替えるものとする。

特許法第33条第1項から第3項まで及び第34条[質権]第4項から第7項まで(特許を受ける権利)の規定は、商標登録出願により生じた権利に準用する。

第13条の2 (設定の登録前の金銭的請求権等)

商標登録出願人は、商標登録出願をした後に当該出願に係る内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後商標権の設定の登録前に当該出願に係る指定商品又は指定役務について当該出願に係る商標の使用をした者に対し、当該使用により生じた業務上の損失に相当する額の金銭の支払を請求することができる。

前項の規定による請求権は、商標権の設定の登録があつた後でなければ、行使することができない。

第1項の規定による請求権の行使は、商標権の行使を妨げない。

商標登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、商標登録出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したとき、第43条の3[決定]第2項の取消決定が確定したとき、又は第46条の2第1項ただし書の場合を除き商標登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、第1項の請求権は、初めから生じなかつたものとみなす。

第27条[登録商標等の範囲]第37条[侵害とみなす行為]第39条[特許法の準用]において準用する特許法第104条の3第1項及び第2項、第105条、第105条の2の12、第105条の4から第105条の6まで及び第106条、第56条[特許法の準用]第1項において準用する同法第168条第3項から第6項まで並びに民法(明治29年法律第89号)第719条及び第724条(不法行為)の規定は、第1項の規定による請求権を行使する場合に準用する。 この場合において、当該請求権を有する者が商標権の設定の登録前に当該商標登録出願に係る商標の使用の事実及びその使用をした者を知つたときは、同条第1号中「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時」とあるのは、「商標権の設定の登録の日」と読み替えるものとする。

第3章 審査

第14条 (審査官による審査)

特許庁長官は、審査官に商標登録出願を審査させなければならない。

第15条 (拒絶の査定)

審査官は、商標登録出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その商標登録出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
1. その商標登録出願に係る商標が第3条[商標登録の要件]第4条[商標登録を受けることができない商標]第1項、第7条の2[地域団体商標]第1項、第8条[先願]第2項若しくは第5項、第51条第2項第52条の2第2項において準用する場合を含む。)第53条第2項又は第77条[特許法の準用]第3項において準用する特許法第25条の規定により商標登録をすることができないものであるとき。
2. その商標登録出願に係る商標が条約の規定により商標登録をすることができないものであるとき。
3. その商標登録出願が第5条[商標登録出願]第5項又は第6条[1商標1出願]第1項若しくは第2項に規定する要件を満たしていないとき。

第15条の2 (拒絶理由の通知)

審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、商標登録出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。

第15条の3

審査官は、商標登録出願に係る商標が、当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の商標又はこれに類似する商標であつて、その商標に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものであるときは、商標登録出願人に対し、当該他人の商標が商標登録されることにより当該商標登録出願が第15条[拒絶の査定]第1号に該当することとなる旨を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えることができる。

前項の通知が既にされている場合であつて、当該他人の商標が商標登録されたときは、前条の通知をすることを要しない。

第16条 (商標登録の査定)

審査官は、政令で定める期間内に商標登録出願について拒絶の理由を発見しないときは、商標登録をすべき旨の査定をしなければならない。

第16条の2 (補正の却下)

願書に記載した指定商品若しくは指定役務又は商標登録を受けようとする商標についてした補正がこれらの要旨を変更するものであるときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。

前項の規定による却下の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。

第1項の規定による却下の決定があつたときは、決定の謄本の送達があつた日から3月を経過するまでは、当該商標登録出願について査定をしてはならない。

審査官は、商標登録出願人が第1項の規定による却下の決定に対し第45条[補正の却下の決定に対する審判]第1項の審判を請求したときは、その審判の審決が確定するまでその商標登録出願の審査を中止しなければならない。

第17条 (特許法の準用)

特許法第47条第2項(審査官の資格)、第48条(審査官の除斥)第52条(査定の方式)及び第54条(訴訟との関係)の規定は、商標登録出願の審査に準用する。

第17条の2 (意匠法の準用)

意匠法(昭和34年法律第125号)第17条の3(補正後の意匠についての新出願)の規定は、第16条の2[補正の却下]第1項の規定により、決定をもつて補正が却下された場合に準用する。

意匠法第17条の4の規定は、前項又は第55条の2[拒絶査定に対する審判における特則]第3項第60条の2[審判の規定の準用]第2項において準用する場合を含む。)において準用する同法第17条の3第1項に規定する期間を延長する場合に準用する。

第4章 商標権

第18条 (商標権の設定の登録)

商標権は、設定の登録により発生する。

第40条[登録料]第1項の規定による登録料又は第41条の2[登録料の分割納付]第1項の規定により商標登録をすべき旨の査定若しくは審決の謄本の送達があつた日から30日以内に納付すべき登録料の納付があつたときは、商標権の設定の登録をする。

前項の登録があつたときは、次に掲げる事項を商標公報に掲載しなければならない。
1. 商標権者の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 商標登録出願の番号及び年月日
3. 願書に記載した商標
4. 指定商品又は指定役務
5. 登録番号及び設定の登録の年月日
6. 前各号に掲げるもののほか、必要な事項

特許庁長官は、前項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した商標公報(以下「商標掲載公報」という。)の発行の日から2月間、特許庁において出願書類及びその附属物件を公衆の縦覧に供しなければならない。 ただし、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類又は物件及び公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある書類又は物件であつて、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるものについては、この限りでない。

特許庁長官は、個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがある書類又は物件であつて、前項ただし書の規定により特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるもの以外のものを縦覧に供しようとするときは、当該書類又は物件を提出した者に対し、その旨及びその理由を通知しなければならない。

第19条 (存続期間)

商標権の存続期間は、設定の登録の日から10年をもつて終了する。

商標権の存続期間は、商標権者の更新登録の申請により更新することができる。

商標権の存続期間を更新した旨の登録があつたときは、存続期間は、その満了の時に更新されるものとする。

第20条 (存続期間の更新登録の申請)

商標権の存続期間の更新登録の申請をする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を特許庁長官に提出しなければならない。
1. 申請人の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 商標登録の登録番号
3. 前2号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項

更新登録の申請は、商標権の存続期間の満了前6月から満了の日までの間にしなければならない。

商標権者は、前項に規定する期間内に更新登録の申請をすることができないときは、その期間が経過した後であつても、経済産業省令で定める期間内にその申請をすることができる。

商標権者が前項の規定により更新登録の申請をすることができる期間内に、その申請をしないときは、その商標権は、存続期間の満了の時にさかのぼつて消滅したものとみなす。

第21条 (商標権の回復)

前条第4項の規定により消滅したものとみなされた商標権の原商標権者は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、その申請をすることができる。 ただし、故意に、同条第3項の規定により更新登録の申請をすることができる期間内にその申請をしなかつたと認められる場合は、この限りでない。

前項の規定による更新登録の申請があつたときは、存続期間は、その満了の時にさかのぼつて更新されたものとみなす。

第22条 (回復した商標権の効力の制限)

前条第2項の規定により回復した商標権の効力は、第20条[存続期間の更新登録の申請]第3項に規定する更新登録の申請をすることができる期間の経過後前条第1項の申請により商標権の存続期間を更新した旨の登録がされる前における次に掲げる行為には、及ばない。
1. 当該指定商品又は指定役務についての当該登録商標の使用
2. 第37条[侵害とみなす行為]各号に掲げる行為

第23条 (存続期間の更新の登録)

第40条[登録料]第2項の規定による登録料又は第41条の2[登録料の分割納付]第7項の規定により更新登録の申請と同時に納付すべき登録料の納付があつたときは、商標権の存続期間を更新した旨の登録をする。

第20条[存続期間の更新登録の申請]第3項又は第21条[商標権の回復]第1項の規定により更新登録の申請をする場合は、前項の規定にかかわらず、第40条[登録料]第2項の規定による登録料及び第43条[割増登録料]第1項の規定による割増登録料又は第41条の2[登録料の分割納付]第7項の規定により更新登録の申請と同時に納付すべき登録料及び第43条[割増登録料]第2項の規定による割増登録料の納付があつたときに、商標権の存続期間を更新した旨の登録をする。

前2項の登録があつたときは、次に掲げる事項を商標公報に掲載しなければならない。
1. 商標権者の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 登録番号及び更新登録の年月日
3. 前2号に掲げるもののほか、必要な事項

第24条 (商標権の分割)

商標権の分割は、その指定商品又は指定役務が2以上あるときは、指定商品又は指定役務ごとにすることができる。

前項の分割は、商標権の消滅後においても、第46条[商標登録の無効の審判]第3項の審判の請求があつたときは、その事件が審判、再審又は訴訟に係属している場合に限り、することができる。

第24条の2 (商標権の移転)

商標権の移転は、その指定商品又は指定役務が2以上あるときは、指定商品又は指定役務ごとに分割してすることができる。

国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関又は公益に関する団体であつて営利を目的としないものの商標登録出願であつて、第4条[商標登録を受けることができない商標]第2項に規定するものに係る商標権は、譲渡することができない。

公益に関する事業であつて営利を目的としないものを行つている者の商標登録出願であつて、第4条[商標登録を受けることができない商標]第2項に規定するものに係る商標権は、その事業とともにする場合を除き、移転することができない。

地域団体商標に係る商標権は、譲渡することができない。

第24条の3 (団体商標に係る商標権の移転)

団体商標に係る商標権が移転されたときは、次項に規定する場合を除き、その商標権は、通常の商標権に変更されたものとみなす。

団体商標に係る商標権を団体商標に係る商標権として移転しようとするときは、その旨を記載した書面及び第7条[団体商標]第3項に規定する書面を移転の登録の申請と同時に特許庁長官に提出しなければならない。

第24条の4 (商標権の移転等に係る混同防止表示請求)

次に掲げる事由により、同一の商品若しくは役務について使用をする類似の登録商標又は類似の商品若しくは役務について使用をする同一若しくは類似の登録商標に係る商標権が異なつた商標権者に属することとなつた場合において、その1の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の指定商品又は指定役務についての登録商標の使用により他の登録商標に係る商標権者又は専用使用権者の業務上の利益(当該他の登録商標の使用をしている指定商品又は指定役務に係るものに限る。)が害されるおそれのあるときは、当該他の登録商標に係る商標権者又は専用使用権者は、当該1の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者に対し、当該使用について、その者の業務に係る商品又は役務と自己の業務に係る商品又は役務との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。
1. 第4条[商標登録を受けることができない商標]第4項の規定により商標登録がされたこと。
2. 第8条[先願]第1項ただし書、第2項ただし書又は第5項ただし書の規定により商標登録がされたこと。
3. 商標登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日以後に商標登録出願により生じた権利が承継されたこと。
4. 商標権が移転されたこと。

第25条 (商標権の効力)

商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。 ただし、その商標権について専用使用権を設定したときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。

第26条 (商標権の効力が及ばない範囲)

商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の1部となつているものを含む。)には、及ばない。
1. 自己の肖像又は自己の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を普通に用いられる方法で表示する商標
2. 当該指定商品若しくはこれに類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又は当該指定商品に類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する商標
3. 当該指定役務若しくはこれに類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又は当該指定役務に類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する商標
4. 当該指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について慣用されている商標
5. 商品等が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標
6. 前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標

前項第1号の規定は、商標権の設定の登録があつた後、不正競争の目的で、自己の肖像又は自己の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を用いた場合は、適用しない。

商標権の効力は、次に掲げる行為には、及ばない。 ただし、その行為が不正競争の目的でされない場合に限る。
1. 特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(平成26年法律第84号。以下この項において「特定農林水産物等名称保護法」という。)第3条[商標登録の要件]第1項(特定農林水産物等名称保護法第30条において読み替えて適用する場合を含む。次号及び第3号において同じ。)の規定により特定農林水産物等名称保護法第6条の登録に係る特定農林水産物等名称保護法第2条第2項に規定する特定農林水産物等(当該登録に係る特定農林水産物等を主な原料又は材料として製造され、又は加工された同条第1項に規定する農林水産物等を含む。次号及び第3号において「登録に係る特定農林水産物等」という。)又はその包装に同条第3項に規定する地理的表示(次号及び第3号において「地理的表示」という。)を付する行為
2. 特定農林水産物等名称保護法第3条第1項の規定により登録に係る特定農林水産物等又はその包装に地理的表示を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為
3. 特定農林水産物等名称保護法第3条第1項の規定により登録に係る特定農林水産物等に関する広告、価格表若しくは取引書類に地理的表示を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に地理的表示を付して電磁的方法により提供する行為

第27条 (登録商標等の範囲)

