第1章 総則

第2章 特許及び特許出願

第3章 審査

第3章の2 出願公開

第4章 特許権

第5章 特許異議の申立て

第6章 審判

第7章 再審

第8章 訴訟

第9章 特許協力条約に基づく国際出願に係る特例

第10章 雑則

第11章 罰則

第1章 総則

第1条 (目的)

この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。

目的を規定

第2条 (定義)

この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。

定義を規定

この法律で「特許発明」とは、特許を受けている発明をいう。

この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。
1. 物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
2. 方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為
3. 物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為

この法律で「プログラム等」とは、プログラム(電子計算機に対する指令であつて、1の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項において同じ。)その他電子計算機による処理の用に供する情報であつてプログラムに準ずるものをいう。

第3条 (期間の計算)

この法律又はこの法律に基く命令の規定による期間の計算は、次の規定による。
1. 期間の初日は、算入しない。
ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
2. 期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。
月又は年の始から期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。
ただし、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

特許出願、請求その他特許に関する手続(以下単に「手続」という。)についての期間の末日が行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号)第1条第1項各号に掲げる日に当たるときは、その日の翌日をもつてその期間の末日とする。

第4条 (期間の延長等)

特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、第46条の2[実用新案登録に基づく特許出願]第1項第3号、第108条[特許料の納付期限]第1項、第121条[拒絶査定不服審判]第1項又は第173条[再審の請求期間]第1項に規定する期間を延長することができる。

法定期間の延長
実→特(ほかの人からの技術審査請求後)
納付期限(1~3年)
拒絶査定不服審判
再審

第5条

特許庁長官、審判長又は審査官は、この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、請求により又は職権で、その期間を延長することができる。

審判長は、この法律の規定により期日を指定したときは、請求により又は職権で、その期日を変更することができる。

期間変更は審判長のみ

第1項の規定による期間の延長(経済産業省令で定める期間に係るものに限る。)は、その期間が経過した後であつても、経済産業省令で定める期間内に限り、請求することができる。

第6条 (法人でない社団等の手続をする能力)

法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において次に掲げる手続をすることができる。
1. 出願審査の請求をすること。
2. 特許異議の申立てをすること。
3. 特許無効審判又は延長登録無効審判を請求すること。
4. 第171条[再審の請求]第1項の規定により特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審を請求すること。

法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審を請求されることができる。

第7条 (未成年者、成年被後見人等の手続をする能力)

未成年者及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ、手続をすることができない。 ただし、未成年者が独立して法律行為をすることができるときは、この限りでない。

未成年者は法定代理人の同意があっても本人が任意代理人を選任し、その代理人が手続きを行うことはできない

被保佐人が手続をするには、保佐人の同意を得なければならない。

法定代理人が手続をするには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。

被保佐人又は法定代理人が、その特許権に係る特許異議の申立て又は相手方が請求した審判若しくは再審について手続をするときは、前2項の規定は、適用しない。

第8条 (在外者の特許管理人)

日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有しない者(以下「在外者」という。)は、政令で定める場合を除き、その者の特許に関する代理人であつて日本国内に住所又は居所を有するもの(以下「特許管理人」という。)によらなければ、手続をし、又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定により行政庁がした処分を不服として訴えを提起することができない。

特許管理人は、一切の手続及びこの法律又はこの法律に基づく命令の規定により行政庁がした処分を不服とする訴訟について本人を代理する。 ただし、在外者が特許管理人の代理権の範囲を制限したときは、この限りでない。

第9条 (代理権の範囲)

日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有する者であつて手続をするものの委任による代理人は、特別の授権を得なければ、特許出願の変更、放棄若しくは取下げ、特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ、請求、申請若しくは申立ての取下げ第41条[特許出願等に基づく優先権主張]第1項の優先権の主張若しくはその取下げ第46条の2[実用新案登録に基づく特許出願]第1項の規定による実用新案登録に基づく特許出願、出願公開の請求、拒絶査定不服審判の請求、特許権の放棄又は復代理人の選任をすることができない。

分割は含まれない

第10条

削除

第11条 (代理権の不消滅)

手続をする者の委任による代理人の代理権は、本人の死亡若しくは本人である法人の合併による消滅、本人である受託者の信託に関する任務の終了又は法定代理人の死亡若しくはその代理権の変更若しくは消滅によつては、消滅しない。

第12条 (代理人の個別代理)

手続をする者の代理人が2人以上あるときは、特許庁に対しては、各人が本人を代理する。

第13条 (代理人の改任等)

特許庁長官又は審判長は、手続をする者がその手続をするのに適当でないと認めるときは、代理人により手続をすべきことを命ずることができる。

特許庁長官又は審判長は、手続をする者の代理人がその手続をするのに適当でないと認めるときは、その改任を命ずることができる。

特許庁長官又は審判長は、前2項の場合において、弁理士を代理人とすべきことを命ずることができる。

特許庁長官又は審判長は、第1項又は第2項の規定による命令をした後に第1項の手続をする者又は第2項の代理人が特許庁に対してした手続を却下することができる。

却下できるのは命令後

第14条 (複数当事者の相互代表)

2人以上が共同して手続をしたときは、特許出願の変更、放棄及び取下げ、特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ、請求、申請又は申立ての取下げ第41条[特許出願等に基づく優先権主張]第1項の優先権の主張及びその取下げ、出願公開の請求並びに拒絶査定不服審判の請求以外の手続については、各人が全員を代表するものとする。 ただし、代表者を定めて特許庁に届け出たときは、この限りでない。

代表者が単独でできないこともある
パリ優先権は対象外

第15条 (在外者の裁判籍)

在外者の特許権その他特許に関する権利については、特許管理人があるときはその住所又は居所をもつて、特許管理人がないときは特許庁の所在地をもつて民事訴訟法(平成8年法律第109号)第5条第4号の財産の所在地とみなす。

第16条 (手続をする能力がない場合の追認)

未成年者(独立して法律行為をすることができる者を除く。)又は成年被後見人がした手続は、法定代理人(本人が手続をする能力を取得したときは、本人)が追認することができる。

代理権がない者がした手続は、手続をする能力がある本人又は法定代理人が追認することができる。

被保佐人が保佐人の同意を得ないでした手続は、被保佐人が保佐人の同意を得て追認することができる。

後見監督人がある場合において法定代理人がその同意を得ないでした手続は、後見監督人の同意を得た法定代理人又は手続をする能力を取得した本人が追認することができる。

後見監督人はできない

第17条 (手続の補正)

手続をした者は、事件が特許庁に係属している場合に限り、その補正をすることができる。 ただし、次条から第17条の5[訂正に係る明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]までの規定により補正をすることができる場合を除き、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、図面若しくは要約書、第41条[特許出願等に基づく優先権主張]第4項若しくは第43条[パリ条約による優先権主張の手続]第1項第43条の2[パリ条約の例による優先権主張]第2項(第43条の3第3項において準用する場合を含む。)及び第43条の3第3項において準用する場合を含む。)に規定する書面又は第120条の5[意見書の提出等]第2項若しくは第134条の2[特許無効審判における訂正の請求]第1項の訂正若しくは訂正審判の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲若しくは図面について補正をすることができない。

第36条の2第2項の外国語書面出願の出願人は、前項本文の規定にかかわらず、同条第1項の外国語書面及び外国語要約書面について補正をすることができない。

特許庁長官は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる。
1. 手続が第7条[未成年者、成年被後見人等の手続をする能力]第1項から第3項まで又は第9条[代理権の範囲]の規定に違反しているとき。
2. 手続がこの法律又はこの法律に基づく命令で定める方式に違反しているとき。
3. 手続について第195条[手数料]第1項から第3項までの規定により納付すべき手数料を納付しないとき。

手続の補正(手数料の納付を除く。)をするには、次条第2項に規定する場合を除き、手続補正書を提出しなければならない。

手数料の納付を除く。

第17条の2 (願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正)

特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。 ただし、第50条[拒絶理由の通知]の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。
1. 第50条[拒絶理由の通知]第159条第2項(第174条[審判の規定等の準用]第2項において準用する場合を含む。)及び第163条第2項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による通知(以下この条において「拒絶理由通知」という。)を最初に受けた場合において、第50条[拒絶理由の通知]の規定により指定された期間内にするとき。
2. 拒絶理由通知を受けた後第48条の7[文献公知発明に係る情報の記載についての通知]の規定による通知を受けた場合において、同条の規定により指定された期間内にするとき。
3. 拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第50条[拒絶理由の通知]の規定により指定された期間内にするとき。
4. 拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時にするとき。

2回目の拒絶理由通知でも、最初の拒絶理由に含まれない請求項は最後の拒絶理由とはならない
手続補正の期間は対象外

第36条の2第2項の外国語書面出願の出願人が、誤訳の訂正を目的として、前項の規定により明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をするときは、その理由を記載した誤訳訂正書を提出しなければならない。

拒絶理由にはならない

第1項の規定により明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をするときは、誤訳訂正書を提出してする場合を除き、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面第36条の2第2項の外国語書面出願にあつては、同条第8項の規定により明細書、特許請求の範囲及び図面とみなされた同条第2項に規定する外国語書面の翻訳文(誤訳訂正書を提出して明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をした場合にあつては、翻訳文又は当該補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)。第34条の2[仮専用実施権]第1項及び第34条の3[仮通常実施権]第1項において同じ。)に記載した事項の範囲内においてしなければならない。

新規事項禁止。分割出願にも適用される

前項に規定するもののほか、第1項各号に掲げる場合において特許請求の範囲について補正をするときは、その補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された発明と、その補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明とが、第37条の発明の単一性の要件を満たす1群の発明に該当するものとなるようにしなければならない。

最初の拒絶通知を受け取る前には適用されない

前2項に規定するもののほか、第1項第1号、第3号及び第4号に掲げる場合(同項第1号に掲げる場合にあつては、拒絶理由通知と併せて第50条の2[既に通知された拒絶理由と同1である旨の通知]の規定による通知を受けた場合に限る。)において特許請求の範囲についてする補正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
1. 第36条[特許出願]第5項に規定する請求項の削除
2. 特許請求の範囲の減縮第36条[特許出願]第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)
3. 誤記の訂正
4. 明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)

第126条[訂正審判]第7項の規定は、前項第2号の場合に準用する。

範囲の減縮は独立特許要件を満たす必要がある

第17条の3 (要約書の補正)

特許出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、願書に添付した要約書について補正をすることができる。

第17条の4 (優先権主張書面の補正)

第41条[特許出願等に基づく優先権主張]第1項又は第43条[パリ条約による優先権主張の手続]第1項、第43条の2[パリ条約の例による優先権主張]第1項第43条の3第3項において準用する場合を含む。)若しくは第43条の3第1項若しくは第2項の規定による優先権の主張をした者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第41条[特許出願等に基づく優先権主張]第4項又は第43条[パリ条約による優先権主張の手続]第1項第43条の2[パリ条約の例による優先権主張]第2項(第43条の3第3項において準用する場合を含む。)及び第43条の3第3項において準用する場合を含む。)に規定する書面について補正をすることができる。

第17条の5 (訂正に係る明細書、特許請求の範囲又は図面の補正)

特許権者は、第120条の5[意見書の提出等]第1項又は第6項の規定により指定された期間内に限り、同条第2項の訂正の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。

特許無効審判の被請求人は、第134条[答弁書の提出等]第1項若しくは第2項、第134条の2[特許無効審判における訂正の請求]第5項、第134条の3[取消しの判決があつた場合における訂正の請求]第153条第2項又は第164条の2[特許無効審判における特則]第2項の規定により指定された期間内に限り、第134条の2[特許無効審判における訂正の請求]第1項の訂正の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。

いつ訂正の補正ができるのか

訂正審判の請求人は、第156条[審理の終結の通知]第1項の規定による通知がある前(同条第3項の規定による審理の再開がされた場合にあつては、その後更に同条第1項の規定による通知がある前)に限り、訂正審判の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。

審理終結通知まで

第18条 (手続の却下)

特許庁長官は、第17条[手続の補正]第3項の規定により手続の補正をすべきことを命じた者が同項の規定により指定した期間内にその補正をしないとき、又は特許権の設定の登録を受ける者が第108条[特許料の納付期限]第1項に規定する期間内に特許料を納付しないときは、その手続を却下することができる。

特許庁長官は、第17条[手続の補正]第3項の規定により第195条[手数料]第3項の規定による手数料の納付をすべきことを命じた特許出願人が第17条[手続の補正]第3項の規定により指定した期間内にその手数料の納付をしないときは、当該特許出願を却下することができる。

第18条の2 (不適法な手続の却下)

特許庁長官は、不適法な手続であつて、その補正をすることができないものについては、その手続を却下するものとする。 ただし、第38条の2[特許出願の日の認定]第1項各号に該当する場合は、この限りでない。

前項の規定により却下しようとするときは、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を提出する機会を与えなければならない。

第19条 (願書等の提出の効力発生時期)

願書又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定により特許庁に提出する書類その他の物件であつてその提出の期間が定められているものを郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号。以下この条において「信書便法」という。)第2条[定義]第6項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第9項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第2項に規定する信書便(以下「信書便」という。)の役務であつて経済産業省令で定めるものにより提出した場合において、その願書又は物件を日本郵便株式会社の営業所(郵便の業務を行うものに限る。)に差し出した日時を郵便物の受領証により証明したときはその日時に、その郵便物又は信書便法第2条第3項に規定する信書便物(以下この条において「信書便物」という。)の通信日付印により表示された日時が明瞭であるときはその日時に、その郵便物又は信書便物の通信日付印により表示された日時のうち日のみが明瞭であつて時刻が明瞭でないときは表示された日の午後12時に、その願書又は物件は、特許庁に到達したものとみなす。

第20条 (手続の効力の承継)

特許権その他特許に関する権利についてした手続の効力は、その特許権その他特許に関する権利の承継人にも、及ぶものとする。

第21条 (手続の続行)

特許庁長官又は審判長は、特許庁に事件が係属している場合において、特許権その他特許に関する権利の移転があつたときは、特許権その他特許に関する権利の承継人に対し、その事件に関する手続を続行することができる。

第22条 (手続の中断又は中止)

特許庁長官又は審判官は、決定、査定又は審決の謄本の送達後に中断した手続の受継の申立について、受継を許すかどうかの決定をしなければならない。

前項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。

第23条

主語の違いに注意

特許庁長官又は審判官は、中断した審査、特許異議の申立てについての審理及び決定、審判又は再審の手続を受け継ぐべき者が受継を怠つたときは、申立てにより又は職権で、相当の期間を指定して、受継を命じなければならない。

特許庁長官又は審判官は、前項の規定により指定した期間内に受継がないときは、その期間の経過の日に受継があつたものとみなすことができる。

特許庁長官又は審判長は、前項の規定により受継があつたものとみなしたときは、その旨を当事者に通知しなければならない。

第24条

民事訴訟法第124条(第1項第6号を除く。)第126条[訂正審判]第127条第128条第1項、第130条、第131条[審判請求の方式]及び第132条[共同審判]第2項(訴訟手続の中断及び中止)の規定は、審査、特許異議の申立てについての審理及び決定、審判又は再審の手続に準用する。 この場合において、同法第124条第2項中「訴訟代理人」とあるのは「審査、特許異議の申立てについての審理及び決定、審判又は再審の委任による代理人」と、同法第127条中「裁判所」とあるのは「特許庁長官又は審判長」と、同法第128条第1項及び第131条[審判請求の方式]中「裁判所」とあるのは「特許庁長官又は審判官」と、同法第130条中「裁判所」とあるのは「特許庁」と読み替えるものとする。

第25条 (外国人の権利の享有)

日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有しない外国人は、次の各号の1に該当する場合を除き、特許権その他特許に関する権利を享有することができない。
1. その者の属する国において、日本国民に対しその国民と同一の条件により特許権その他特許に関する権利の享有を認めているとき。
2. その者の属する国において、日本国がその国民に対し特許権その他特許に関する権利の享有を認める場合には日本国民に対しその国民と同一の条件により特許権その他特許に関する権利の享有を認めることとしているとき。
3. 条約に別段の定があるとき。

第26条 (条約の効力)

特許に関し条約に別段の定があるときは、その規定による。

第27条 (特許原簿への登録)

次に掲げる事項は、特許庁に備える特許原簿に登録する。
1. 特許権の設定、存続期間の延長、移転、信託による変更、消滅、回復又は処分の制限
2. 専用実施権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限
3. 特許権又は専用実施権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅又は処分の制限
4. 仮専用実施権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限

特許原簿は、その全部又は1部を磁気テープ(これに準ずる方法により1定の事項を確実に記録して置くことができる物を含む。以下同じ。)をもつて調製することができる。

この法律に規定するもののほか、登録に関して必要な事項は、政令で定める。

第28条 (特許証の交付)

特許庁長官は、特許権の設定の登録があつたとき、第74条[特許権の移転の特例]第1項の規定による請求に基づく特許権の移転の登録があつたとき、又は願書に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは図面の訂正をすべき旨の決定若しくは審決が確定した場合において、その登録があつたときは、特許権者に対し、特許証を交付する。

特許証の再交付については、経済産業省令で定める。

第2章 特許及び特許出願

第29条 (特許の要件)

産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。
1. 特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明
2. 特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明
3. 特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明

人間を手術、治療または診断する方法は産業上利用可能に該当しない

特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明については、同項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。

第29条の2

特許出願に係る発明が当該特許出願の日前の他の特許出願又は実用新案登録出願であつて当該特許出願後に第66条[特許権の設定の登録]第3項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した特許公報(以下「特許掲載公報」という。)の発行若しくは出願公開又は実用新案法(昭和34年法律第123号)第14条第3項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した実用新案公報(以下「実用新案掲載公報」という。)の発行がされたものの願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面第36条の2第2項の外国語書面出願にあつては、同条第1項の外国語書面)に記載された発明又は考案(その発明又は考案をした者が当該特許出願に係る発明の発明者と同一の者である場合におけるその発明又は考案を除く。)と同一であるときは、その発明については、前条第1項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。 ただし、当該特許出願の時にその出願人と当該他の特許出願又は実用新案登録出願の出願人とが同一の者であるときは、この限りでない。

冒認出願も含まれる
分割後の出願は先願の地位を有しない
対象は最初に記載した範囲。補正前
同日出願には適用されない

第30条 (発明の新規性の喪失の例外)

承継の場合も
新規性を喪失した発明とは別の発明を出願した場合も適用可能
新規性の例外をパリ優先権で主張するには新規性を失った日から6か月以内

特許を受ける権利を有する者の意に反して第29条[特許の要件]第1項各号のいずれかに該当するに至つた発明は、その該当するに至つた日から1年以内にその者がした特許出願に係る発明についての同項及び同条第2項の規定の適用については、同条第1項各号のいずれかに該当するに至らなかつたものとみなす。

特許を受ける権利を有する者の行為に起因して第29条[特許の要件]第1項各号のいずれかに該当するに至つた発明(発明、実用新案、意匠又は商標に関する公報に掲載されたことにより同項各号のいずれかに該当するに至つたものを除く。)も、その該当するに至つた日から1年以内にその者がした特許出願に係る発明についての同項及び同条第2項の規定の適用については、前項と同様とする。

公報に掲載されたことにより同項各号のいずれかに該当するに至つたものを除く

前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を特許出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第29条[特許の要件]第1項各号のいずれかに該当するに至つた発明が前項の規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面(次項において「証明書」という。)を特許出願の日から30日以内に特許庁長官に提出しなければならない。

証明書を提出する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に証明書を提出することができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその証明書を特許庁長官に提出することができる。

第31条

削除

第32条 (特許を受けることができない発明)