登録商標の範囲は、願書に記載した商標に基づいて定めなければならない。

指定商品又は指定役務の範囲は、願書の記載に基づいて定めなければならない。

第1項の場合においては、第5条[商標登録出願]第4項の記載及び物件を考慮して、願書に記載した商標の記載の意義を解釈するものとする。

第28条

商標権の効力については、特許庁に対し、判定を求めることができる。

特許庁長官は、前項の規定による求があつたときは、3名の審判官を指定して、その判定をさせなければならない。

特許法第71条第3項及び第4項の規定は、第1項の判定に準用する。

第28条の2

特許庁長官は、裁判所から商標権の効力について鑑定の嘱託があつたときは、3名の審判官を指定して、その鑑定をさせなければならない。

特許法第71条の2第2項の規定は、前項の鑑定の嘱託に準用する。

第29条 (他人の特許権等との関係)

商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は、指定商品又は指定役務についての登録商標の使用がその使用の態様によりその商標登録出願の日前の出願に係る他人の特許権、実用新案権若しくは意匠権又はその商標登録出願の日前に生じた他人の著作権若しくは著作隣接権と抵触するときは、指定商品又は指定役務のうち抵触する部分についてその態様により登録商標の使用をすることができない。

第30条 (専用使用権)

商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができる。 ただし、第4条[商標登録を受けることができない商標]第2項に規定する商標登録出願に係る商標権及び地域団体商標に係る商標権については、この限りでない。

専用使用権者は、設定行為で定めた範囲内において、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。

専用使用権は、商標権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。

特許法第77条第4項及び第5項(質権の設定等)、第97条第2項(放棄)並びに第98条第1項第2号及び第2項(登録の効果)の規定は、専用使用権に準用する。

第31条 (通常使用権)

商標権者は、その商標権について他人に通常使用権を許諾することができる。

通常使用権者は、設定行為で定めた範囲内において、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を有する。

通常使用権は、商標権者(専用使用権についての通常使用権にあつては、商標権者及び専用使用権者)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。

通常使用権は、その登録をしたときは、その商標権若しくは専用使用権又はその商標権についての専用使用権をその後に取得した者に対しても、その効力を生ずる。

通常使用権の移転、変更、消滅又は処分の制限は、登録しなければ、第3者に対抗することができない。

特許法第73条第1項(共有)、第94条第2項(質権の設定)及び第97条第3項(放棄)の規定は、通常使用権に準用する。

第31条の2 (団体構成員等の権利)

団体商標に係る商標権を有する第7条[団体商標]第1項に規定する法人の構成員(以下「団体構成員」という。)又は地域団体商標に係る商標権を有する組合等の構成員(以下「地域団体構成員」という。)は、当該法人又は当該組合等の定めるところにより、指定商品又は指定役務について団体商標又は地域団体商標に係る登録商標の使用をする権利を有する。 ただし、その商標権(団体商標に係る商標権に限る。)について専用使用権が設定されたときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。

前項本文の権利は、移転することができない。

団体商標又は地域団体商標に係る登録商標についての第33条[無効審判の請求登録前の使用による商標の使用をする権利]第1項第3号の規定の適用については、同号中「又はその商標権若しくは専用使用権についての第31条[通常使用権]第4項の効力を有する通常使用権を有する者」とあるのは、「若しくはその商標権若しくは専用使用権についての第31条[通常使用権]第4項の効力を有する通常使用権を有する者又はその商標の使用をする権利を有する団体構成員若しくは地域団体構成員」とする。

第32条 (先使用による商標の使用をする権利)

他人の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた結果、その商標登録出願の際第9条の4[指定商品等又は商標登録を受けようとする商標の補正と要旨変更]の規定により、又は第17条の2[意匠法の準用]第1項若しくは第55条の2[拒絶査定に対する審判における特則]第3項(第60条の2[審判の規定の準用]第2項において準用する場合を含む。)において準用する意匠法第17条の3第1項の規定により、その商標登録出願が手続補正書を提出した時にしたものとみなされたときは、もとの商標登録出願の際又は手続補正書を提出した際)現にその商標が自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その者は、継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。 当該業務を承継した者についても、同様とする。

当該商標権者又は専用使用権者は、前項の規定により商標の使用をする権利を有する者に対し、その者の業務に係る商品又は役務と自己の業務に係る商品又は役務との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。

第32条の2

他人の地域団体商標の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた者は、継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。 当該業務を承継した者についても、同様とする。

当該商標権者は、前項の規定により商標の使用をする権利を有する者に対し、その者の業務に係る商品又は役務と自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。

第33条 (無効審判の請求登録前の使用による商標の使用をする権利)

次の各号のいずれかに該当する者が第46条[商標登録の無効の審判]第1項の審判の請求の登録前に商標登録が同項各号のいずれかに該当することを知らないで日本国内において指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について当該登録商標又はこれに類似する商標の使用をし、その商標が自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたときは、その者は、継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。 当該業務を承継した者についても、同様とする。
1. 同一又は類似の指定商品又は指定役務について使用をする同一又は類似の商標についての2以上の商標登録のうち、その1を無効にした場合における原商標権者
2. 商標登録を無効にして同一又は類似の指定商品又は指定役務について使用をする同一又は類似の商標について正当権利者に商標登録をした場合における原商標権者
3. 前2号に掲げる場合において、第46条[商標登録の無効の審判]第1項の審判の請求の登録の際現にその無効にした商標登録に係る商標権についての専用使用権又はその商標権若しくは専用使用権についての第31条[通常使用権]第4項の効力を有する通常使用権を有する者

当該商標権者又は専用使用権者は、前項の規定により商標の使用をする権利を有する者から相当の対価を受ける権利を有する。

第32条[先使用による商標の使用をする権利]第2項の規定は、第1項の場合に準用する。

第33条の2 (特許権等の存続期間満了後の商標の使用をする権利)

商標登録出願の日前又はこれと同日の特許出願に係る特許権がその商標登録出願に係る商標権と抵触する場合において、その特許権の存続期間が満了したときは、その原特許権者は、原特許権の範囲内において、その商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその登録商標又はこれに類似する商標の使用をする権利を有する。 ただし、その使用が不正競争の目的でされない場合に限る。

第32条[先使用による商標の使用をする権利]第2項の規定は、前項の場合に準用する。

前2項の規定は、商標登録出願の日前又はこれと同日の出願に係る実用新案権又は意匠権がその商標登録出願に係る商標権と抵触する場合において、その実用新案権又は意匠権の存続期間が満了したときに準用する。

第33条の3

商標登録出願の日前又はこれと同日の特許出願に係る特許権がその商標登録出願に係る商標権と抵触する場合において、その特許権の存続期間が満了したときは、その満了の際現にその特許権についての専用実施権又はその特許権若しくは専用実施権についての通常実施権を有する者は、原権利の範囲内において、その商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその登録商標又はこれに類似する商標の使用をする権利を有する。 ただし、その使用が不正競争の目的でされない場合に限る。

前2項の規定は、商標登録出願の日前又はこれと同日の出願に係る実用新案権又は意匠権がその商標登録出願に係る商標権と抵触する場合において、その実用新案権又は意匠権の存続期間が満了したときに準用する。

第34条 (質権)

商標権、専用使用権又は通常使用権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定めをした場合を除き、当該指定商品又は指定役務について当該登録商標の使用をすることができない。

通常使用権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅又は処分の制限は、登録しなければ、第3者に対抗することができない。

特許法第96条(物上代位)の規定は、商標権、専用使用権又は通常使用権を目的とする質権に準用する。

特許法第98条第1項第3号及び第2項(登録の効果)の規定は、商標権又は専用使用権を目的とする質権に準用する。

第34条の2 (商標権の放棄)

商標権者は、専用使用権者、質権者又は通常使用権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その商標権を放棄することができる。

第35条 (特許法の準用)

特許法第73条(共有)第76条[手数料](相続人がない場合の特許権の消滅)並びに第98条第1項第1号及び第2項(登録の効果)の規定は、商標権に準用する。 この場合において、同号中「移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)」とあるのは、「分割、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)」と読み替えるものとする。

第36条 (差止請求権)

商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

商標権者又は専用使用権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。

第37条 (侵害とみなす行為)

次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
1. 指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用
2. 指定商品又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品であつて、その商品又はその商品の包装に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを譲渡、引渡し又は輸出のために所持する行為
3. 指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供するために所持し、又は輸入する行為
4. 指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供させるために譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持し、若しくは輸入する行為
5. 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をするために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を所持する行為
6. 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持する行為
7. 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をし、又は使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造し、又は輸入する行為
8. 登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造するためにのみ用いる物を業として製造し、譲渡し、引き渡し、又は輸入する行為

第38条 (損害の額の推定等)

商標権者又は専用使用権者が故意又は過失により自己の商標権又は専用使用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した商品を譲渡したときは、次の各号に掲げる額の合計額を、商標権者又は専用使用権者が受けた損害の額とすることができる。
1. 商標権者又は専用使用権者がその侵害の行為がなければ販売することができた商品の単位数量当たりの利益の額に、自己の商標権又は専用使用権を侵害した者が譲渡した商品の数量(次号において「譲渡数量」という。)のうち当該商標権者又は専用使用権者の使用の能力に応じた数量(同号において「使用相応数量」という。)を超えない部分(その全部又は1部に相当する数量を当該商標権者又は専用使用権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量(同号において「特定数量」という。)を控除した数量)を乗じて得た額
2. 譲渡数量のうち使用相応数量を超える数量又は特定数量がある場合(商標権者又は専用使用権者が、当該商標権者の商標権についての専用使用権の設定若しくは通常使用権の許諾又は当該専用使用権者の専用使用権についての通常使用権の許諾をし得たと認められない場合を除く。)におけるこれらの数量に応じた当該商標権又は専用使用権に係る登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額

商標権者又は専用使用権者が故意又は過失により自己の商標権又は専用使用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、商標権者又は専用使用権者が受けた損害の額と推定する。

商標権者又は専用使用権者は、故意又は過失により自己の商標権又は専用使用権を侵害した者に対し、その登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。

裁判所は、第1項第2号及び前項に規定する登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額を認定するに当たつては、商標権者又は専用使用権者が、自己の商標権又は専用使用権に係る登録商標の使用の対価について、当該商標権又は専用使用権の侵害があつたことを前提として当該商標権又は専用使用権を侵害した者との間で合意をするとしたならば、当該商標権者又は専用使用権者が得ることとなるその対価を考慮することができる。

商標権者又は専用使用権者が故意又は過失により自己の商標権又は専用使用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その侵害が指定商品又は指定役務についての登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。第50条[商標登録の取消しの審判]において同じ。)の使用によるものであるときは、その商標権の取得及び維持に通常要する費用に相当する額を、商標権者又は専用使用権者が受けた損害の額とすることができる。

第3項及び前項の規定は、これらの規定に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。 この場合において、商標権又は専用使用権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。

第38条の2 (主張の制限)

商標権若しくは専用使用権の侵害又は第13条の2[設定の登録前の金銭的請求権等]第1項第68条[商標に関する規定の準用]第1項において準用する場合を含む。)に規定する金銭の支払の請求に係る訴訟の終局判決が確定した後に、次に掲げる審決又は決定が確定したときは、当該訴訟の当事者であつた者は、当該終局判決に対する再審の訴え(当該訴訟を本案とする仮差押命令事件の債権者に対する損害賠償の請求を目的とする訴え並びに当該訴訟を本案とする仮処分命令事件の債権者に対する損害賠償及び不当利得返還の請求を目的とする訴えを含む。)においては、当該審決又は決定が確定したことを主張することができない。
1. 当該商標登録を無効にすべき旨の審決
2. 当該商標登録を取り消すべき旨の決定

第39条 (特許法の準用)

特許法第103条(過失の推定)、第104条の2(具体的態様の明示義務)、第104条の3第1項及び第2項(特許権者等の権利行使の制限)、第105条(書類の提出等)、第105条の2の12から第105条の6まで(損害計算のための鑑定、相当な損害額の認定、秘密保持命令、秘密保持命令の取消し及び訴訟記録の閲覧等の請求の通知等)並びに第106条(信用回復の措置)の規定は、商標権又は専用使用権の侵害に準用する。

第40条 (登録料)

商標権の設定の登録を受ける者は、登録料として、1件ごとに、3万2900円を超えない範囲内で政令で定める額に区分(指定商品又は指定役務が属する第6条[1商標1出願]第2項の政令で定める商品及び役務の区分をいう。以下同じ。)の数を乗じて得た額を納付しなければならない。

商標権の存続期間の更新登録の申請をする者は、登録料として、1件ごとに、4万3600円を超えない範囲内で政令で定める額に区分の数を乗じて得た額を納付しなければならない。