公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明については、第29条[特許の要件]の規定にかかわらず、特許を受けることができない。

第33条 (特許を受ける権利)

特許を受ける権利は、移転することができる。

特許を受ける権利は、質権の目的とすることができない。

抵当権の目的とすることもできない

特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡することができない。

特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、仮専用実施権を設定し、又は他人に仮通常実施権を許諾することができない。

第34条

特許出願前における特許を受ける権利の承継は、その承継人が特許出願をしなければ、第3者に対抗することができない。

同一の者から承継した同一の特許を受ける権利について同日に2以上の特許出願があつたときは、特許出願人の協議により定めた者以外の者の承継は、第3者に対抗することができない。

同一の者から承継した同一の発明及び考案についての特許を受ける権利及び実用新案登録を受ける権利について同日に特許出願及び実用新案登録出願があつたときも、前項と同様とする。

特許出願後における特許を受ける権利の承継は、相続その他の一般承継の場合を除き、特許庁長官に届け出なければ、その効力を生じない。

特許を受ける権利の相続その他の一般承継があつたときは、承継人は、遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出なければならない。

同一の者から承継した同一の特許を受ける権利の承継について同日に2以上の届出があつたときは、届出をした者の協議により定めた者以外の者の届出は、その効力を生じない。

第39条[先願]第6項及び第7項の規定は、第2項、第3項及び前項の場合に準用する。

第34条の2 (仮専用実施権)

特許を受ける権利を有する者は、その特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、その特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、仮専用実施権を設定することができる。

実用新案には仮専用実施権はない

仮専用実施権に係る特許出願について特許権の設定の登録があつたときは、その特許権について、当該仮専用実施権の設定行為で定めた範囲内において、専用実施権が設定されたものとみなす。

仮専用実施権は、その特許出願に係る発明の実施の事業とともにする場合、特許を受ける権利を有する者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。


仮専用実施権者は、特許を受ける権利を有する者の承諾を得た場合に限り、その仮専用実施権に基づいて取得すべき専用実施権について、他人に仮通常実施権を許諾することができる。

仮専用実施権に係る特許出願について、第44条[特許出願の分割]第1項の規定による特許出願の分割があつたときは、当該特許出願の分割に係る新たな特許出願に係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、当該仮専用実施権の設定行為で定めた範囲内において、仮専用実施権が設定されたものとみなす。 ただし、当該設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。

仮専用実施権は、その特許出願について特許権の設定の登録があつたとき、その特許出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき又はその特許出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、消滅する。

仮専用実施権者は、第4項又は次条第7項本文の規定による仮通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その仮専用実施権を放棄することができる。

第33条[特許を受ける権利]第2項から第4項までの規定は、仮専用実施権に準用する。

第34条の3 (仮通常実施権)

特許を受ける権利を有する者は、その特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、その特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、他人に仮通常実施権を許諾することができる。

前項の規定による仮通常実施権に係る特許出願について特許権の設定の登録があつたときは、当該仮通常実施権を有する者に対し、その特許権について、当該仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内において、通常実施権が許諾されたものとみなす。

前条第2項の規定により、同条第4項の規定による仮通常実施権に係る仮専用実施権について専用実施権が設定されたものとみなされたときは、当該仮通常実施権を有する者に対し、その専用実施権について、当該仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内において、通常実施権が許諾されたものとみなす。

仮通常実施権は、その特許出願に係る発明の実施の事業とともにする場合、特許を受ける権利を有する者(仮専用実施権に基づいて取得すべき専用実施権についての仮通常実施権にあつては、特許を受ける権利を有する者及び仮専用実施権者)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。

第1項若しくは前条第4項又は実用新案法第4条の2第1項の規定による仮通常実施権に係る第41条[特許出願等に基づく優先権主張]第1項の先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(当該先の出願が第36条の2第2項の外国語書面出願である場合にあつては、同条第1項の外国語書面)に記載された発明に基づいて第41条[特許出願等に基づく優先権主張]第1項の規定による優先権の主張があつたときは、当該仮通常実施権を有する者に対し、当該優先権の主張を伴う特許出願に係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、当該仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内において、仮通常実施権が許諾されたものとみなす。 ただし、当該設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。

仮通常実施権に係る特許出願について、第44条[特許出願の分割]第1項の規定による特許出願の分割があつたときは、当該仮通常実施権を有する者に対し、当該特許出願の分割に係る新たな特許出願に係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、当該仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内において、仮通常実施権が許諾されたものとみなす。 ただし、当該設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。

前条第5項本文の規定により、同項に規定する新たな特許出願に係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権についての仮専用実施権(以下この項において「新たな特許出願に係る仮専用実施権」という。)が設定されたものとみなされたときは、当該新たな特許出願に係るもとの特許出願に係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権についての仮専用実施権に基づいて取得すべき専用実施権についての仮通常実施権を有する者に対し、当該新たな特許出願に係る仮専用実施権に基づいて取得すべき専用実施権について、当該仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内において、仮通常実施権が許諾されたものとみなす。 ただし、当該設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。

実用新案法第4条の2第1項の規定による仮通常実施権に係る実用新案登録出願について、第46条[出願の変更]第1項の規定による出願の変更があつたときは、当該仮通常実施権を有する者に対し、当該出願の変更に係る特許出願に係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、当該仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内において、仮通常実施権が許諾されたものとみなす。 ただし、当該設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。

意匠法(昭和34年法律第125号)第5条の2第1項の規定による仮通常実施権に係る意匠登録出願について、第46条[出願の変更]第2項の規定による出願の変更があつたときは、当該仮通常実施権を有する者に対し、当該出願の変更に係る特許出願に係る特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、当該仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内において、仮通常実施権が許諾されたものとみなす。 ただし、当該設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。

仮通常実施権は、その特許出願について特許権の設定の登録があつたとき、その特許出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき又はその特許出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、消滅する。

前項に定める場合のほか、前条第4項の規定又は第7項本文の規定による仮通常実施権は、その仮専用実施権が消滅したときは、消滅する。

第33条[特許を受ける権利]第2項及び第3項の規定は、仮通常実施権に準用する。

第34条の4 (登録の効果)

仮専用実施権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は第34条の2[仮専用実施権]第6項の規定によるものを除く。)又は処分の制限は、登録しなければ、その効力を生じない。

前項の相続その他の一般承継の場合は、遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出なければならない。

第34条の5 (仮通常実施権の対抗力)

仮通常実施権は、その許諾後に当該仮通常実施権に係る特許を受ける権利若しくは仮専用実施権又は当該仮通常実施権に係る特許を受ける権利に関する仮専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。

第35条 (職務発明)

使用者、法人、国又は地方公共団体(以下「使用者等」という。)は、従業者、法人の役員、国家公務員又は地方公務員(以下「従業者等」という。)がその性質上当該使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至つた行為がその使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する発明(以下「職務発明」という。)について特許を受けたとき、又は職務発明について特許を受ける権利を承継した者がその発明について特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有する。

部署異動後でもOK

従業者等がした発明については、その発明が職務発明である場合を除き、あらかじめ、使用者等に特許を受ける権利を取得させ、使用者等に特許権を承継させ、又は使用者等のため仮専用実施権若しくは専用実施権を設定することを定めた契約、勤務規則その他の定めの条項は、無効とする。

従業者等がした職務発明については、契約、勤務規則その他の定めにおいてあらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めたときは、その特許を受ける権利は、その発生した時から当該使用者等に帰属する。

従業者等は、契約、勤務規則その他の定めにより職務発明について使用者等に特許を受ける権利を取得させ、使用者等に特許権を承継させ、若しくは使用者等のため専用実施権を設定したとき、又は契約、勤務規則その他の定めにより職務発明について使用者等のため仮専用実施権を設定した場合において、第34条の2[仮専用実施権]第2項の規定により専用実施権が設定されたものとみなされたときは、相当の金銭その他の経済上の利益(次項及び第7項において「相当の利益」という。)を受ける権利を有する。

契約、勤務規則その他の定めにおいて相当の利益について定める場合には、相当の利益の内容を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況、策定された当該基準の開示の状況、相当の利益の内容の決定について行われる従業者等からの意見の聴取の状況等を考慮して、その定めたところにより相当の利益を与えることが不合理であると認められるものであつてはならない。

経済産業大臣は、発明を奨励するため、産業構造審議会の意見を聴いて、前項の規定により考慮すべき状況等に関する事項について指針を定め、これを公表するものとする。

相当の利益についての定めがない場合又はその定めたところにより相当の利益を与えることが第5項の規定により不合理であると認められる場合には、第4項の規定により受けるべき相当の利益の内容は、その発明により使用者等が受けるべき利益の額、その発明に関連して使用者等が行う負担、貢献及び従業者等の処遇その他の事情を考慮して定めなければならない。


第36条 (特許出願)

特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
1. 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 発明者の氏名及び住所又は居所

願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。

前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
1. 発明の名称
2. 図面の簡単な説明
3. 発明の詳細な説明

前項第3号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
1. 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ10分に記載したものであること。
2. その発明に関連する文献公知発明第29条[特許の要件]第1項第3号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知つているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。

第2項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。 この場合において、1の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない


拒絶の理由ではない

第2項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
1. 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。
2. 特許を受けようとする発明が明確であること。
3. 請求項ごとの記載が簡潔であること。
4. その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。

第2項の要約書には、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。

第36条の2

特許を受けようとする者は、前条第2項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書に代えて、同条第3項から第6項までの規定により明細書又は特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面及び必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「外国語書面」という。)並びに同条第7項の規定により要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。