前2項の規定は、国に属する商標権には、適用しない。

第1項又は第2項の登録料は、商標権が国と国以外の者との共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、第1項又は第2項の規定にかかわらず、これらの規定に規定する登録料の金額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。

前項の規定により算定した登録料の金額に10円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。

第1項又は第2項の登録料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。 ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。

第41条 (登録料の納付期限)

前条第1項の規定による登録料は、商標登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から30日以内に納付しなければならない。

特許庁長官は、登録料を納付すべき者の請求により、30日以内を限り、前項に規定する期間を延長することができる。

登録料を納付すべき者は、第1項に規定する期間(前項の規定による期間の延長があつたときは、延長後の期間)内にその登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、その登録料を納付することができる。

登録料を納付すべき者がその責めに帰することができない理由により、前項の規定により登録料を納付することができる期間内にその登録料を納付することができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその登録料を納付することができる。

前条第2項の規定による登録料は、更新登録の申請と同時に納付しなければならない。

第41条の2 (登録料の分割納付)

商標権の設定の登録を受ける者は、第40条[登録料]第1項の規定にかかわらず、登録料を分割して納付することができる。 この場合においては、商標登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から30日以内に、1件ごとに、1万9100円を超えない範囲内で政令で定める額に区分の数を乗じて得た額を納付するとともに、商標権の存続期間の満了前5年までに、1件ごとに、1万9100円を超えない範囲内で政令で定める額に区分の数を乗じて得た額を納付しなければならない。

特許庁長官は、前項の規定により商標登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から30日以内に納付すべき登録料(以下「前期分割登録料」という。)を納付すべき者の請求により、30日以内を限り、同項に規定する期間を延長することができる。

前期分割登録料を納付すべき者は、前期分割登録料を納付すべき期間(前項の規定による期間の延長があつたときは、延長後の期間)内に前期分割登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、前期分割登録料を納付することができる。

前期分割登録料を納付すべき者がその責めに帰することができない理由により、前項の規定により前期分割登録料を納付することができる期間内に前期分割登録料を納付することができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその登録料を納付することができる。

第1項の規定により商標権の存続期間の満了前5年までに納付すべき登録料(以下「後期分割登録料」という。)を納付すべき者は、後期分割登録料を納付すべき期間内に後期分割登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、その期間の経過後6月以内に後期分割登録料を追納することができる。

前項の規定により後期分割登録料を追納することができる期間内に後期分割登録料及び第43条[割増登録料]第3項の規定により納付すべき割増登録料の納付がなかつたときは、その商標権は、存続期間の満了前5年の日に遡つて消滅したものとみなす。

商標権の存続期間の更新登録の申請をする者は、第40条[登録料]第2項の規定にかかわらず、登録料を分割して納付することができる。 この場合においては、更新登録の申請と同時に、1件ごとに、2万5400円を超えない範囲内で政令で定める額に区分の数を乗じて得た額を納付するとともに、商標権の存続期間の満了前5年までに、1件ごとに、2万5400円を超えない範囲内で政令で定める額に区分の数を乗じて得た額を納付しなければならない。

第5項及び第6項の規定は、前項の規定により商標権の存続期間の満了前5年までに納付すべき登録料を追納する場合に準用する。 この場合において、第5項中「第1項」とあるのは、「第7項」と読み替えるものとする。

第40条[登録料]第3項から第5項までの規定は、第1項及び第7項の場合に準用する。

第41条の3 (後期分割登録料等の追納による商標権の回復)

前条第6項の規定により消滅したものとみなされた商標権の原商標権者は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、後期分割登録料及び第43条[割増登録料]第3項の割増登録料を追納することができる。 ただし、故意に、前条第5項の規定により後期分割登録料を追納することができる期間内にその後期分割登録料及び割増登録料を納付しなかつたと認められる場合は、この限りでない。

前項の規定による後期分割登録料及び第43条[割増登録料]第3項の割増登録料の追納があつたときは、その商標権は、存続期間の満了前5年の日の前日の経過の時に遡つて存続していたものとみなす。

前2項の規定は、前条第7項の規定により商標権の存続期間の満了前5年までに納付すべき登録料及び第43条[割増登録料]第3項の割増登録料を追納する場合に準用する。

第41条の4 (後期分割登録料等の追納により回復した商標権の効力の制限)

前条第2項の規定により回復した商標権の効力は、第41条の2[登録料の分割納付]第5項の規定により後期分割登録料を追納することができる期間の経過後前条第2項の規定により商標権が存続していたものとみなされた旨の登録がされる前における次に掲げる行為には、及ばない。
1. 当該指定商品又は指定役務についての当該登録商標の使用
2. 第37条[侵害とみなす行為]各号に掲げる行為

前項の規定は、前条第3項において準用する同条第2項の規定により回復した商標権の効力について準用する。

第41条の5 (利害関係人による登録料の納付)

利害関係人は、納付すべき者の意に反しても、登録料(更新登録の申請と同時に納付すべき登録料を除く。)を納付することができる。

前項の規定により登録料を納付した利害関係人は、納付すべき者が現に利益を受ける限度においてその費用の償還を請求することができる。

第42条 (既納の登録料の返還)

既納の登録料は、次に掲げるものに限り、納付した者の請求により返還する。
1. 過誤納の登録料
2. 第41条の2[登録料の分割納付]第1項又は第7項の規定により商標権の存続期間の満了前5年までに納付すべき登録料(商標権の存続期間の満了前5年までに第43条の3[決定]第2項の取消決定又は商標登録を無効にすべき旨の審決が確定した場合に限る。)

前項の規定による登録料の返還は、同項第1号の登録料については納付した日から1年、同項第2号の登録料については第43条の3[決定]第2項の取消決定又は審決が確定した日から6月を経過した後は、請求することができない。

第1項の規定による登録料の返還を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその請求をすることができる。

第43条 (割増登録料)

第20条[存続期間の更新登録の申請]第3項又は第21条[商標権の回復]第1項の規定により更新登録の申請をする者は、第40条[登録料]第2項の規定により納付すべき登録料のほか、その登録料と同額の割増登録料を納付しなければならない。 ただし、当該更新登録の申請をする者がその責めに帰することができない理由により第20条[存続期間の更新登録の申請]第2項に規定する期間内にその登録料を納付することができないときは、その割増登録料を納付することを要しない。

第41条の2[登録料の分割納付]第7項の場合においては、前項に規定する者は、同条第7項の規定により更新登録の申請と同時に納付すべき登録料のほか、その登録料と同額の割増登録料を納付しなければならない。 ただし、当該者がその責めに帰することができない理由により第20条[存続期間の更新登録の申請]第2項に規定する期間内にその登録料を納付することができないときは、その割増登録料を納付することを要しない。

第41条の2[登録料の分割納付]第5項(同条第8項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の場合においては、商標権者は、同条第1項又は第7項の規定により商標権の存続期間の満了前5年までに納付すべき登録料のほか、その登録料と同額の割増登録料を納付しなければならない。 ただし、当該商標権者がその責めに帰することができない理由により同条第5項に規定する後期分割登録料を納付すべき期間内にその登録料を納付することができないときは、その割増登録料を納付することを要しない。

前3項の割増登録料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。 ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。

第4章の2 登録異議の申立て

第43条の2 (登録異議の申立て)

何人も、商標掲載公報の発行の日から2月以内に限り、特許庁長官に、商標登録が次の各号のいずれかに該当することを理由として登録異議の申立てをすることができる。 この場合において、2以上の指定商品又は指定役務に係る商標登録については、指定商品又は指定役務ごとに登録異議の申立てをすることができる。
1. その商標登録が第3条[商標登録の要件]第4条[商標登録を受けることができない商標]第1項、第7条の2[地域団体商標]第1項、第8条[先願]第1項、第2項若しくは第5項、第51条第2項第52条の2第2項において準用する場合を含む。)第53条第2項又は第77条[特許法の準用]第3項において準用する特許法第25条の規定に違反してされたこと。
2. その商標登録が条約に違反してされたこと。
3. その商標登録が第5条[商標登録出願]第5項に規定する要件を満たしていない商標登録出願に対してされたこと。

第43条の3 (決定)

登録異議の申立てについての審理及び決定は、3人又は5人の審判官の合議体が行う。

審判官は、登録異議の申立てに係る商標登録が前条各号の1に該当すると認めるときは、その商標登録を取り消すべき旨の決定(以下「取消決定」という。)をしなければならない。

取消決定が確定したときは、その商標権は、初めから存在しなかつたものとみなす。

審判官は、登録異議の申立てに係る商標登録が前条各号の1に該当すると認めないときは、その商標登録を維持すべき旨の決定をしなければならない。

前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。

第43条の4 (申立ての方式等)

登録異議の申立てをする者は、次に掲げる事項を記載した登録異議申立書を特許庁長官に提出しなければならない。
1. 登録異議申立人及び代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 登録異議の申立てに係る商標登録の表示
3. 登録異議の申立ての理由及び必要な証拠の表示

前項の規定により提出した登録異議申立書の補正は、その要旨を変更するものであつてはならない。 ただし、第43条の2[登録異議の申立て]に規定する期間の経過後30日を経過するまでに前項第3号に掲げる事項についてする補正については、この限りでない。

特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、前項に規定する期間を延長することができる。

審判長は、登録異議申立書の副本を商標権者に送付しなければならない。

第46条[商標登録の無効の審判]第4項の規定は、登録異議の申立てがあつた場合に準用する。

第43条の5 (審判官の指定等)

第56条[特許法の準用]第1項において準用する特許法第136条第2項及び第137条から第144条までの規定は、第43条の3[決定]第1項の合議体及びこれを構成する審判官に準用する。

第43-5-2条 (審判書記官)

特許庁長官は、各登録異議申立事件について審判書記官を指定しなければならない。

第56条[特許法の準用]第1項において準用する特許法第144条の2第3項から第5項までの規定は、前項の審判書記官に準用する。

第43条の6 (審理の方式等)

登録異議の申立てについての審理は、書面審理による。 ただし、審判長は、商標権者、登録異議申立人若しくは参加人の申立てにより、又は職権で、口頭審理によるものとすることができる。

第56条[特許法の準用]第1項において準用する特許法第145条第3項から第7項まで、第146条及び第147条の規定は、前項ただし書の規定による口頭審理に準用する。

共有に係る商標権の商標権者の1人について、登録異議の申立てについての審理及び決定の手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、共有者全員についてその効力を生ずる。

第43条の7 (参加)

商標権についての権利を有する者その他商標権に関し利害関係を有する者は、登録異議の申立てについての決定があるまでは、商標権者を補助するため、その審理に参加することができる。

第56条[特許法の準用]第1項において準用する特許法第148条第4項及び第5項並びに第149条の規定は、前項の規定による参加人に準用する。

第43条の8 (証拠調べ及び証拠保全)

第56条[特許法の準用]第1項において準用する特許法第150条及び第151条の規定は、登録異議の申立てについての審理における証拠調べ及び証拠保全に準用する。

第43条の9 (職権による審理)

登録異議の申立てについての審理においては、商標権者、登録異議申立人又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。

登録異議の申立てについての審理においては、登録異議の申立てがされていない指定商品又は指定役務については、審理することができない。

第43条の10 (申立ての併合又は分離)

同一の商標権に係る2以上の登録異議の申立てについては、その審理は、特別の事情がある場合を除き、併合するものとする。

前項の規定により審理を併合したときは、更にその審理の分離をすることができる。

第43条の11 (申立ての取下げ)

登録異議の申立ては、次条の規定による通知があつた後は、取り下げることができない。

第56条[特許法の準用]第2項において準用する特許法第155条第3項の規定は、登録異議の申立ての取下げに準用する。

第43条の12 (取消理由の通知)

審判長は、取消決定をしようとするときは、商標権者及び参加人に対し、商標登録の取消しの理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。

第43条の13 (決定の方式)

登録異議の申立てについての決定は、次に掲げる事項を記載した文書をもつて行わなければならない。
1. 登録異議申立事件の番号
2. 商標権者、登録異議申立人及び参加人並びに代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
3. 決定に係る商標登録の表示
4. 決定の結論及び理由
5. 決定の年月日

特許庁長官は、決定があつたときは、決定の謄本を商標権者、登録異議申立人、参加人及び登録異議の申立てについての審理に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。

第43条の14 (決定の確定範囲)

登録異議の申立てについての決定は、登録異議申立事件ごとに確定する。 ただし、指定商品又は指定役務ごとに申し立てられた登録異議の申立てについての決定は、指定商品又は指定役務ごとに確定する。

第43条の15 (審判の規定の準用)

第56条[特許法の準用]第1項において準用する特許法第133条、第133条の2、第134条第4項、第135条、第152条、第168条、第169条第3項から第6項まで及び第170条の規定は、登録異議の申立てについての審理及び決定に準用する。