前項の規定により外国語書面及び外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日第41条[特許出願等に基づく優先権主張]第1項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあつては、同項に規定する先の出願の日、第43条[パリ条約による優先権主張の手続]第1項、第43条の2[パリ条約の例による優先権主張]第1項(第43条の3第3項において準用する場合を含む。)又は第43条の3第1項若しくは第2項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあつては、最初の出願若しくはパリ条約(1900年12月14日にブラッセルで、1911年6月2日にワシントンで、1925年11月6日にヘーグで、1934年6月2日にロンドンで、1958年10月31日にリスボンで及び1967年7月14日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する1883年3月20日のパリ条約をいう。以下同じ。)第4条[期間の延長等]C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日、第41条[特許出願等に基づく優先権主張]第1項、第43条[パリ条約による優先権主張の手続]第1項、第43条の2[パリ条約の例による優先権主張]第1項(第43条の3第3項において準用する場合を含む。)又は第43条の3第1項若しくは第2項の規定による2以上の優先権の主張を伴う特許出願にあつては、当該優先権の主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。第64条[出願公開]第1項において同じ。)から1年4月以内に外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。 ただし、当該外国語書面出願が第44条[特許出願の分割]第1項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第46条[出願の変更]第1項若しくは第2項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第46条の2[実用新案登録に基づく特許出願]第1項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあつては、本文の期間の経過後であつても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から2月以内に限り、外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。

優先権主張の出願日は第一国出願日

特許庁長官は、前項本文に規定する期間(同項ただし書の規定により外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を提出することができるときは、同項ただし書に規定する期間。以下この条において同じ。)内に同項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文の提出がなかつたときは、外国語書面出願の出願人に対し、その旨を通知しなければならない。

前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第2項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。

前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の第2項に規定する翻訳文の提出がなかつたときは、その特許出願は、同項本文に規定する期間の経過の時に取り下げられたものとみなす。

前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、第2項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。 ただし、故意に、第4項に規定する期間内に前項に規定する翻訳文を提出しなかつたと認められる場合は、この限りでない。

第4項又は前項の規定により提出された翻訳文は、第2項本文に規定する期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。

第2項に規定する外国語書面の翻訳文は前条第2項の規定により願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲及び図面と、第2項に規定する外国語要約書面の翻訳文は同条第2項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。

第37条

2以上の発明については、経済産業省令で定める技術的関係を有することにより発明の単一性の要件を満たす1群の発明に該当するときは、1の願書で特許出願をすることができる。

技術的関係とは、同一または特別な技術的特徴を有している
第二十五条の八 特許法第三十七条の経済産業省令で定める技術的関係とは、二以上の発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有していることにより、これらの発明が単一の一般的発明概念を形成するように連関している技術的関係をいう。
2 前項に規定する特別な技術的特徴とは、発明の先行技術に対する貢献を明示する技術的特徴をいう。
3 第一項に規定する技術的関係については、二以上の発明が別個の請求項に記載されているか単一の請求項に択一的な形式によって記載されているかどうかにかかわらず、その有無を判断するものとする。

第38条 (共同出願)

特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。

第38条の2 (特許出願の日の認定)

特許庁長官は、特許出願が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、特許出願に係る願書を提出した日を特許出願の日として認定しなければならない。
1. 特許を受けようとする旨の表示が明確でないと認められるとき。
2. 特許出願人の氏名若しくは名称の記載がなく、又はその記載が特許出願人を特定できる程度に明確でないと認められるとき。
3. 明細書(外国語書面出願にあつては、明細書に記載すべきものとされる事項を第36条の2第1項の経済産業省令で定める外国語で記載した書面。以下この条において同じ。)が添付されていないとき(次条第1項に規定する方法により特許出願をするときを除く。)

特許庁長官は、特許出願が前項各号のいずれかに該当するときは、特許を受けようとする者に対し、特許出願について補完をすることができる旨を通知しなければならない

前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、その補完をすることができる。

2月

前項の規定により補完をするには、経済産業省令で定めるところにより、手続の補完に係る書面(以下「手続補完書」という。)を提出しなければならない。 ただし、同項の規定により明細書について補完をする場合には、手続補完書の提出と同時に明細書を提出しなければならない。

第3項の規定により明細書について補完をする場合には、手続補完書の提出と同時に第36条[特許出願]第2項の必要な図面(外国語書面出願にあつては、必要な図面でこれに含まれる説明を第36条の2第1項の経済産業省令で定める外国語で記載したもの。以下この条において同じ。)を提出することができる。

要約所はNG

第2項の規定による通知を受けた者が第3項に規定する期間内にその補完をしたときは、その特許出願は、手続補完書を提出した時にしたものとみなす。 この場合において、特許庁長官は、手続補完書を提出した日を特許出願の日として認定するものとする。

第4項ただし書の規定により提出された明細書は願書に添付して提出したものと、第5項の規定により提出された図面は願書に添付して提出したものとみなす。

特許庁長官は、第2項の規定による通知を受けた者が第3項に規定する期間内にその補完をしないときは、その特許出願を却下することができる。

特許を受けようとする者が第2項の規定による通知を受ける前に、その通知を受けた場合に執るべき手続を執つたときは、経済産業省令で定める場合を除き、当該手続は、その通知を受けたことにより執つた手続とみなす。

第38条の3 (先の特許出願を参照すべき旨を主張する方法による特許出願)

特許を受けようとする者は、外国語書面出願をする場合を除き、第36条[特許出願]第2項の規定にかかわらず、願書に明細書及び必要な図面を添付することなく、その者がした特許出願(外国においてしたものを含む。以下この条において「先の特許出願」という。)を参照すべき旨を主張する方法により、特許出願をすることができる。 ただし、その特許出願が前条第1項第1号又は第2号に該当する場合は、この限りでない。

前項に規定する方法により特許出願をしようとする者は、その旨及び先の特許出願に関し経済産業省令で定める事項を記載した書面を当該特許出願と同時に特許庁長官に提出しなければならない。

第1項に規定する方法により特許出願をした者は、経済産業省令で定める期間内に、当該特許出願に係る願書に添付して提出すべき明細書及び必要な図面並びに同項に規定する方法における主張に係る先の特許出願に関し経済産業省令で定める書類を提出しなければならない。

前項の規定により提出された明細書及び図面に記載した事項が、第1項に規定する方法における主張に係る先の特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(当該先の特許出願が、外国語書面出願である場合にあつては外国語書面、外国においてしたものである場合にあつてはその出願に際し提出した書類であつて明細書、特許請求の範囲又は図面に相当するもの)に記載した事項の範囲内にない場合は、その特許出願は、前条第1項の規定にかかわらず、前項の規定により明細書及び図面を提出した時にしたものとみなす。

第3項の規定により提出された明細書及び図面は、願書に添付して提出したものとみなす。

前各項の規定は、第44条[特許出願の分割]第1項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第46条[出願の変更]第1項又は第2項の規定による出願の変更に係る特許出願及び第46条の2[実用新案登録に基づく特許出願]第1項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、適用しない。

分割、変更は不可

第38条の4 (明細書又は図面の1部の記載が欠けている場合の通知等)

特許庁長官は、特許出願の日の認定に際して、願書に添付されている明細書又は図面(外国語書面出願にあつては、明細書に記載すべきものとされる事項を第36条の2第1項の経済産業省令で定める外国語で記載した書面又は必要な図面でこれに含まれる説明を同項の経済産業省令で定める外国語で記載したもの。以下この条において同じ。)について、その1部の記載が欠けていることを発見したときは、その旨を特許出願人に通知しなければならない。

前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、明細書又は図面について補完をすることができる。

前項の規定によりその補完をするには、経済産業省令で定めるところにより、明細書又は図面の補完に係る書面(以下この条及び第67条[存続期間]第3項第6号において「明細書等補完書」という。)を提出しなければならない。

第1項の規定による通知を受けた者が第2項に規定する期間内にその補完をしたときは、その特許出願は、第38条の2[特許出願の日の認定]第1項又は第6項の規定にかかわらず、明細書等補完書を提出した時にしたものとみなす。 ただし、その補完が第41条[特許出願等に基づく優先権主張]第1項の規定による優先権の主張又は第43条[パリ条約による優先権主張の手続]第1項、第43条の2[パリ条約の例による優先権主張]第1項第43条の3第3項において準用する場合を含む。)若しくは第43条の3第1項若しくは第2項の規定による優先権の主張を伴う特許出願に係るものであつて、かつ、前項の規定により提出した明細書等補完書に記載した内容が経済産業省令で定める範囲内にあるときは、この限りでない。

第2項の補完をした特許出願が、第38条の2[特許出願の日の認定]第1項第1号又は第2号に該当する場合であつて、その補完に係る手続補完書を第3項の規定により明細書等補完書を提出した後に提出したときは、その特許出願は、前項の規定にかかわらず、当該手続補完書を提出した時にしたものとみなす。

第2項の規定によりその補完をした明細書又は図面は、願書に添付して提出したものとみなす。

第2項の補完をした者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第3項の規定により提出した明細書等補完書を取り下げることができる。

前項の規定による明細書等補完書の取下げがあつたときは、その補完は、されなかつたものとみなす。

第38条の2[特許出願の日の認定]第9項の規定は、第1項の規定による通知を受ける前に執つた手続に準用する。

前各項の規定は、第44条[特許出願の分割]第1項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第46条[出願の変更]第1項又は第2項の規定による出願の変更に係る特許出願及び第46条の2[実用新案登録に基づく特許出願]第1項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、適用しない。

第38条の5 (特許出願の放棄又は取下げ)

特許出願人は、その特許出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その承諾を得た場合に限り、その特許出願を放棄し、又は取り下げることができる。

第39条 (先願)

同一の発明について異なつた日に2以上の特許出願があつたときは、最先の特許出願人のみがその発明について特許を受けることができる。

特許請求の範囲の記載に基づいて

同一の発明について同日に2以上の特許出願があつたときは、特許出願人の協議により定めた1の特許出願人のみがその発明について特許を受けることができる。 協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、いずれも、その発明について特許を受けることができない。

特許出願に係る発明と実用新案登録出願に係る考案とが同一である場合において、その特許出願及び実用新案登録出願が異なつた日にされたものであるときは、特許出願人は、実用新案登録出願人より先に出願をした場合にのみその発明について特許を受けることができる。

特許出願に係る発明と実用新案登録出願に係る考案とが同一である場合(第46条の2[実用新案登録に基づく特許出願]第1項の規定による実用新案登録に基づく特許出願第44条[特許出願の分割]第2項(第46条[出願の変更]第6項において準用する場合を含む。)の規定により当該特許出願の時にしたものとみなされるものを含む。)に係る発明とその実用新案登録に係る考案とが同一である場合を除く。)において、その特許出願及び実用新案登録出願が同日にされたものであるときは、出願人の協議により定めた1の出願人のみが特許又は実用新案登録を受けることができる。 協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、特許出願人は、その発明について特許を受けることができない。

特許出願若しくは実用新案登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、又は特許出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、その特許出願又は実用新案登録出願は、第1項から前項までの規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。 ただし、その特許出願について第2項後段又は前項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、この限りでない。

特許庁長官は、第2項又は第4項の場合は、相当の期間を指定して、第2項又は第4項の協議をしてその結果を届け出るべき旨を出願人に命じなければならない。

特許庁長官は、前項の規定により指定した期間内に同項の規定による届出がないときは、第2項又は第4項の協議が成立しなかつたものとみなすことができる。

第40条

削除

第41条 (特許出願等に基づく優先権主張)

特許を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その特許出願に係る発明について、その者が特許又は実用新案登録を受ける権利を有する特許出願又は実用新案登録出願であつて先にされたもの(以下「先の出願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。 ただし、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その特許出願の際に、その承諾を得ている場合に限る。
1. その特許出願が先の出願の日から1年以内にされたものでない場合(その特許出願が故意に先の出願の日から1年以内にされなかつたものでないと認められる場合であつて、かつ、その特許出願が経済産業省令で定める期間内に経済産業省令で定めるところによりされたものである場合を除く。)
2. 先の出願が第44条[特許出願の分割]第1項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第46条[出願の変更]第1項若しくは第2項の規定による出願の変更に係る特許出願若しくは第46条の2[実用新案登録に基づく特許出願]第1項の規定による実用新案登録に基づく特許出願又は実用新案法第11条第1項において準用するこの法律第44条第1項の規定による実用新案登録出願の分割に係る新たな実用新案登録出願若しくは実用新案法第10条第1項若しくは第2項の規定による出願の変更に係る実用新案登録出願である場合
3. 先の出願が、その特許出願の際に、放棄され、取り下げられ、又は却下されている場合
4. 先の出願について、その特許出願の際に、査定又は審決が確定している場合
5. 先の出願について、その特許出願の際に、実用新案法第14条第2項に規定する設定の登録がされている場合

翻訳文提出前でも主張できる
出願変更はNG

前項の規定による優先権の主張を伴う特許出願に係る発明のうち、当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(当該先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明(当該先の出願が同項若しくは実用新案法第8条第1項の規定による優先権の主張又は第43条[パリ条約による優先権主張の手続]第1項、第43条の2[パリ条約の例による優先権主張]第1項(第43条の3第3項において準用する場合を含む。)若しくは第43条の3第1項若しくは第2項(これらの規定を同法第11条第1項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願に係る出願の際の書類(明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面に相当するものに限る。)に記載された発明を除く。)についての第29条[特許の要件]第29条の2本文、第30条[発明の新規性の喪失の例外]第1項及び第2項、第39条[先願]第1項から第4項まで、第69条[特許権の効力が及ばない範囲]第2項第2号、第72条[他人の特許発明等との関係]第79条[先使用による通常実施権]第81条[意匠権の存続期間満了後の通常実施権]第82条第1項、第104条[生産方法の推定]第65条[出願公開の効果等]第6項(第184条の10[国際公開及び国内公表の効果等]第2項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)並びに第126条[訂正審判]第7項第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第6項、第120条の5[意見書の提出等]第9項及び第134条の2[特許無効審判における訂正の請求]第9項において準用する場合を含む。)、同法第7条第3項及び第17条[手続の補正]、意匠法第26条、第31条第2項及び第32条[特許を受けることができない発明]第2項並びに商標法(昭和34年法律第127号)第29条並びに第33条の2第1項及び第33条の3第1項(これらの規定を同法第68条第3項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、当該特許出願は、当該先の出願の時にされたものとみなす。

累積的な優先権主張は認められない http://imaokapat.biz/__HPB_Recycled/yougo401-500/yougo_detail464.html
特許不使用に関してはあと出願が基準

第1項の規定による優先権の主張を伴う特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願にあつては、外国語書面)に記載された発明のうち、当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(当該先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明(当該先の出願が同項若しくは実用新案法第8条第1項の規定による優先権の主張又は第43条[パリ条約による優先権主張の手続]第1項、第43条の2[パリ条約の例による優先権主張]第1項(第43条の3第3項において準用する場合を含む。)若しくは第43条の3第1項若しくは第2項(これらの規定を同法第11条第1項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願に係る出願の際の書類(明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面に相当するものに限る。)に記載された発明を除く。)については、当該特許出願について特許掲載公報の発行又は出願公開がされた時に当該先の出願について出願公開又は実用新案掲載公報の発行がされたものとみなして、第29条の2本文又は同法第3条の2本文の規定を適用する。

分割は含まれない

第1項の規定による優先権を主張しようとする者は、その旨及び先の出願の表示を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。

優先権を主張せずに出願しても一定期間は申請できる
施行規則

第42条 (先の出願の取下げ等)

前条第1項の規定による優先権の主張の基礎とされた先の出願は、その出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した時に取り下げたものとみなす。 ただし、当該先の出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されている場合、当該先の出願について査定若しくは審決が確定している場合、当該先の出願について実用新案法第14条第2項に規定する設定の登録がされている場合又は当該先の出願に基づく全ての優先権の主張が取り下げられている場合には、この限りでない。

1年4か月で取り下げとみなされる。国際出願の場合、優先権主著は30か月取り下げできるがその前の1年4か月で取り下げ
国内優先権の場合であって、パリ優先権の場合は関係ない

前条第1項の規定による優先権の主張を伴う特許出願の出願人は、先の出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した後は、その主張を取り下げることができない。

前条第1項の規定による優先権の主張を伴う特許出願が先の出願の日から経済産業省令で定める期間内に取り下げられたときは、同時に当該優先権の主張が取り下げられたものとみなす。

第43条 (パリ条約による優先権主張の手続)

パリ条約第4条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとする者は、その旨並びに最初に出願をし若しくは同条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし又は同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の国名及び出願の年月日を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。

前項の規定による優先権の主張をした者は、最初に出願をし、若しくはパリ条約第4条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし、若しくは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面、その出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲及び図面に相当するものの謄本若しくはこれらと同様の内容を有する公報若しくは証明書であつてその同盟国の政府が発行したもの(電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によつては認識することができない方法をいう。第5項及び第44条[特許出願の分割]第4項において同じ。)により提供されたものを含む。)又はこれらの写し(以下この条において「優先権証明書類等」という。)を次の各号に掲げる日のうち最先の日から1年4月以内に特許庁長官に提出しなければならない。
1. 当該最初の出願若しくはパリ条約第4条C(4)の規定により当該最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により当該最初の出願と認められた出願の日
2. その特許出願が第41条[特許出願等に基づく優先権主張]第1項の規定による優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
3. その特許出願が前項、次条第1項第43条の3第3項において準用する場合を含む。)又は第43条の3第1項若しくは第2項の規定による他の優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日

第1項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願若しくはパリ条約第4条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を優先権証明書類等とともに特許庁長官に提出しなければならない。 ただし、優先権証明書類等の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知つたときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。

第1項の規定による優先権の主張をした者が第2項に規定する期間内に優先権証明書類等を提出しないときは、当該優先権の主張は、その効力を失う。

取り下げではない

優先権証明書類等に記載されている事項を電磁的方法によりパリ条約の同盟国の政府又は工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる場合として経済産業省令で定める場合において、第1項の規定による優先権の主張をした者が、第2項に規定する期間内に、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許庁長官に提出したときは、前2項の規定の適用については、優先権証明書類等を提出したものとみなす。

特許庁長官は、第2項に規定する期間内に優先権証明書類等又は前項に規定する書面の提出がなかつたときは、第1項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。

前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、優先権証明書類等又は第5項に規定する書面を特許庁長官に提出することができる。

第6項の規定による通知を受けた者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に優先権証明書類等又は第5項に規定する書面を提出することができないときは、前項の規定にかかわらず、経済産業省令で定める期間内に、その優先権証明書類等又は書面を特許庁長官に提出することができる。

第7項又は前項の規定により優先権証明書類等又は第5項に規定する書面の提出があつたときは、第4項の規定は、適用しない。

第43条の2 (パリ条約の例による優先権主張)

パリ条約第4条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとしたにもかかわらず、同条C(1)に規定する優先期間(以下この項において「優先期間」という。)内に優先権の主張を伴う特許出願をすることができなかつた者は、経済産業省令で定める期間内に経済産業省令で定めるところによりその特許出願をしたときは、優先期間の経過後であつても、同条の規定の例により、その特許出願について優先権を主張することができる。 ただし、故意に、優先期間内にその特許出願をしなかつたと認められる場合は、この限りでない。

前条の規定は、前項の規定により優先権を主張する場合に準用する。

第43条の3

次の表の上欄に掲げる者が同表の下欄に掲げる国においてした出願に基づく優先権は、パリ条約第4条の規定の例により、特許出願について、これを主張することができる。

パリ条約の同盟国又は世界貿易機関の加盟国のいずれにも該当しない国(日本国民に対し、日本国と同一の条件により優先権の主張を認めることとしているものであつて、特許庁長官が指定するものに限る。以下この項において「特定国」という。)の国民がその特定国においてした出願に基づく優先権及び日本国民又はパリ条約の同盟国の国民若しくは世界貿易機関の加盟国の国民が特定国においてした出願に基づく優先権は、パリ条約第4条の規定の例により、特許出願について、これを主張することができる。