第43条の3[決定]第5項の規定は、前項において準用する特許法第135条の規定による決定に準用する。

第5章 審判

第44条 (拒絶査定に対する審判)

拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から3月以内に審判を請求することができる。

前項の審判を請求する者がその責めに帰することができない理由により同項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその請求をすることができる。

第45条 (補正の却下の決定に対する審判)

第16条の2[補正の却下]第1項の規定による却下の決定を受けた者は、その決定に不服があるときは、その決定の謄本の送達があつた日から3月以内に審判を請求することができる。 ただし、第17条の2[意匠法の準用]第1項において準用する意匠法第17条の3第1項に規定する新たな商標登録出願をしたときは、この限りでない。

前条第2項の規定は、前項の審判の請求に準用する。

第46条 (商標登録の無効の審判)

商標登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その商標登録を無効にすることについて審判を請求することができる。 この場合において、商標登録に係る指定商品又は指定役務が2以上のものについては、指定商品又は指定役務ごとに請求することができる。
1. その商標登録が第3条[商標登録の要件]第4条[商標登録を受けることができない商標]第1項、第7条の2[地域団体商標]第1項、第8条[先願]第1項、第2項若しくは第5項、第51条第2項第52条の2第2項において準用する場合を含む。)第53条第2項又は第77条[特許法の準用]第3項において準用する特許法第25条の規定に違反してされたとき。
2. その商標登録が条約に違反してされたとき。
3. その商標登録が第5条[商標登録出願]第5項に規定する要件を満たしていない商標登録出願に対してされたとき。
4. その商標登録がその商標登録出願により生じた権利を承継しない者の商標登録出願に対してされたとき。
5. 商標登録がされた後において、その商標権者が第77条[特許法の準用]第3項において準用する特許法第25条の規定により商標権を享有することができない者になつたとき、又はその商標登録が条約に違反することとなつたとき。
6. 商標登録がされた後において、その登録商標が第4条[商標登録を受けることができない商標]第1項第1号から第3号まで、第5号、第7号又は第16号に掲げる商標に該当するものとなつているとき。
7. 地域団体商標の商標登録がされた後において、その商標権者が組合等に該当しなくなつたとき、又はその登録商標が商標権者若しくはその構成員の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているもの若しくは第7条の2[地域団体商標]第1項各号に該当するものでなくなつているとき。

前項の審判は、利害関係人に限り請求することができる。

第1項の審判は、商標権の消滅後においても、請求することができる。

審判長は、第1項の審判の請求があつたときは、その旨を当該商標権についての専用使用権者その他その商標登録に関し登録した権利を有する者に通知しなければならない。

第46条の2

商標登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、商標権は、初めから存在しなかつたものとみなす。 ただし、商標登録が前条第1項第5号から第7号までに該当する場合において、その商標登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、商標権は、その商標登録が同項第5号から第7号までに該当するに至つた時から存在しなかつたものとみなす。

前項ただし書の場合において、商標登録が前条第1項第5号から第7号までに該当するに至つた時を特定できないときは、商標権は、その商標登録を無効にすべき旨の審判の請求の登録の日から存在しなかつたものとみなす。

第47条

商標登録が第3条[商標登録の要件]第4条[商標登録を受けることができない商標]第1項第8号若しくは第11号から第14号まで若しくは第8条[先願]第1項、第2項若しくは第5項の規定に違反してされたとき、商標登録が第4条[商標登録を受けることができない商標]第1項第10号若しくは第17号の規定に違反してされたとき(不正競争の目的で商標登録を受けた場合を除く。)、商標登録が同項第15号の規定に違反してされたとき(不正の目的で商標登録を受けた場合を除く。)又は商標登録が第46条[商標登録の無効の審判]第1項第4号に該当するときは、その商標登録についての同項の審判は、商標権の設定の登録の日から5年を経過した後は、請求することができない。

商標登録が第7条の2[地域団体商標]第1項の規定に違反してされた場合(商標が使用をされた結果商標登録出願人又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものでなかつた場合に限る。)であつて、商標権の設定の登録の日から5年を経過し、かつ、その登録商標が商標権者又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その商標登録についての第46条[商標登録の無効の審判]第1項の審判は、請求することができない。

第48条の49

削除

第50条 (商標登録の取消しの審判)

継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。

前項の審判の請求があつた場合においては、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。 ただし、その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、この限りでない。

第1項の審判の請求前3月からその審判の請求の登録の日までの間に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をした場合であつて、その登録商標の使用がその審判の請求がされることを知つた後であることを請求人が証明したときは、その登録商標の使用は第1項に規定する登録商標の使用に該当しないものとする。 ただし、その登録商標の使用をしたことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、この限りでない。

第51条

商標権者が故意に指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用であつて商品の品質若しくは役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをしたときは、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。

商標権者であつた者は、前項の規定により商標登録を取り消すべき旨の審決が確定した日から5年を経過した後でなければ、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について、その登録商標又はこれに類似する商標についての商標登録を受けることができない。

第52条

前条第1項の審判は、商標権者の同項に規定する商標の使用の事実がなくなつた日から5年を経過した後は、請求することができない。

第52条の2

第24条の4[商標権の移転等に係る混同防止表示請求]各号に掲げる事由により、同一の商品若しくは役務について使用をする類似の登録商標又は類似の商品若しくは役務について使用をする同一若しくは類似の登録商標に係る商標権が異なつた商標権者に属することとなつた場合において、その1の登録商標に係る商標権者が不正競争の目的で指定商品又は指定役務についての登録商標の使用であつて他の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるものをしたときは、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。

第51条第2項及び前条の規定は、前項の審判に準用する。

第53条

専用使用権者又は通常使用権者が指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についての登録商標又はこれに類似する商標の使用であつて商品の品質若しくは役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをしたときは、何人も、当該商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。 ただし、当該商標権者がその事実を知らなかつた場合において、相当の注意をしていたときは、この限りでない。

当該商標権者であつた者又は専用使用権者若しくは通常使用権者であつた者であつて前項に規定する使用をしたものは、同項の規定により商標登録を取り消すべき旨の審決が確定した日から5年を経過した後でなければ、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について、その登録商標又はこれに類似する商標についての商標登録を受けることができない。

第52条の規定は、第1項の審判に準用する。

第53条の2

登録商標がパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。)を有する者の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であつて当該権利に係る商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務を指定商品又は指定役務とするものであり、かつ、その商標登録出願が、正当な理由がないのに、その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないでその代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前1年以内に代理人若しくは代表者であつた者によつてされたものであるときは、その商標に関する権利を有する者は、当該商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。

第53条の3

前条の審判は、商標権の設定の登録の日から5年を経過した後は、請求することができない。

第54条

商標登録を取り消すべき旨の審決が確定したときは、商標権は、その後消滅する。

前項の規定にかかわらず、第50条[商標登録の取消しの審判]第1項の審判により商標登録を取り消すべき旨の審決が確定したときは、商標権は、同項の審判の請求の登録の日に消滅したものとみなす。

第55条

第46条[商標登録の無効の審判]第4項の規定は、第50条[商標登録の取消しの審判]第1項、第51条第1項、第52条の2第1項、第53条第1項又は第53条の2の審判の請求があつた場合に準用する。

第55条の2 (拒絶査定に対する審判における特則)

第15条の2[拒絶理由の通知]及び第15条の3の規定は、第44条[拒絶査定に対する審判]第1項の審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。

第16条[商標登録の査定]の規定は、第44条[拒絶査定に対する審判]第1項の審判の請求を理由があるとする場合に準用する。 ただし、第56条[特許法の準用]第1項において準用する特許法第160条第1項の規定によりさらに審査に付すべき旨の審決をするときは、この限りでない。

第16条の2[補正の却下]及び意匠法第17条の3の規定は、第44条[拒絶査定に対する審判]第1項の審判に準用する。 この場合において、第16条の2[補正の却下]第3項及び同法第17条の3第1項中「3月」とあるのは「30日」と、第16条の2[補正の却下]第4項中「第45条[補正の却下の決定に対する審判]第1項の審判を請求したとき」とあるのは「第63条[審決等に対する訴え]第1項の訴えを提起したとき」と読み替えるものとする。

第55条の3 (審決の確定範囲)

審決は、審判事件ごとに確定する。 ただし、指定商品又は指定役務ごとに請求された第46条[商標登録の無効の審判]第1項の審判の審決は、指定商品又は指定役務ごとに確定する。

第56条 (特許法の準用)

特許法第131条第1項、第131条の2第1項(第2号及び第3号を除く。)、第132条から第133条の2まで、第134条第1項、第3項及び第4項、第135条から第154条まで、第155条第1項及び第2項、第156条第1項、第3項及び第4項、第157条、第158条、第160条第1項及び第2項、第161条、第167条並びに第168条から第170条まで(審決の効果、審判の請求、審判官、審判の手続、訴訟との関係及び審判における費用)の規定は、審判に準用する。 この場合において、同法第131条の2第1項第1号中「特許無効審判以外の審判を請求する場合における前条第1項第3号に掲げる請求の理由」とあるのは「商標法第46条第1項の審判以外の審判を請求する場合における同法第56条第1項において準用する特許法第131条第1項第3号に掲げる請求の理由」と、同法第132条第1項及び第167条中「特許無効審判又は延長登録無効審判」とあり、並びに同法第145条第1項及び第169条第1項中「特許無効審判及び延長登録無効審判」とあるのは「商標法第46条第1項、第50条[商標登録の取消しの審判]第1項、第51条第1項、第52条の2第1項、第53条第1項又は第53条の2の審判」と、同法第156条第1項中「特許無効審判以外の審判においては、事件が」とあるのは「事件が」と、同法第161条中「拒絶査定不服審判」とあり、及び同法第169条第3項中「拒絶査定不服審判及び訂正審判」とあるのは「商標法第44条第1項又は第45条[補正の却下の決定に対する審判]第1項の審判」と読み替えるものとする。

特許法第155条第3項(審判の請求の取下げ)の規定は、第46条[商標登録の無効の審判]第1項の審判に準用する。

第56条の2 (意匠法の準用)

意匠法第51条の規定は、第45条[補正の却下の決定に対する審判]第1項の審判に準用する。

第6章 再審及び訴訟

第57条 (再審の請求)

確定した取消決定及び確定審決に対しては、当事者又は参加人は、再審を請求することができる。

民事訴訟法(平成8年法律第109号)第338条第1項及び第2項並びに第339条(再審の事由)の規定は、前項の再審の請求に準用する。

第58条

審判の請求人及び被請求人が共謀して第3者の権利又は利益を害する目的をもつて審決をさせたときは、その第3者は、その確定審決に対し再審を請求することができる。

前項の再審は、その請求人及び被請求人を共同被請求人として請求しなければならない。

第59条 (再審により回復した商標権の効力の制限)

取り消し、若しくは無効にした商標登録に係る商標権が再審により回復したときは、商標権の効力は、次に掲げる行為には、及ばない。
1. 当該取消決定又は審決が確定した後再審の請求の登録前における当該指定商品又は指定役務についての当該登録商標の善意の使用
2. 当該取消決定又は審決が確定した後再審の請求の登録前に善意にした第37条[侵害とみなす行為]各号に掲げる行為

第60条

取り消し、若しくは無効にした商標登録に係る商標権が再審により回復した場合、又は拒絶をすべき旨の審決があつた商標登録出願について再審により商標権の設定の登録があつた場合において、当該取消決定又は審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に日本国内において当該指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について当該登録商標又はこれに類似する商標の使用をした結果、再審の請求の登録の際現にその商標が自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その者は、継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。 当該業務を承継した者についても、同様とする。

第32条[先使用による商標の使用をする権利]第2項の規定は、前項の場合に準用する。

第60条の2 (審判の規定の準用)

第43条の3[決定]第43条の5[審判官の指定等]から第43条の9[職権による審理]まで、第43条の12[取消理由の通知]から第43条の15[審判の規定の準用]まで、第56条[特許法の準用]第1項において準用する特許法第131条第1項、第131条の2第1項本文、第132条第3項、第154条、第155条第1項並びに第156条第1項、第3項及び第4項並びに第56条[特許法の準用]第2項において準用する同法第155条第3項の規定は、確定した取消決定に対する再審に準用する。

第55条の3[審決の確定範囲]の規定は、第46条[商標登録の無効の審判]第1項、第50条[商標登録の取消しの審判]第1項、第51条第1項、第52条の2第1項、第53条第1項又は第53条の2の審判の確定審決に対する再審に準用する。

第61条 (特許法の準用)