前2条の規定は、前2項の規定により優先権を主張する場合に準用する。

第44条 (特許出願の分割)

特許出願人は、次に掲げる場合に限り、2以上の発明を包含する特許出願の1部を1又は2以上の新たな特許出願とすることができる。
1. 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。
2. 特許をすべき旨の査定第163条第3項において準用する第51条[特許査定]の規定による特許をすべき旨の査定及び第160条第1項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から30日以内にするとき。
3. 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から3月以内にするとき。

前置審査における特許をすべき旨の査定があったときは除かれる

前項の場合は、新たな特許出願は、もとの特許出願の時にしたものとみなす。 ただし、新たな特許出願が第29条の2に規定する他の特許出願又は実用新案法第3条の2に規定する特許出願に該当する場合におけるこれらの規定の適用及び第30条[発明の新規性の喪失の例外]第3項の規定の適用については、この限りでない。

分割と変更の場合(公報掲載前)は拡大された先願は適用されない

第1項に規定する新たな特許出願をする場合における第43条[パリ条約による優先権主張の手続]第2項第43条の2[パリ条約の例による優先権主張]第2項(前条第3項において準用する場合を含む。)及び前条第3項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、第43条[パリ条約による優先権主張の手続]第2項中「最先の日から1年4月以内」とあるのは、「最先の日から1年4月又は新たな特許出願の日から3月のいずれか遅い日まで」とする。

第1項に規定する新たな特許出願をする場合には、もとの特許出願について提出された書面又は書類(第43条[パリ条約による優先権主張の手続]第2項第43条の2[パリ条約の例による優先権主張]第2項(前条第3項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)及び前条第3項において準用する場合を含む。)の規定により提出された場合には、電磁的方法により提供されたものを含む。)であつて、新たな特許出願について第30条[発明の新規性の喪失の例外]第3項、第41条[特許出願等に基づく優先権主張]第4項又は第43条[パリ条約による優先権主張の手続]第1項及び第2項(これらの規定を第43条の2[パリ条約の例による優先権主張]第2項及び前条第3項において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな特許出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。

第1項第2号に規定する30日の期間は、第4条[期間の延長等]又は第108条[特許料の納付期限]第3項の規定により同条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。

第1項第3号に規定する3月の期間は、第4条[期間の延長等]の規定により第121条[拒絶査定不服審判]第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。

拒絶査定の延長は、分割とセット

第1項に規定する新たな特許出願をする者がその責めに帰することができない理由により同項第2号又は第3号に規定する期間内にその新たな特許出願をすることができないときは、これらの規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でこれらの規定に規定する期間の経過後6月以内にその新たな特許出願をすることができる。

第45条

削除

第46条 (出願の変更)

実用新案登録出願人は、その実用新案登録出願を特許出願に変更することができる。 ただし、その実用新案登録出願の日から3年を経過した後は、この限りでない。

意匠登録出願人は、その意匠登録出願を特許出願に変更することができる。 ただし、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から3月を経過した後又はその意匠登録出願の日から3年を経過した後その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から3月以内の期間を除く。は、この限りでない。

前項ただし書に規定する3月の期間は、意匠法第68条第1項において準用するこの法律第4条の規定により意匠法第46条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。

第1項又は第2項の規定による出願の変更があつたときは、もとの出願は、取り下げたものとみなす。

第1項の規定による出願の変更をする者がその責めに帰することができない理由により同項ただし書に規定する期間内にその出願の変更をすることができないとき、又は第2項の規定による出願の変更をする者がその責めに帰することができない理由により同項ただし書に規定する3年の期間内にその出願の変更をすることができないときは、これらの規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でこれらの規定に規定する期間の経過後6月以内にその出願の変更をすることができる。

第44条[特許出願の分割]第2項から第4項までの規定は、第1項又は第2項の規定による出願の変更の場合に準用する。

第46条の2 (実用新案登録に基づく特許出願)

実用新案から2つの特許にはできない。特許にした後分割する

実用新案権者は、次に掲げる場合を除き、経済産業省令で定めるところにより、自己の実用新案登録に基づいて特許出願をすることができる。 この場合においては、その実用新案権を放棄しなければならない。
1. その実用新案登録に係る実用新案登録出願の日から3年を経過したとき。
2. その実用新案登録に係る実用新案登録出願又はその実用新案登録について、実用新案登録出願人又は実用新案権者から実用新案法第12条第1項に規定する実用新案技術評価(次号において単に「実用新案技術評価」という。)の請求があつたとき。
3. その実用新案登録に係る実用新案登録出願又はその実用新案登録について、実用新案登録出願人又は実用新案権者でない者がした実用新案技術評価の請求に係る実用新案法第13条第2項の規定による最初の通知を受けた日から30日を経過したとき。
4. その実用新案登録について請求された実用新案法第37条第1項の実用新案登録無効審判について、同法第39条第1項の規定により最初に指定された期間を経過したとき。

実用新案技術評価の請求されていない請求項も30日経過後はできない
優先権主張した実用新案は先の出願のときにしたとはみなされない

前項の規定による特許出願は、その願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が当該特許出願の基礎とされた実用新案登録の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にあるものに限り、その実用新案登録に係る実用新案登録出願の時にしたものとみなす。 ただし、その特許出願が第29条の2に規定する他の特許出願又は実用新案法第3条の2に規定する特許出願に該当する場合におけるこれらの規定の適用並びに第30条[発明の新規性の喪失の例外]第3項、第36条の2第2項ただし書及び第48条の3[出願審査の請求]第2項の規定の適用については、この限りでない。

最初にではない

第1項の規定による特許出願をする者がその責めに帰することができない理由により同項第1号又は第3号に規定する期間を経過するまでにその特許出願をすることができないときは、これらの規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でこれらの規定に規定する期間の経過後6月以内にその特許出願をすることができる。

実用新案権者は、専用実施権者、質権者又は実用新案法第11条第3項において準用するこの法律第35条第1項、実用新案法第18条第3項において準用するこの法律第77条第4項若しくは実用新案法第19条第1項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、第1項の規定による特許出願をすることができる。

第44条[特許出願の分割]第3項及び第4項の規定は、第1項の規定による特許出願をする場合に準用する。

第3章 審査

第47条 (審査官による審査)

特許庁長官は、審査官に特許出願を審査させなければならない。

審査官の資格は、政令で定める。

第48条 (審査官の除斥)

第139条[審判官の除斥](第6号及び第7号を除く。)の規定は、審査官について準用する。

第48条の2 (特許出願の審査)

特許出願の審査は、その特許出願についての出願審査の請求をまつて行なう。

公共の利益のために特に重要であるときも請求をまって

第48条の3 (出願審査の請求)

翻訳文提出前でも請求はできる

特許出願があつたときは、何人も、その日から3年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。

国内優先権:あとの出願、パリ:我が国、分割変更:原出願

第44条[特許出願の分割]第1項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第46条[出願の変更]第1項若しくは第2項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第46条の2[実用新案登録に基づく特許出願]第1項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、前項の期間の経過後であつても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から30日以内に限り、出願審査の請求をすることができる。

出願審査の請求は、取り下げることができない。

第1項の規定により出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかつたときは、この特許出願は、取り下げたものとみなす。

前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、出願審査の請求をすることができる。 ただし、故意に、第1項に規定する期間内にその特許出願について出願審査の請求をしなかつたと認められる場合は、この限りでない。

前項の規定によりされた出願審査の請求は、第1項に規定する期間が満了する時に特許庁長官にされたものとみなす。

前3項の規定は、第2項に規定する期間内に出願審査の請求がなかつた場合に準用する。

第5項(前項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定により特許出願について出願審査の請求をした場合において、その特許出願について特許権の設定の登録があつたときは、その特許出願が第4項(前項において準用する場合を含む。)の規定により取り下げられたものとみなされた旨が掲載された特許公報の発行後その特許出願について第5項の規定による出願審査の請求があつた旨が掲載された特許公報の発行前に善意に日本国内において当該発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許権について通常実施権を有する。

第48条の4

出願審査の請求をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した請求書を特許庁長官に提出しなければならない。
1. 請求人の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 出願審査の請求に係る特許出願の表示

第48条の5

特許庁長官は、出願公開前に出願審査の請求があつたときは出願公開の際又はその後遅滞なく、出願公開後に出願審査の請求があつたときはその後遅滞なく、その旨を特許公報に掲載しなければならない。

特許庁長官は、特許出願人でない者から出願審査の請求があつたときは、その旨を特許出願人に通知しなければならない。

第48条の6 (優先審査)

特許庁長官は、出願公開後に特許出願人でない者が業として特許出願に係る発明を実施していると認める場合において必要があるときは、審査官にその特許出願を他の特許出願に優先して審査させることができる。

第48条の7 (文献公知発明に係る情報の記載についての通知)

審査官は、特許出願が第36条[特許出願]第4項第2号に規定する要件を満たしていないと認めるときは、特許出願人に対し、その旨を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えることができる。

第49条 (拒絶の査定)

審査官は、特許出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
1. その特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第3項又は第4項に規定する要件を満たしていないとき。
2. その特許出願に係る発明が第25条[外国人の権利の享有]第29条[特許の要件]第29条の2第32条[特許を受けることができない発明]第38条[共同出願]又は第39条[先願]第1項から第4項までの規定により特許をすることができないものであるとき。
3. その特許出願に係る発明が条約の規定により特許をすることができないものであるとき。
4. その特許出願が第36条[特許出願]第4項第1号若しくは第6項又は第37条に規定する要件を満たしていないとき。
5. 前条の規定による通知をした場合であつて、その特許出願が明細書についての補正又は意見書の提出によつてもなお第36条[特許出願]第4項第2号に規定する要件を満たすこととならないとき。
6. その特許出願が外国語書面出願である場合において、当該特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないとき。
7. その特許出願人がその発明について特許を受ける権利を有していないとき。

第50条 (拒絶理由の通知)

審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。 ただし、第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第1項第1号又は第3号に掲げる場合(同項第1号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、第53条[補正の却下]第1項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。

最後の拒絶理由通知に対する却下の場合は適用外

第50条の2 (既に通知された拒絶理由と同1である旨の通知)

審査官は、前条の規定により特許出願について拒絶の理由を通知しようとする場合において、当該拒絶の理由が、他の特許出願(当該特許出願と当該他の特許出願の少なくともいずれか一方に第44条[特許出願の分割]第2項の規定が適用されたことにより当該特許出願と同時にされたこととなつているものに限る。)についての前条第159条第2項(第174条[審判の規定等の準用]第2項において準用する場合を含む。)及び第163条第2項において準用する場合を含む。)の規定による通知(当該特許出願についての出願審査の請求前に当該特許出願の出願人がその内容を知り得る状態になかつたものを除く。)に係る拒絶の理由と同一であるときは、その旨を併せて通知しなければならない。

第51条 (特許査定)

審査官は、特許出願について拒絶の理由を発見しないときは、特許をすべき旨の査定をしなければならない。

第52条 (査定の方式)

査定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。

特許庁長官は、査定があつたときは、査定の謄本を特許出願人に送達しなければならない。

第53条 (補正の却下)

第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第1項第1号又は第3号に掲げる場合(同項第1号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて第50条の2[既に通知された拒絶理由と同1である旨の通知]の規定による通知をした場合に限る。)において、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第3項から第6項までの規定に違反しているものと特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に認められたときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。

拒絶理由通知、最初の拒絶理由通知の前は適用外。こちらは拒絶理由通知

前項の規定による却下の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。

第1項の規定による却下の決定に対しては、不服を申し立てることができない。 ただし、拒絶査定不服審判を請求した場合における審判においては、この限りでない。

第54条 (訴訟との関係)

審査において必要があると認めるときは、特許異議の申立てについての決定若しくは審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止することができる。

訴えの提起又は仮差押命令若しくは仮処分命令の申立てがあつた場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、査定が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。

第55条の63

削除

第3章の2 出願公開

第64条 (出願公開)

特許庁長官は、特許出願の日から1年6月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない。 次条第1項に規定する出願公開の請求があつたときも、同様とする。

優先権主張の場合は先の出願から1年6か月

出願公開は、次に掲げる事項を特許公報に掲載することにより行う。 ただし、第4号から第6号までに掲げる事項については、当該事項を特許公報に掲載することが公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると特許庁長官が認めるときは、この限りでない。
1. 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 特許出願の番号及び年月日
3. 発明者の氏名及び住所又は居所
4. 願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容
5. 願書に添付した要約書に記載した事項
6. 外国語書面出願にあつては、外国語書面及び外国語要約書面に記載した事項
7. 出願公開の番号及び年月日
8. 前各号に掲げるもののほか、必要な事項

公の秩序又は善良の風俗は特許公報であって、出願公開は関係ない

特許庁長官は、願書に添付した要約書の記載が第36条[特許出願]第7項の規定に適合しないときその他必要があると認めるときは、前項第5号の要約書に記載した事項に代えて、自ら作成した事項を特許公報に掲載することができる。

第64条の2 (出願公開の請求)

特許出願人は、次に掲げる場合を除き、特許庁長官に、その特許出願について出願公開の請求をすることができる。
1. その特許出願が出願公開されている場合
2. その特許出願が第43条[パリ条約による優先権主張の手続]第1項、第43条の2[パリ条約の例による優先権主張]第1項第43条の3第3項において準用する場合を含む。)又は第43条の3第1項若しくは第2項の規定による優先権の主張を伴う特許出願であつて、第43条[パリ条約による優先権主張の手続]第2項第43条の2[パリ条約の例による優先権主張]第2項(第43条の3第3項において準用する場合を含む。)及び第43条の3第3項において準用する場合を含む。)に規定する優先権証明書類等及び第43条[パリ条約による優先権主張の手続]第5項第43条の2[パリ条約の例による優先権主張]第2項(第43条の3第3項において準用する場合を含む。)及び第43条の3第3項において準用する場合を含む。)に規定する書面が特許庁長官に提出されていないものである場合
3. その特許出願が外国語書面出願であつて第36条の2第2項に規定する外国語書面の翻訳文が特許庁長官に提出されていないものである場合

優先権主張のもととなる出願で今後取り下げられるものも請求すればその前に公開される

出願公開の請求は、取り下げることができない。

第64条の3

出願公開の請求をしようとする特許出願人は、次に掲げる事項を記載した請求書を特許庁長官に提出しなければならない。
1. 請求人の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 出願公開の請求に係る特許出願の表示

第65条 (出願公開の効果等)

特許出願人は、出願公開があつた後に特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対し、その発明が特許発明である場合にその実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。 当該警告をしない場合においても、出願公開がされた特許出願に係る発明であることを知つて特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対しては、同様とする。

前項の規定による請求権は、特許権の設定の登録があつた後でなければ、行使することができない。

特許出願人は、その仮専用実施権者又は仮通常実施権者が、その設定行為で定めた範囲内において当該特許出願に係る発明を実施した場合については、第1項に規定する補償金の支払を請求することができない。

第1項の規定による請求権の行使は、特許権の行使を妨げない。

出願公開後に特許出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、特許出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したとき、第112条[特許料の追納]第6項の規定により特許権が初めから存在しなかつたものとみなされたとき(更に第112条の2[特許料の追納による特許権の回復]第2項の規定により特許権が初めから存在していたものとみなされたときを除く。)第114条[決定]第2項の取消決定が確定したとき、又は第125条ただし書の場合を除き特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、第1項の請求権は、初めから生じなかつたものとみなす。

第101条[侵害とみなす行為]第104条[生産方法の推定]から第104条の3[特許権者等の権利行使の制限]まで、第105条[書類の提出等]から第105条の2[査証人に対する査証の命令]の12まで、第105条の4[秘密保持命令]から第105条の7[当事者尋問等の公開停止]まで及び第168条[訴訟との関係]第3項から第6項まで並びに民法(明治29年法律第89号)第719条及び第724条(不法行為)の規定は、第1項の規定による請求権を行使する場合に準用する。 この場合において、当該請求権を有する者が特許権の設定の登録前に当該特許出願に係る発明の実施の事実及びその実施をした者を知つたときは、同条第1号中「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時」とあるのは、「特許権の設定の登録の日」と読み替えるものとする。

第4章 特許権

第66条 (特許権の設定の登録)

特許権は、設定の登録により発生する。

第107条[特許料]第1項の規定による第1年から第3年までの各年分の特許料の納付又はその納付の免除若しくは猶予があつたときは、特許権の設定の登録をする。

前項の登録があつたときは、次に掲げる事項を特許公報に掲載しなければならない。 ただし、第5号に掲げる事項については、その特許出願について出願公開がされているときは、この限りでない。
1. 特許権者の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 特許出願の番号及び年月日
3. 発明者の氏名及び住所又は居所
4. 願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容
5. 願書に添付した要約書に記載した事項
6. 特許番号及び設定の登録の年月日
7. 前各号に掲げるもののほか、必要な事項

第64条[出願公開]第3項の規定は、前項の規定により同項第5号の要約書に記載した事項を特許公報に掲載する場合に準用する。

第67条 (存続期間)

特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもつて終了する。

国内優先権:あとの出願、パリ:我が国、分割変更:原出願

前項に規定する存続期間は、特許権の設定の登録が特許出願の日から起算して5年を経過した日又は出願審査の請求があつた日から起算して3年を経過した日のいずれか遅い日(以下「基準日」という。)以後にされたときは、延長登録の出願により延長することができる。

前項の規定により延長することができる期間は、基準日から特許権の設定の登録の日までの期間に相当する期間から、次の各号に掲げる期間を合算した期間(これらの期間のうち重複する期間がある場合には、当該重複する期間を合算した期間を除いた期間)に相当する期間を控除した期間(以下「延長可能期間」という。)を超えない範囲内の期間とする。
1. その特許出願に係るこの法律第39条[先願]第6項及び第50条[拒絶理由の通知]を除く。)、実用新案法若しくは工業所有権に関する手続等の特例に関する法律(平成2年法律第30号)又はこれらの法律に基づく命令の規定による通知又は命令(特許庁長官又は審査官が行うものに限る。)があつた場合において当該通知又は命令を受けた場合に執るべき手続が執られたときにおける当該通知又は命令があつた日から当該執るべき手続が執られた日までの期間
2. その特許出願に係るこの法律又はこの法律に基づく命令(次号、第5号及び第10号において「特許法令」という。)の規定による手続を執るべき期間の延長があつた場合における当該手続を執るべき期間が経過した日から当該手続をした日までの期間
3. その特許出願に係る特許法令の規定による手続であつて当該手続を執るべき期間の定めがあるものについて特許法令の規定により出願人が当該手続を執るべき期間の経過後であつても当該手続を執ることができる場合において当該手続をしたときにおける当該手続を執るべき期間が経過した日から当該手続をした日までの期間
4. その特許出願に係るこの法律若しくは工業所有権に関する手続等の特例に関する法律又はこれらの法律に基づく命令(第8号及び第9号において「特許法関係法令」という。)の規定による処分又は通知について出願人の申出その他の行為により当該処分又は通知を保留した場合における当該申出その他の行為があつた日から当該処分又は通知を保留する理由がなくなつた日までの期間
5. その特許出願に係る特許法令の規定による特許料又は手数料の納付について当該特許料又は手数料の軽減若しくは免除又は納付の猶予の決定があつた場合における当該軽減若しくは免除又は納付の猶予に係る申請があつた日から当該決定があつた日までの期間
6. その特許出願に係る第38条の4[明細書又は図面の1部の記載が欠けている場合の通知等]第7項の規定による明細書等補完書の取下げがあつた場合における当該明細書等補完書が同条第3項の規定により提出された日から同条第7項の規定により当該明細書等補完書が取り下げられた日までの期間
7. その特許出願に係る拒絶査定不服審判の請求があつた場合における次のイからハまでに掲げる区分に応じて当該イからハまでに定める期間
8. その特許出願に係る特許法関係法令の規定による処分について行政不服審査法(平成26年法律第68号)の規定による審査請求に対する裁決が確定した場合における当該審査請求の日から当該裁決の謄本の送達があつた日までの期間
9. その特許出願に係る特許法関係法令の規定による処分について行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)の規定による訴えの判決が確定した場合における当該訴えの提起の日から当該訴えの判決が確定した日までの期間
10. その特許出願に係る特許法令の規定による手続が中断し、又は中止した場合における当該手続が中断し、又は中止した期間