特許法第173条(再審の請求期間)並びに第174条第3項及び第5項(審判の規定等の準用)の規定は、再審に準用する。 この場合において、同条第3項中「第167条から第168条まで」とあるのは「第167条、第168条」と、「特許無効審判又は延長登録無効審判」とあるのは「商標法第46条第1項、第50条[商標登録の取消しの審判]第1項、第51条第1項、第52条の2第1項、第53条第1項又は第53条の2の審判」と読み替えるものとする。

第62条 (意匠法の準用)

意匠法第58条第2項(審判の規定の準用)の規定は、第44条[拒絶査定に対する審判]第1項の審判の確定審決に対する再審に準用する。 この場合において、同法第58条第2項中「第167条の2本文、第168条」とあるのは、「第168条」と読み替えるものとする。

意匠法第58条第3項の規定は、第45条[補正の却下の決定に対する審判]第1項の審判の確定審決に対する再審に準用する。 この場合において、同法第58条第3項中「第167条の2本文、第168条」とあるのは、「第168条」と読み替えるものとする。

第63条 (審決等に対する訴え)

取消決定又は審決に対する訴え、第55条の2[拒絶査定に対する審判における特則]第3項第60条の2[審判の規定の準用]第2項において準用する場合を含む。)において準用する第16条の2[補正の却下]第1項の規定による却下の決定に対する訴え及び登録異議申立書又は審判若しくは再審の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。

特許法第178条第2項から第6項まで(出訴期間等)及び第179条から第182条まで(被告適格、出訴の通知等、審決取消訴訟における特許庁長官の意見、審決又は決定の取消し及び裁判の正本等の送付)の規定は、前項の訴えに準用する。 この場合において、同法第179条中「特許無効審判若しくは延長登録無効審判」とあるのは、「商標法第46条第1項、第50条[商標登録の取消しの審判]第1項、第51条第1項、第52条の2第1項、第53条第1項若しくは第53条の2の審判」と読み替えるものとする。

第7章 防護標章

第64条 (防護標章登録の要件)

商標権者は、商品に係る登録商標が自己の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、その登録商標に係る指定商品及びこれに類似する商品以外の商品又は指定商品に類似する役務以外の役務について他人が登録商標の使用をすることによりその商品又は役務と自己の業務に係る指定商品とが混同を生ずるおそれがあるときは、そのおそれがある商品又は役務について、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる。

商標権者は、役務に係る登録商標が自己の業務に係る指定役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、その登録商標に係る指定役務及びこれに類似する役務以外の役務又は指定役務に類似する商品以外の商品について他人が登録商標の使用をすることによりその役務又は商品と自己の業務に係る指定役務とが混同を生ずるおそれがあるときは、そのおそれがある役務又は商品について、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる。

地域団体商標に係る商標権に係る防護標章登録についての前2項の規定の適用については、これらの規定中「自己の」とあるのは、「自己又はその構成員の」とする。

第65条 (出願の変更)

商標登録出願人は、その商標登録出願を防護標章登録出願に変更することができる。

前項の規定による出願の変更は、商標登録出願について査定又は審決が確定した後は、することができない。

第10条[商標登録出願の分割]第2項及び第3項並びに第11条[出願の変更]第5項の規定は、第1項の規定による出願の変更の場合に準用する。

第65条の2 (防護標章登録に基づく権利の存続期間)

防護標章登録に基づく権利の存続期間は、設定の登録の日から10年をもつて終了する。

防護標章登録に基づく権利の存続期間は、更新登録の出願により更新することができる。 ただし、その登録防護標章が第64条[防護標章登録の要件]の規定により防護標章登録を受けることができるものでなくなつたときは、この限りでない。

第65条の3 (防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録)

防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願をする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
1. 出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 防護標章登録の登録番号
3. 前2号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項

更新登録の出願は、防護標章登録に基づく権利の存続期間の満了前6月から満了の日までの間にしなければならない。

防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願をする者は、前項の規定により更新登録の出願をすることができる期間内にその出願ができなかつたときは、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、その出願をすることができる。 ただし、故意に、同項の規定により更新登録の出願をすることができる期間内にその出願をしなかつたと認められる場合は、この限りでない。

防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願があつたときは、存続期間は、その満了の時(前項の規定による出願があつたときは、その出願の時)に更新されたものとみなす。 ただし、その出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定し、又は防護標章登録に基づく権利の存続期間を更新した旨の登録があつたときは、この限りでない。

第65条の4

審査官は、防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願が次の各号の1に該当するときは、その出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
1. その出願に係る登録防護標章が第64条[防護標章登録の要件]の規定により防護標章登録を受けることができるものでなくなつたとき。
2. その出願をした者が当該防護標章登録に基づく権利を有する者でないとき。

審査官は、防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願について拒絶の理由を発見しないときは、更新登録をすべき旨の査定をしなければならない。

第65条の5

第14条[審査官による審査]及び第15条の2[拒絶理由の通知]並びに特許法第48条(審査官の除斥)及び第52条(査定の方式)の規定は、防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願の審査に準用する。

第65条の6 (防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新の登録)

次条第2項の規定による登録料の納付があつたときは、防護標章登録に基づく権利の存続期間を更新した旨の登録をする。

前項の登録があつたときは、次に掲げる事項を商標公報に掲載しなければならない。
1. 防護標章登録に基づく権利を有する者の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 登録番号及び更新登録の年月日
3. 前2号に掲げるもののほか、必要な事項

第65条の7 (登録料)

防護標章登録に基づく権利の設定の登録を受ける者は、登録料として、1件ごとに、3万2900円を超えない範囲内で政令で定める額に区分の数を乗じて得た額を納付しなければならない。

防護標章登録に基づく権利の存続期間を更新した旨の登録を受ける者は、登録料として、1件ごとに、3万7500円を超えない範囲内で政令で定める額に区分の数を乗じて得た額を納付しなければならない。

第40条[登録料]第3項から第5項までの規定は、前2項の場合に準用する。

第65条の8 (登録料の納付期限)

前条第1項の規定による登録料は、防護標章登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から30日以内に納付しなければならない。

前条第2項の規定による登録料は、防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日(防護標章登録に基づく権利の存続期間の満了前にその送達があつたときは、存続期間の満了の日)から30日以内に納付しなければならない。

特許庁長官は、登録料を納付すべき者の請求により、30日以内を限り、前2項に規定する期間を延長することができる。

登録料を納付すべき者が第1項又は第2項に規定する期間(前項の規定による期間の延長があつたときは、延長後の期間)内にその登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、その登録料を納付することができる。

登録料を納付する者がその責めに帰することができない理由により、前項の規定により登録料を納付することができる期間内にその登録料を納付することができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその登録料を納付することができる。

第65条の9 (利害関係人による登録料の納付)

利害関係人は、納付すべき者の意に反しても、第65条の7[登録料]第1項又は第2項の規定による登録料を納付することができる。

前項の規定により登録料を納付した利害関係人は、納付すべき者が現に利益を受ける限度においてその費用の償還を請求することができる。

第65条の10 (過誤納の登録料の返還)

過誤納に係る第65条の7[登録料]第1項又は第2項の規定による登録料は、納付した者の請求により返還する。

前項の規定による登録料の返還は、納付した日から1年を経過した後は、請求することができない。

第1項の規定による登録料の返還を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその請求をすることができる。

第66条 (防護標章登録に基づく権利の附随性)

防護標章登録に基づく権利は、当該商標権を分割したときは、消滅する。

防護標章登録に基づく権利は、当該商標権を移転したときは、その商標権に従つて移転する。

防護標章登録に基づく権利は、当該商標権が消滅したときは、消滅する。

第20条[存続期間の更新登録の申請]第4項の規定により商標権が消滅したものとみなされた場合において、第21条[商標権の回復]第2項の規定により回復した当該商標権に係る防護標章登録に基づく権利の効力は、第20条[存続期間の更新登録の申請]第3項に規定する更新登録の申請をすることができる期間の経過後第21条[商標権の回復]第1項の申請により商標権の存続期間を更新した旨の登録がされる前における次条各号に掲げる行為には、及ばない。

第41条の2[登録料の分割納付]第6項の規定により商標権が消滅したものとみなされた場合において、第41条の3[後期分割登録料等の追納による商標権の回復]第2項の規定により回復した当該商標権に係る防護標章登録に基づく権利の効力は、第41条の2[登録料の分割納付]第5項の規定により後期分割登録料を追納することができる期間の経過後第41条の3[後期分割登録料等の追納による商標権の回復]第2項の規定により商標権が存続していたものとみなされた旨の登録がされる前における次条各号に掲げる行為には、及ばない。

前項の規定は、第41条の3[後期分割登録料等の追納による商標権の回復]第3項において準用する同条第2項の規定により回復した商標権に係る防護標章登録に基づく権利の効力について準用する。

第67条 (侵害とみなす行為)

次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
1. 指定商品又は指定役務についての登録防護標章の使用
2. 指定商品であつて、その商品又はその商品の包装に登録防護標章を付したものを譲渡、引渡し又は輸出のために所持する行為
3. 指定役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録防護標章を付したものを、これを用いて当該指定役務を提供するために所持し、又は輸入する行為
4. 指定役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録防護標章を付したものを、これを用いて当該指定役務を提供させるために譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持し、若しくは輸入する行為
5. 指定商品又は指定役務について登録防護標章の使用をするために登録防護標章を表示する物を所持する行為
6. 指定商品又は指定役務について登録防護標章の使用をさせるために登録防護標章を表示する物を譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持する行為
7. 指定商品又は指定役務について登録防護標章の使用をし、又は使用をさせるために登録防護標章を表示する物を製造し、又は輸入する行為

第68条 (商標に関する規定の準用)

第5条[商標登録出願]第5条の2[出願の日の認定等]第6条[1商標1出願]第1項及び第2項、第9条の2[パリ条約の例による優先権主張]から第10条[商標登録出願の分割]まで、第12条の2[出願公開]第13条[特許法の準用]第1項並びに第13条の2[設定の登録前の金銭的請求権等]の規定は、防護標章登録出願に準用する。 この場合において、第5条[商標登録出願]第1項中「3 指定商品又は指定役務並びに第6条[1商標1出願]第2項の政令で定める商品及び役務の区分」とあるのは「/3 指定商品又は指定役務並びに第6条[1商標1出願]第2項の政令で定める商品及び役務の区分/4 防護標章登録出願に係る商標登録の登録番号/」と、第5条の2[出願の日の認定等]第1項中「4 指定商品又は指定役務の記載がないとき。」とあるのは「/4 指定商品又は指定役務の記載がないとき。/5 防護標章登録出願に係る商標登録の登録番号の記載がないとき。/」と、第13条の2[設定の登録前の金銭的請求権等]第5項中「第37条[侵害とみなす行為]」とあるのは「第67条[侵害とみなす行為](第1号に係る部分を除く。)」と読み替えるものとする。

第14条[審査官による審査]から第15条の2[拒絶理由の通知]まで及び第16条[商標登録の査定]から第17条の2[意匠法の準用]までの規定は、防護標章登録出願の審査に準用する。 この場合において、第15条[拒絶の査定]第1号中「第3条[商標登録の要件]第4条[商標登録を受けることができない商標]第1項、第7条の2[地域団体商標]第1項、第8条[先願]第2項若しくは第5項、第51条第2項第52条の2第2項において準用する場合を含む。)第53条第2項」とあるのは「第64条[防護標章登録の要件]」と、同条第3号中「第5条[商標登録出願]第5項又は第6条[1商標1出願]第1項若しくは第2項」とあるのは「第6条[1商標1出願]第1項又は第2項」と読み替えるものとする。

第18条[商標権の設定の登録]第26条[商標権の効力が及ばない範囲]から第28条の2まで、第32条[先使用による商標の使用をする権利]から第33条の3まで、第35条[特許法の準用]第38条の2[主張の制限]第39条[特許法の準用]において準用する特許法第104条の3第1項及び第2項並びに第69条[指定商品又は指定役務が2以上の商標権についての特則]の規定は、防護標章登録に基づく権利に準用する。 この場合において、第18条[商標権の設定の登録]第2項中「第40条[登録料]第1項の規定による登録料又は第41条の2[登録料の分割納付]第1項の規定により商標登録をすべき旨の査定若しくは審決の謄本の送達があつた日から30日以内に納付すべき登録料」とあるのは、「第65条の7[登録料]第1項の規定による登録料」と読み替えるものとする。

第43条の2[登録異議の申立て](第3号を除く。)から第45条[補正の却下の決定に対する審判]まで、第46条[商標登録の無効の審判](第1項第3号及び第7号を除く。)第46条の2第53条の2第53条の3第54条第1項及び第55条の2[拒絶査定に対する審判における特則]から第56条の2[意匠法の準用]までの規定は、防護標章登録に係る登録異議の申立て及び審判に準用する。 この場合において、第43条の2[登録異議の申立て]第1号及び第46条[商標登録の無効の審判]第1項第1号中「第3条[商標登録の要件]第4条[商標登録を受けることができない商標]第1項、第7条の2[地域団体商標]第1項、第8条[先願]第1項、第2項若しくは第5項、第51条第2項第52条の2第2項において準用する場合を含む。)第53条第2項」とあるのは「第64条[防護標章登録の要件]」と、同項第6号中「その登録商標が第4条[商標登録を受けることができない商標]第1項第1号から第3号まで、第5号、第7号又は第16号に掲げる商標に該当するものとなつているとき」とあるのは「その商標登録が第64条[防護標章登録の要件]の規定に違反することとなつたとき」と読み替えるものとする。

前章の規定は、防護標章登録に係る再審及び訴訟に準用する。 この場合において、第59条[再審により回復した商標権の効力の制限]第2号中「第37条[侵害とみなす行為]各号」とあるのは「第67条[侵害とみなす行為]第2号から第7号まで」と、第60条中「商標登録に係る商標権」とあるのは「防護標章登録に係る防護標章登録に基づく権利」と、「商標登録出願」とあるのは「防護標章登録出願若しくは防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願」と、「商標権の設定の登録」とあるのは「防護標章登録に基づく権利の設定の登録若しくは防護標章登録に基づく権利の存続期間を更新した旨の登録」と、「又はこれらに類似する商品若しくは役務について当該登録商標又はこれに類似する商標」とあるのは「について当該登録防護標章と同一の商標」と読み替えるものとする。

第7章の2 マドリッド協定の議定書に基づく特例

第68条の2 (国際登録出願)

日本国民又は日本国内に住所若しくは居所(法人にあつては、営業所)を有する外国人であつて標章の国際登録に関するマドリッド協定の1989年6月27日にマドリッドで採択された議定書(以下「議定書」という。)第2条[定義等](1)に規定する国際登録(以下「国際登録」という。)を受けようとする者は、特許庁長官に次の各号のいずれかを基礎とした議定書第2条[定義等](2)に規定する出願(以下「国際登録出願」という。)をしなければならない。 この場合において、経済産業省令で定める要件に該当するときには、2人以上が共同して国際登録出願をすることができる。
1. 特許庁に係属している自己の商標登録出願又は防護標章登録出願(以下「商標登録出願等」という。)
2. 自己の商標登録又は防護標章登録(以下「商標登録等」という。)

国際登録出願をしようとする者は、経済産業省令で定めるところにより外国語で作成した願書及び必要な書面を提出しなければならない。

願書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
1. 国際登録出願に係る商標の保護を求める議定書の締約国の国名
2. 国際登録出願に係る商標の保護を求める商品又は役務並びに第6条[1商標1出願]第2項の政令で定める商品及び役務の区分

国際登録出願に係る商標又は標章について議定書第3条[商標登録の要件](3)の規定の適用を受けようとする者は、その旨及び付した色彩又はその組合せを願書に記載し、かつ、その色彩を付した商標登録出願等に係る商標若しくは標章又は登録商標若しくは登録防護標章の写しを願書に添付しなければならない。

国際登録出願を電磁的方法(政令で定めるものを除く。)によりしようとする者は、実費を勘案して政令で定める額に相当する額を議定書第2条[定義等](1)に規定する国際事務局(以下「国際事務局」という。)に納付しなければならない。

第68条の3

特許庁長官は、国際登録出願の願書及び必要な書面を国際事務局に送付しなければならない。

特許庁長官は前項の場合において、願書の記載事項とその基礎とした商標登録出願等又は商標登録等の記載事項が1致するときは、その旨及び国際登録出願の受理の日を願書に記載しなければならない。

第1項の場合において、特許庁長官は国際事務局に送付した国際登録出願の願書の写しを当該国際登録出願の出願人に対して送付する。

第68条の4 (事後指定)

国際登録の名義人は、経済産業省令で定めるところにより、議定書第3条の3に規定する領域指定(以下「領域指定」という。)であつて国際登録後のもの(以下「事後指定」という。)を特許庁長官にすることができる。

第68条の5 (国際登録の存続期間の更新の申請)

国際登録の名義人は、経済産業省令で定めるところにより、議定書第7条[団体商標](1)に規定する国際登録の存続期間の更新(以下「国際登録の存続期間の更新」という。)の申請を特許庁長官にすることができる。

第68条の6 (国際登録の名義人の変更の記録の請求)

国際登録の名義人又はその譲受人は、経済産業省令で定めるところにより、議定書第9条[出願時の特例]に規定する国際登録の名義人の変更(以下「国際登録の名義人の変更」という。)の記録の請求を特許庁長官にすることができる。

前項に規定する請求は、国際登録において指定された商品若しくは役務ごと又は国際登録が効力を有する締約国ごとにすることができる。

第68条の7 (商標登録出願に関する規定の準用)

第77条[特許法の準用]第2項において準用する特許法第17条第3項(第3号に係る部分に限る。)及び第18条[商標権の設定の登録]第1項の規定は、国際登録出願、事後指定、国際登録の存続期間の更新の申請及び国際登録の名義人の変更の記録の請求に準用する。

第68条の8 (経済産業省令への委任)

第68条の2[国際登録出願]から前条までに定めるもののほか、国際登録出願、事後指定、国際登録の存続期間の更新の申請及び国際登録の名義人の変更の記録の請求に関し議定書及び議定書に基づく規則を実施するため必要な事項の細目は、経済産業省令で定める。

第68条の9 (領域指定による商標登録出願)

日本国を指定する領域指定は、議定書第3条[商標登録の要件](4)に規定する国際登録の日(以下「国際登録の日」という。)にされた商標登録出願とみなす。 ただし、事後指定の場合は、議定書第3条の3(2)の規定により国際登録に係る事後指定が議定書第2条[定義等](1)に規定する国際事務局の登録簿(以下「国際登録簿」という。)に記録された日(以下「事後指定の日」という。)にされた商標登録出願とみなす。

日本国を指定する国際登録に係る国際登録簿における次の表の上欄に掲げる事項は、第5条[商標登録出願]第1項の規定により提出した願書に記載された同表の下欄に掲げる事項とみなす。

第68条の10 (国際商標登録出願の出願時の特例)

前条第1項の規定により商標登録出願とみなされた領域指定(以下この章において「国際商標登録出願」という。)に係る登録商標(以下この条において「国際登録に基づく登録商標」という。)がその商標登録前の登録商標(国際登録に基づく登録商標を除く。以下この条において「国内登録に基づく登録商標」という。)と同一であり、かつ、国際登録に基づく登録商標に係る指定商品又は指定役務が国内登録に基づく登録商標に係る指定商品又は指定役務と重複している場合であつて、国際登録に基づく登録商標に係る商標権者と国内登録に基づく登録商標に係る商標権者が同一であるときは、国際商標登録出願はその重複している範囲については、国内登録に基づく登録商標に係る商標登録出願の日にされていたものとみなす。

第68条の32[国際登録の取消し後の商標登録出願の特例]第3項及び第4項の規定は、前項の国際商標登録出願に準用する。

第68条の11 (出願時の特例)

国際商標登録出願についての第9条[出願時の特例]第2項の規定の適用については、同項中「商標登録出願と同時」とあるのは、「国際商標登録出願の日から30日以内」とする。

第68条の12 (出願の分割の特例)

国際商標登録出願については、第10条[商標登録出願の分割]の規定は、適用しない。

第68条の13 (出願の変更の特例)

国際商標登録出願については、第11条[出願の変更]及び第65条[出願の変更]の規定は、適用しない。

第68条の14 (出願公開に係る商標公報の掲載事項の特例)

国際商標登録出願についての第12条の2[出願公開]第2項の規定の適用については、同項第2号中「商標登録出願の番号及び年月日」とあるのは、「国際登録の番号及び国際登録の日(事後指定に係る国際商標登録出願の場合は事後指定の日)」とする。

第68条の15 (パリ条約等による優先権主張の手続の特例)

国際商標登録出願については、第13条[特許法の準用]第1項において読み替えて準用する特許法第43条第1項から第4項まで及び第7項から第9項までの規定は、適用しない。

国際商標登録出願についての第13条[特許法の準用]第1項において読み替えて準用する特許法第43条の3第3項において準用する同法第43条第1項の規定の適用については、同項中「経済産業省令で定める期間内」とあるのは、「国際商標登録出願の日から30日以内」とする。

第68条の16 (商標登録出願により生じた権利の特例)

国際商標登録出願についての第13条[特許法の準用]第2項において準用する特許法第34条第4項の規定の適用については、同項中「相続その他の一般承継の場合を除き、特許庁長官」とあるのは、「商標法第68条の2第5項に規定する国際事務局」とする。

国際商標登録出願については、第13条[特許法の準用]第2項において準用する特許法第34条第5項から第7項までの規定は、適用しない。

第68条の17 (国際登録の名義人の変更に伴う国際商標登録出願の取扱い)

国際登録の名義人の変更により国際登録において指定された商品又は役務の全部又は1部が分割して移転されたときは、国際商標登録出願は、変更後の名義人についてのそれぞれの商標登録出願になつたものとみなす。

第68条の18 (補正後の商標についての新出願の特例)

国際商標登録出願については、第17条の2[意匠法の準用]第1項又は第55条の2[拒絶査定に対する審判における特則]第3項第60条の2[審判の規定の準用]第2項において準用する場合を含む。)において準用する意匠法第17条の3の規定は、適用しない。

国際商標登録出願については、第17条の2[意匠法の準用]第2項において準用する意匠法第17条の4の規定は、適用しない。

第68-18-2条 (商標登録の査定の方式の特例)

国際商標登録出願についての第17条[特許法の準用]において準用する特許法第52条第2項の規定の適用については、特許庁長官は、査定第16条[商標登録の査定]の規定による商標登録をすべき旨の査定に限る。)に記載されている事項を、経済産業省令で定めるところにより、国際事務局を経由して国際登録の名義人に通知することをもつて、第17条[特許法の準用]において準用する同項の規定による当該査定の謄本の送達に代えることができる。

前項の場合において、同項の規定による通知が国際登録簿に記録された時に、同項に規定する送達があつたものとみなす。

第68条の19 (商標権の設定の登録の特例)

国際商標登録出願についての第18条[商標権の設定の登録]第2項の規定の適用については、同項中「第40条[登録料]第1項の規定による登録料又は第41条の2[登録料の分割納付]第1項の規定により商標登録をすべき旨の査定若しくは審決の謄本の送達があつた日から30日以内に納付すべき登録料の納付があつたときは」とあるのは、「商標登録をすべき旨の査定又は審決があつたときは」とする。

国際商標登録出願についての第18条[商標権の設定の登録]第3項の規定の適用については、同項第2号中「商標登録出願の番号及び年月日」とあるのは「国際登録の番号及び国際登録の日(事後指定に係る国際商標登録出願の場合は事後指定の日)」と、同項第5号中「登録番号及び設定の登録の年月日」とあるのは「国際登録の番号及び設定の登録の年月日」とする。

第68条の20 (国際登録の消滅による効果)

国際商標登録出願は、その基礎とした国際登録が全部又は1部について消滅したときは、その消滅した範囲で指定商品又は指定役務の全部又は1部について取り下げられたものとみなす。

前条第1項の規定により読み替えて適用する第18条[商標権の設定の登録]第2項の規定により設定の登録を受けた商標権(以下「国際登録に基づく商標権」という。)は、その基礎とした国際登録が全部又は1部について消滅したときは、その消滅した範囲で指定商品又は指定役務の全部又は1部について消滅したものとみなす。

前2項の効果は、国際登録簿から当該国際登録が消滅した日から生ずる。

第68条の21 (国際登録に基づく商標権の存続期間)

国際登録に基づく商標権の存続期間は、その国際登録の日(その商標権の設定の登録前に国際登録の存続期間の更新がされているときは、直近の更新の日)から10年をもつて終了する。

国際登録に基づく商標権の存続期間は、国際登録の存続期間の更新により更新することができる。

国際登録の存続期間の更新があつたときは、その国際登録に基づく商標権の存続期間は、その満了の時に更新されるものとする。

国際登録の存続期間の更新がなかつたときは、その国際登録に基づく商標権は、その存続期間の満了の時にさかのぼつて消滅したものとみなす。

第68条の22 (存続期間の更新登録の特例)

国際登録に基づく商標権については、第19条[存続期間]から第22条[回復した商標権の効力の制限]まで並びに第23条[存続期間の更新の登録]第1項及び第2項の規定は、適用しない。

国際登録に基づく商標権についての第23条[存続期間の更新の登録]第3項の規定の適用については、同項中「前2項の登録」とあるのは「国際登録の存続期間の更新」と、同項第2号中「登録番号及び更新登録の年月日」とあるのは「国際登録の番号及び国際登録の存続期間の更新の日」とする。

第68条の23 (商標権の分割の特例)

国際登録に基づく商標権については、第24条[商標権の分割]の規定は、適用しない。

第68条の24 (団体商標に係る商標権の移転の特例)

国際登録に基づく団体商標に係る商標権は、第7条[団体商標]第3項に規定する書面を提出する場合を除き、移転することができない。

国際登録に基づく商標権については、第24条の3[団体商標に係る商標権の移転]の規定は、適用しない。

第68条の25 (商標権の放棄の特例)

国際登録に基づく商標権者は、その商標権を放棄することができる。

国際登録に基づく商標権については、第34条の2[商標権の放棄]の規定は、適用しない。

第68条の26 (商標権の登録の効果の特例)

国際登録に基づく商標権の移転、信託による変更、放棄による消滅又は処分の制限は、登録しなければ、その効力を生じない。

国際登録に基づく商標権については、第35条[特許法の準用]において読み替えて準用する特許法第98条第1項第1号及び第2項の規定は、適用しない。

第68条の27 (商標原簿への登録の特例)

国際登録に基づく商標権についての第71条[商標原簿への登録]第1項第1号の規定の適用については、同号中「商標権の設定、存続期間の更新、分割、移転、変更、消滅、回復又は処分の制限」とあるのは、「商標権の設定、信託による変更又は処分の制限」とする。

国際登録に基づく商標権の存続期間の更新、移転、変更(信託によるものを除く。)又は消滅は、国際登録簿に登録されたところによる。

第68条の28 (手続の補正の特例)

国際商標登録出願については、第15条の2[拒絶理由の通知]第55条の2[拒絶査定に対する審判における特則]第1項(第60条の2[審判の規定の準用]第2項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)又は第15条の3第55条の2[拒絶査定に対する審判における特則]第1項(第60条の2[審判の規定の準用]第2項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定による通知を受けた後は、事件が審査、審判又は再審に係属している場合に限り、願書に記載した指定商品又は指定役務について補正をすることができる。

国際商標登録出願については、第68条の9[領域指定による商標登録出願]第2項の規定により商標の詳細な説明とみなされた事項を除き、第68条の40[手続の補正]の規定は、適用しない。

第68条の29 (指定商品又は指定役務が2以上の商標権についての特則の特例)
第68条の30 (国際登録に基づく商標権の個別手数料)

国際登録に基づく商標権の設定の登録を受けようとする者は、議定書第8条[先願](7)(a)に規定する個別の手数料(以下「個別手数料」という。)として、1件ごとに、6000円を超えない範囲内で政令で定める額に1の区分につき4万7900円を超えない範囲内で政令で定める額を加えた額に相当する額を国際登録前に国際事務局に納付しなければならない。

国際登録に基づく商標権の存続期間の更新をする者は、個別手数料として、1件ごとに、4万3600円を超えない範囲内で政令で定める額に区分の数を乗じて得た額に相当する額を国際事務局に納付しなければならない。

国際商標登録出願及び国際登録に基づく商標権については、第40条[登録料]から第43条[割増登録料]まで及び第76条[手数料]第2項(別表第1号に掲げる部分に限る。)の規定は、適用しない。

第68条の31 (経済産業省令への委任)

第68条の9[領域指定による商標登録出願]から前条までに定めるもののほか、議定書及び議定書に基づく規則を実施するため必要な事項の細目は、経済産業省令で定める。

第68条の32 (国際登録の取消し後の商標登録出願の特例)

議定書第6条[1商標1出願](4)の規定により日本国を指定する国際登録の対象であつた商標について、当該国際登録において指定されていた商品又は役務の全部又は1部について当該国際登録が取り消されたときは、当該国際登録の名義人であつた者は、当該商品又は役務の全部又は1部について商標登録出願をすることができる。

前項の規定による商標登録出願は、次の各号のいずれにも該当するときは、同項の国際登録の国際登録の日(同項の国際登録が事後指定に係るものである場合は当該国際登録に係る事後指定の日)にされたものとみなす。
1. 前項の商標登録出願が同項の国際登録が取り消された日から3月以内にされたものであること。
2. 商標登録を受けようとする商標が前項の国際登録の対象であつた商標と同一であること。
3. 前項の商標登録出願に係る指定商品又は指定役務が同項の国際登録において指定されていた商品又は役務の範囲に含まれていること。

第1項の国際登録に係る国際商標登録出願についてパリ条約第4条の規定による優先権が認められていたときは、同項の規定による商標登録出願に当該優先権が認められる。

第1項の国際登録に係る国際商標登録出願について第9条の3又は第13条[特許法の準用]第1項において読み替えて準用する特許法第43条の3第2項の規定による優先権が認められていたときも、前項と同様とする。

第1項の規定による商標登録出願についての第10条[商標登録出願の分割]第1項の規定の適用については、同項中「商標登録出願の1部」とあるのは、「商標登録出願の1部第68条の32[国際登録の取消し後の商標登録出願の特例]第1項の国際登録において指定されていた商品又は役務の範囲に含まれているものに限る。)」とする。

第1項の規定による商標登録出願をする者がその責めに帰することができない理由により第2項第1号に規定する期間内にその出願をすることができないときは、同号の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその出願をすることができる。

前項の規定によりされた商標登録出願は、第2項第1号に規定する期間が満了する時にされたものとみなす。

第68条の33 (議定書の廃棄後の商標登録出願の特例)

議定書第15条[拒絶の査定](5)(b)の規定により、日本国を指定する国際登録の名義人が議定書第2条[定義等](1)の規定に基づく国際出願をする資格を有する者でなくなつたときは、当該国際登録の名義人であつた者は、当該国際登録において指定されていた商品又は役務について商標登録出願をすることができる。

前条第2項から第7項までの規定は、前項の規定による商標登録出願に準用する。 この場合において、同条第2項第1号中「同項の国際登録が取り消された日から3月以内」とあるのは、「議定書第15条[拒絶の査定](3)の規定による廃棄の効力が生じた日から2年以内」と読み替えるものとする。

第68条の34 (拒絶理由の特例)

第68条の32[国際登録の取消し後の商標登録出願の特例]第1項又は前条第1項の規定による商標登録出願についての第15条[拒絶の査定]の規定の適用については、同条中「次の各号のいずれかに該当するとき」とあるのは、「次の各号のいずれかに該当するとき又は第68条の32[国際登録の取消し後の商標登録出願の特例]第1項若しくは第68条の33[議定書の廃棄後の商標登録出願の特例]第1項の規定による商標登録出願が第68条の32[国際登録の取消し後の商標登録出願の特例]第1項若しくは第68条の33[議定書の廃棄後の商標登録出願の特例]第1項若しくは第68条の32[国際登録の取消し後の商標登録出願の特例]第2項各号第68条の33[議定書の廃棄後の商標登録出願の特例]第2項において読み替えて準用する場合を含む。)に規定する要件を満たしていないとき」とする。

国際登録に係る商標権であつたものについての第68条の32[国際登録の取消し後の商標登録出願の特例]第1項又は前条第1項の規定による商標登録出願第68条の37[登録異議の申立ての特例]及び第68条の39において「旧国際登録に係る商標権の再出願」という。)については、第15条[拒絶の査定](第1号及び第2号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。

第68条の35 (商標権の設定の登録の特例)

第68条の32[国際登録の取消し後の商標登録出願の特例]第1項又は第68条の33[議定書の廃棄後の商標登録出願の特例]第1項の規定による商標登録出願については、当該出願に係る国際登録の国際登録の日(国際登録の存続期間の更新がされているときは、直近の更新の日)から10年以内に商標登録をすべき旨の査定又は審決があつたときは、第18条[商標権の設定の登録]第2項の規定にかかわらず、商標権の設定の登録をする。

第68条の36 (存続期間の特例)

前条に規定する商標権の存続期間は、当該出願に係る国際登録の国際登録の日(当該国際登録の存続期間の更新がされているときは、直近の更新の日)から10年をもつて終了する。

前項に規定する商標権の存続期間については、第19条[存続期間]第1項の規定は、適用しない。

第68条の37 (登録異議の申立ての特例)

旧国際登録に係る商標権の再出願に係る商標登録についての第43条の2[登録異議の申立て]の規定の適用については、同条中「、商標登録」とあるのは、「、商標登録(旧国際登録に係る商標権の再出願に係る商標登録にあつては、もとの国際登録に係る商標登録について登録異議の申立てがされることなくこの条に規定する期間を経過したものを除く。)」とする。

第68条の38 (商標登録の無効の審判の特例)

第68条の32[国際登録の取消し後の商標登録出願の特例]第1項又は第68条の33[議定書の廃棄後の商標登録出願の特例]第1項の規定による商標登録出願に係る商標登録についての第46条[商標登録の無効の審判]第1項の審判については、同項中「次の各号のいずれかに該当するとき」とあるのは、「次の各号のいずれかに該当するとき又は第68条の32[国際登録の取消し後の商標登録出願の特例]第1項若しくは第68条の33[議定書の廃棄後の商標登録出願の特例]第1項若しくは第68条の32[国際登録の取消し後の商標登録出願の特例]第2項各号第68条の33[議定書の廃棄後の商標登録出願の特例]第2項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定に違反してされたとき」とする。

第68条の39

旧国際登録に係る商標権の再出願に係る商標登録についての第47条の規定の適用については、同条中「請求することができない。」とあるのは、「請求することができない。商標権の設定の登録の日から5年を経過する前であつても、旧国際登録に係る商標権の再出願に係る商標登録については、もとの国際登録に係る商標登録について本条の規定により第46条[商標登録の無効の審判]第1項の審判の請求ができなくなつているときも、同様とする。」とする。

第8章 雑則

第68条の40 (手続の補正)

商標登録出願、防護標章登録出願、請求その他商標登録又は防護標章登録に関する手続をした者は、事件が審査、登録異議の申立てについての審理、審判又は再審に係属している場合に限り、その補正をすることができる。

商標登録出願をした者は、前項の規定にかかわらず、第40条[登録料]第1項又は第41条の2[登録料の分割納付]第1項の規定による登録料の納付と同時に、商標登録出願に係る区分の数を減ずる補正をすることができる。

第69条 (指定商品又は指定役務が2以上の商標権についての特則)

指定商品又は指定役務が2以上の商標登録又は商標権についての第13条の2[設定の登録前の金銭的請求権等]第4項第68条[商標に関する規定の準用]第1項において準用する場合を含む。)第20条[存続期間の更新登録の申請]第4項、第33条[無効審判の請求登録前の使用による商標の使用をする権利]第1項、第34条の2[商標権の放棄]第35条[特許法の準用]において準用する特許法第98条第1項第1号、第43条の3[決定]第3項、第46条[商標登録の無効の審判]第3項、第46条の2第54条第56条[特許法の準用]第1項において若しくは第61条[特許法の準用]において準用する同法第174条第3項においてそれぞれ準用する同法第132条第1項、第59条[再審により回復した商標権の効力の制限]第60条第71条[商標原簿への登録]第1項第1号又は第75条[商標公報]第2項第4号の規定の適用については、指定商品又は指定役務ごとに商標登録がされ、又は商標権があるものとみなす。

第70条 (登録商標に類似する商標等についての特則)

第25条[商標権の効力]第29条[他人の特許権等との関係]第30条[専用使用権]第2項、第31条[通常使用権]第2項、第31条の2[団体構成員等の権利]第1項、第34条[質権]第1項、第38条[損害の額の推定等]第1項第2号若しくは第3項から第5項まで、第50条[商標登録の取消しの審判]第52条の2第1項、第59条[再審により回復した商標権の効力の制限]第1号、第64条[防護標章登録の要件]第73条[商標登録表示]又は第74条[虚偽表示の禁止]における「登録商標」には、その登録商標に類似する商標であつて、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものを含むものとする。

第4条[商標登録を受けることができない商標]第1項第12号又は第67条[侵害とみなす行為]における「登録防護標章」には、その登録防護標章に類似する標章であつて、色彩を登録防護標章と同一にするものとすれば登録防護標章と同一の標章であると認められるものを含むものとする。

第37条[侵害とみなす行為]第1号又は第51条第1項における「登録商標に類似する商標」には、その登録商標に類似する商標であつて、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものを含まないものとする。

前3項の規定は、色彩のみからなる登録商標については、適用しない。

第71条 (商標原簿への登録)

次に掲げる事項は、特許庁に備える商標原簿に登録する。
1. 商標権の設定、存続期間の更新、分割、移転、変更、消滅、回復又は処分の制限
2. 防護標章登録に基づく権利の設定、存続期間の更新、移転又は消滅
3. 専用使用権又は通常使用権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限
4. 商標権、専用使用権又は通常使用権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅又は処分の制限

商標原簿は、その全部又は1部を磁気テープ(これに準ずる方法により1定の事項を確実に記録して置くことができる物を含む。以下同じ。)をもつて調製することができる。

この法律に規定するもののほか、登録に関して必要な事項は、政令で定める。

第71条の2 (商標登録証等の交付)

特許庁長官は、商標権の設定の登録があつたとき、又は防護標章登録に基づく権利の設定の登録があつたときは、商標権者に対し、商標登録証又は防護標章登録証を交付する。

商標登録証又は防護標章登録証の再交付については、経済産業省令で定める。

第72条 (証明等の請求)

何人も、特許庁長官に対し、商標登録又は防護標章登録に関し、証明、書類の謄本若しくは抄本の交付、書類若しくは第5条[商標登録出願]第4項の物件の閲覧若しくは謄写又は商標原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている事項を記載した書類の交付を請求することができる。 ただし、次に掲げる書類又は同項の物件については、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるときは、この限りでない。
1. 第46条[商標登録の無効の審判]第1項第68条[商標に関する規定の準用]第4項において準用する場合を含む。)第50条[商標登録の取消しの審判]第1項、第51条第1項、第52条の2第1項、第53条第1項若しくは第53条の2第68条[商標に関する規定の準用]第4項において準用する場合を含む。)の審判又はこれらの審判の確定審決に対する再審に係る書類であつて、当事者又は参加人から当該当事者又は参加人の保有する営業秘密(不正競争防止法(平成5年法律第47号)第2条[定義等]第6項に規定する営業秘密をいう。次号において同じ。)が記載された旨の申出があつたもの
2. 判定に係る書類であつて、当事者から当該当事者の保有する営業秘密が記載された旨の申出があつたもの
3. 個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがあるもの
4. 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるもの

特許庁長官は、前項第1号から第3号までに掲げる書類について、同項本文の請求を認めるときは、当該書類を提出した者に対し、その旨及びその理由を通知しなければならない。

商標登録又は防護標章登録に関する書類及び商標原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)の規定は、適用しない。

商標登録又は防護標章登録に関する書類及び商標原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている保有個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第60条第1項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第5章第4節の規定は、適用しない。

第73条 (商標登録表示)

商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は、経済産業省令で定めるところにより、指定商品若しくは指定商品の包装若しくは指定役務の提供の用に供する物に登録商標を付するとき、又は指定役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該指定役務の提供に係る物に登録商標を付するときは、その商標にその商標が登録商標である旨の表示(以下「商標登録表示」という。)を付するように努めなければならない。

第74条 (虚偽表示の禁止)

何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
1. 登録商標以外の商標の使用をする場合において、その商標に商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為
2. 指定商品又は指定役務以外の商品又は役務について登録商標の使用をする場合において、その商標に商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為
3. 商品若しくはその商品の包装に登録商標以外の商標を付したもの、指定商品以外の商品若しくはその商品の包装に商品に係る登録商標を付したもの又は商品若しくはその商品の包装に役務に係る登録商標を付したものであつて、その商標に商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付したものを譲渡又は引渡しのために所持する行為
4. 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標以外の商標を付したもの、指定役務以外の役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に役務に係る登録商標を付したもの又は役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に商品に係る登録商標を付したものであつて、その商標に商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付したもの(次号において「役務に係る虚偽商標登録表示物」という。)を、これを用いて当該役務を提供するために所持し、又は輸入する行為
5. 役務に係る虚偽商標登録表示物を、これを用いて当該役務を提供させるために譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持し、若しくは輸入する行為

第75条 (商標公報)

特許庁は、商標公報を発行する。

商標公報には、この法律に規定するもののほか、次に掲げる事項を掲載しなければならない。
1. 出願公開後における拒絶をすべき旨の査定又は商標登録出願若しくは防護標章登録出願の放棄、取下げ若しくは却下
2. 出願公開後における商標登録出願により生じた権利の承継
3. 出願公開後における願書に記載した指定商品若しくは指定役務又は商標登録を受けようとする商標若しくは防護標章登録を受けようとする標章についてした補正
4. 商標権の消滅(存続期間の満了によるもの及び第41条の2[登録料の分割納付]第6項(同条第8項において準用する場合を含む。)の規定によるものを除く。)
5. 登録異議の申立て若しくは審判若しくは再審の請求又はこれらの取下げ
6. 登録異議の申立てについての確定した決定、審判の確定審決又は再審の確定した決定若しくは確定審決
7. 第63条[審決等に対する訴え]第1項の訴えについての確定判決

第76条 (手数料)

次に掲げる者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。
1. 第13条[特許法の準用]第2項において準用する特許法第34条第4項の規定により承継の届出をする者
2. 第17条の2[意匠法の準用]第2項第68条[商標に関する規定の準用]第2項において準用する場合を含む。)において準用する意匠法第17条の4、第41条[登録料の納付期限]第2項、第41条の2[登録料の分割納付]第2項、第43条の4[申立ての方式等]第3項第68条[商標に関する規定の準用]第4項において準用する場合を含む。)第65条の8[登録料の納付期限]第3項若しくは次条第1項において準用する特許法第4条若しくは第5条[商標登録出願]第1項の規定による期間の延長又は次条第1項において準用する同法第5条第2項の規定による期日の変更を請求する者
3. 第68条の2[国際登録出願](第5項を除く。)の規定により特許庁長官に国際登録出願をする者
4. 第68条の4[事後指定]の規定により特許庁長官に事後指定をする者
5. 第68条の5[国際登録の存続期間の更新の申請]の規定により特許庁長官に国際登録の存続期間の更新の申請をする者
6. 第68条の6[国際登録の名義人の変更の記録の請求]の規定により特許庁長官に国際登録の名義人の変更の記録の請求をする者
7. 商標登録証又は防護標章登録証の再交付を請求する者
8. 第72条[証明等の請求]第1項の規定により証明を請求する者
9. 第72条[証明等の請求]第1項の規定により書類の謄本又は抄本の交付を請求する者
10. 第72条[証明等の請求]第1項の規定により書類又は第5条[商標登録出願]第4項の物件の閲覧又は謄写を請求する者
11. 第72条[証明等の請求]第1項の規定により商標原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている事項を記載した書類の交付を請求する者

別表の中欄に掲げる者は、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内において政令で定める額の手数料を納付しなければならない。

前2項の規定は、これらの規定により手数料を納付すべき者が国であるときは、適用しない。

商標権、商標登録出願により生じた権利又は防護標章登録に基づく権利が国と国以外の者との共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、国と国以外の者が自己の商標権、商標登録出願により生じた権利又は防護標章登録に基づく権利について第1項又は第2項の規定により納付すべき手数料(政令で定めるものに限る。)は、これらの規定にかかわらず、これらの規定に規定する手数料の金額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。

前項の規定により算定した手数料の金額に10円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。

第1項又は第2項の手数料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。 ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。

過誤納の手数料は、納付した者の請求により返還する。

前項の規定による手数料の返還は、納付した日から1年を経過した後は、請求することができない。

第7項の規定による手数料の返還を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその請求をすることができる。

第77条 (特許法の準用)

特許法第3条から第5条[商標登録出願]まで(期間及び期日)の規定は、この法律に規定する期間及び期日に準用する。 この場合において、同法第4条中「第121条第1項」とあるのは、「商標法第44条第1項若しくは第45条[補正の却下の決定に対する審判]第1項」と読み替えるものとする。

特許法第6条から第9条[出願時の特例]まで、第11条[出願の変更]から第16条[商標登録の査定]まで、第17条[特許法の準用]第3項及び第4項、第18条[商標権の設定の登録]から第24条[商標権の分割]まで並びに第194条(手続)の規定は、商標登録出願、防護標章登録出願、請求その他商標登録又は防護標章登録に関する手続に準用する。 この場合において、同法第9条中「拒絶査定不服審判」とあるのは「商標法第44条第1項若しくは第45条[補正の却下の決定に対する審判]第1項の審判」と、同法第14条中「拒絶査定不服審判」とあるのは「商標法第44条第1項又は第45条[補正の却下の決定に対する審判]第1項の審判」と、同法第17条第3項中「2 手続がこの法律又はこの法律に基づく命令で定める方式に違反しているとき。」とあるのは「/2 手続がこの法律又はこの法律に基づく命令で定める方式に違反しているとき。/2の2 手続について商標法第40条第2項の規定による登録料又は同法第41条の2第7項の規定により更新登録の申請と同時に納付すべき登録料(商標法第43条第1項又は第2項の規定により納付すべき割増登録料を含む。)を納付しないとき。/」と、同法第18条の2第1項中「第38条の2[主張の制限]第1項各号」とあるのは「商標法第5条の2第1項各号(同法第68条第1項において準用する場合を含む。)」と読み替えるものとする。

特許法第25条(外国人の権利の享有)の規定は、商標権その他商標登録に関する権利に準用する。

特許法第26条(条約の効力)の規定は、商標登録及び防護標章登録に準用する。

特許法第189条から第192条まで(送達)の規定は、この法律の規定による送達に準用する。

特許法第195条の3の規定は、この法律又はこの法律に基づく命令の規定による処分に準用する。

特許法第195条の4(行政不服審査法の規定による審査請求の制限)の規定は、この法律の規定による査定、補正の却下の決定、取消決定若しくは審決及び登録異議申立書若しくは審判若しくは再審の請求書の却下の決定並びにこの法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分又はこれらの不作為に準用する。

第77条の2 (経過措置)

この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

第9章 罰則

第78条 (侵害の罪)

商標権又は専用使用権を侵害した者第37条[侵害とみなす行為]又は第67条[侵害とみなす行為]の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第78条の2

第37条[侵害とみなす行為]又は第67条[侵害とみなす行為]の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第79条 (詐欺の行為の罪)

詐欺の行為により商標登録、防護標章登録、商標権若しくは防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録、登録異議の申立てについての決定又は審決を受けた者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。

第80条 (虚偽表示の罪)

第74条[虚偽表示の禁止]の規定に違反した者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。

第81条 (偽証等の罪)

この法律の規定により宣誓した証人、鑑定人又は通訳人が特許庁又はその嘱託を受けた裁判所に対し虚偽の陳述、鑑定又は通訳をしたときは、3月以上10年以下の懲役に処する。

前項の罪を犯した者が事件の判定の謄本が送達され、又は登録異議の申立てについての決定若しくは審決が確定する前に自白したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。

第81条の2 (秘密保持命令違反の罪)

第39条[特許法の準用]において準用する特許法第105条の4第1項の規定第13条の2[設定の登録前の金銭的請求権等]第5項において準用する場合を含む。)による命令に違反した者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

第1項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。

第82条 (両罰規定)

法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号で定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。

前項の場合において、当該行為者に対してした前条第2項の告訴は、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴は、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。

第1項の規定により第78条[侵害の罪]第78条の2又は前条第1項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による。

第83条 (過料)

第28条第3項第68条[商標に関する規定の準用]第3項において準用する場合を含む。)において準用する特許法第71条第3項において、第43条の8[証拠調べ及び証拠保全]第60条の2[審判の規定の準用]第1項及び第68条[商標に関する規定の準用]第4項において準用する場合を含む。)若しくは第56条[特許法の準用]第1項第68条[商標に関する規定の準用]第4項において準用する場合を含む。)において、第61条[特許法の準用]第68条[商標に関する規定の準用]第5項において準用する場合を含む。)において準用する同法第174条第3項において、第62条[意匠法の準用]第1項第68条[商標に関する規定の準用]第5項において準用する場合を含む。)において準用する意匠法第58条第2項において、又は第62条[意匠法の準用]第2項第68条[商標に関する規定の準用]第5項において準用する場合を含む。)において準用する同法第58条第3項において、それぞれ準用する特許法第151条において準用する民事訴訟法第207条第1項の規定により宣誓した者が特許庁又はその嘱託を受けた裁判所に対し虚偽の陳述をしたときは、10万円以下の過料に処する。

第84条

この法律の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から呼出しを受けた者が正当な理由がないのに出頭せず、又は宣誓、陳述、証言、鑑定若しくは通訳を拒んだときは、10万円以下の過料に処する。

第85条

証拠調又は証拠保全に関し、この法律の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から書類その他の物件の提出又は提示を命じられた者が正当な理由がないのにその命令に従わなかつたときは、10万円以下の過料に処する。