第1項に規定する存続期間(第2項の規定により延長されたときは、その延長の期間を加えたもの。第67条の5第3項ただし書、第68条の2[第67条第4項の規定により存続期間が延長された場合の特許権の効力]及び第107条[特許料]第1項において同じ。)は、その特許発明の実施について安全性の確保等を目的とする法律の規定による許可その他の処分であつて当該処分の目的、手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとして政令で定めるものを受けることが必要であるために、その特許発明の実施をすることができない期間があつたときは、5年を限度として、延長登録の出願により延長することができる。

第67条の2 (存続期間の延長登録)

前条第2項の延長登録の出願をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
1. 出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 特許番号
3. 延長を求める期間
4. 特許出願の番号及び年月日
5. 出願審査の請求があつた年月日

前項の願書には、経済産業省令で定めるところにより、同項第3号に掲げる期間の算定の根拠を記載した書面を添付しなければならない。

前条第2項の延長登録の出願は、特許権の設定の登録の日から3月(出願をする者がその責めに帰することができない理由により当該期間内に出願をすることができないときは、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)を経過する日までの期間(当該期間が9月を超えるときは、9月))以内にしなければならない。 ただし、同条第1項に規定する存続期間の満了後は、することができない。

特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、前条第2項の延長登録の出願をすることができない。

同意があってもだめ

前条第2項の延長登録の出願があつたときは、同条第1項に規定する存続期間は、延長されたものとみなす。 ただし、その出願について拒絶をすべき旨の査定が確定し、又は次条第3項の延長登録があつたときは、この限りでない。

前条第2項の延長登録の出願があつたときは、第1項各号に掲げる事項を特許公報に掲載しなければならない。

第67条の3

審査官は、第67条[存続期間]第2項の延長登録の出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
1. その特許権の設定の登録が基準日以後にされていないとき。
2. その延長を求める期間がその特許権の存続期間に係る延長可能期間を超えているとき。
3. その出願をした者が当該特許権者でないとき。
4. その出願が前条第4項に規定する要件を満たしていないとき。

審査官は、第67条[存続期間]第2項の延長登録の出願について拒絶の理由を発見しないときは、延長登録をすべき旨の査定をしなければならない。

前項の査定があつたときは、延長登録をする。

前項の延長登録があつたときは、次に掲げる事項を特許公報に掲載しなければならない。
1. 特許権者の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 特許番号
3. 第67条[存続期間]第2項の延長登録の出願の番号及び年月日
4. 延長登録の年月日
5. 延長の期間
6. 特許出願の番号及び年月日
7. 出願審査の請求があつた年月日

第67条の4

第47条[審査官による審査]第1項、第50条[拒絶理由の通知]第52条[査定の方式]及び第139条[審判官の除斥](第7号を除く。)の規定は、第67条[存続期間]第2項の延長登録の出願の審査について準用する。 この場合において、第139条[審判官の除斥]第6号中「不服を申し立てられた」とあるのは、「第67条[存続期間]第2項の延長登録の出願があつた特許権に係る特許出願の」と読み替えるものとする。

第67条の5

第67条[存続期間]第4項の延長登録の出願をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
1. 出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 特許番号
3. 延長を求める期間(5年以下の期間に限る。)
4. 第67条[存続期間]第4項の政令で定める処分の内容

前項の願書には、経済産業省令で定めるところにより、延長の理由を記載した資料を添付しなければならない。

第67条[存続期間]第4項の延長登録の出願は、同項の政令で定める処分を受けた日から政令で定める期間内にしなければならない。 ただし、同条第1項に規定する存続期間の満了後は、することができない。

第67条の2[存続期間の延長登録]第4項から第6項までの規定は、第67条[存続期間]第4項の延長登録の出願について準用する。 この場合において、第67条の2[存続期間の延長登録]第5項ただし書中「次条第3項」とあるのは「第67条の7第3項」と、同条第6項中「第1項各号」とあるのは「第67条の5第1項各号」と読み替えるものとする。

第67条の6

第67条[存続期間]第4項の延長登録の出願をしようとする者は、同条第1項に規定する存続期間の満了前6月の前日までに同条第4項の政令で定める処分を受けることができないと見込まれるときは、次に掲げる事項を記載した書面をその日までに特許庁長官に提出しなければならない。
1. 出願をしようとする者の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 特許番号
3. 第67条[存続期間]第4項の政令で定める処分

前項の規定により提出すべき書面を提出しないときは、第67条[存続期間]第1項に規定する存続期間の満了前6月以後に同条第4項の延長登録の出願をすることができない。

第1項に規定する書面が提出されたときは、同項各号に掲げる事項を特許公報に掲載しなければならない。

第1項の規定により同項に規定する書面を提出する者がその責めに帰することができない理由により同項に規定する日までにその書面を提出することができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、1月)以内で同項に規定する日の後2月以内にその書面を特許庁長官に提出することができる。

第67条の7

審査官は、第67条[存続期間]第4項の延長登録の出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
1. その特許発明の実施に第67条[存続期間]第4項の政令で定める処分を受けることが必要であつたとは認められないとき。
2. その特許権者又はその特許権についての専用実施権若しくは通常実施権を有する者が第67条[存続期間]第4項の政令で定める処分を受けていないとき。
3. その延長を求める期間がその特許発明の実施をすることができなかつた期間を超えているとき。
4. その出願をした者が当該特許権者でないとき。
5. その出願が第67条の5第4項において準用する第67条の2[存続期間の延長登録]第4項に規定する要件を満たしていないとき。

審査官は、第67条[存続期間]第4項の延長登録の出願について拒絶の理由を発見しないときは、延長登録をすべき旨の査定をしなければならない。

前項の査定があつたときは、延長登録をする。

前項の延長登録があつたときは、次に掲げる事項を特許公報に掲載しなければならない。
1. 特許権者の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 特許番号
3. 第67条[存続期間]第4項の延長登録の出願の番号及び年月日
4. 延長登録の年月日
5. 延長の期間
6. 第67条[存続期間]第4項の政令で定める処分の内容

第67条の8

第67条の4前段の規定は、第67条[存続期間]第4項の延長登録の出願の審査について準用する。 この場合において、第67条の4前段中「第7号」とあるのは、「第6号及び第7号」と読み替えるものとする。

第68条 (特許権の効力)

特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。 ただし、その特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。

第68条の2 (第67条第4項の規定により存続期間が延長された場合の特許権の効力)

第67条[存続期間]第4項の規定により同条第1項に規定する存続期間が延長された場合第67条の5第4項において準用する第67条の2[存続期間の延長登録]第5項本文の規定により延長されたものとみなされた場合を含む。)の当該特許権の効力は、その延長登録の理由となつた第67条[存続期間]第4項の政令で定める処分の対象となつた物その処分においてその物の使用される特定の用途が定められている場合にあつては、当該用途に使用されるその物についての当該特許発明の実施以外の行為には、及ばない。

第69条 (特許権の効力が及ばない範囲)

特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、及ばない。

特許権の効力は、次に掲げる物には、及ばない。
1. 単に日本国内を通過するに過ぎない船舶若しくは航空機又はこれらに使用する機械、器具、装置その他の物
2. 特許出願の時から日本国内にある物

2以上の医薬(人の病気の診断、治療、処置又は予防のため使用する物をいう。以下この項において同じ。)を混合することにより製造されるべき医薬の発明又は2以上の医薬を混合して医薬を製造する方法の発明に係る特許権の効力は、医師又は歯科医師の処方せんにより調剤する行為及び医師又は歯科医師の処方せんにより調剤する医薬には、及ばない。

第70条 (特許発明の技術的範囲)

特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。

前項の場合においては、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする。

前2項の場合においては、願書に添付した要約書の記載を考慮してはならない。

第71条

特許発明の技術的範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができる。

法的な拘束力を有するものではない

特許庁長官は、前項の規定による求があつたときは、3名の審判官を指定して、その判定をさせなければならない。

第131条[審判請求の方式]第1項、第131条の2[審判請求書の補正]第1項本文、第132条[共同審判]第1項及び第2項、第133条[方式に違反した場合の決定による却下]第133条の2[不適法な手続の却下]第134条[答弁書の提出等]第1項、第3項及び第4項、第135条[不適法な審判請求の審決による却下]第136条[審判の合議制]第1項及び第2項、第137条[審判官の指定]第2項、第138条[審判長]第139条[審判官の除斥](第6号及び第7号を除く。)第140条から第144条まで、第144条の2[審判書記官]第1項及び第3項から第5項まで、第145条[審判における審理の方式]第2項から第7項まで、第146条第147条[調書]第1項及び第2項、第150条[証拠調及び証拠保全]第1項から第5項まで、第151条から第154条[審理の併合又は分離]まで、第155条[審判の請求の取下げ]第1項、第157条[審決]並びに第169条[審判における費用の負担]第3項、第4項及び第6項の規定は、第1項の判定について準用する。 この場合において、第135条[不適法な審判請求の審決による却下]中「審決」とあるのは「決定」と、第145条[審判における審理の方式]第2項中「前項に規定する審判以外の審判」とあるのは「判定の審理」と、同条第5項ただし書中「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるとき」とあるのは「審判長が必要があると認めるとき」と、第151条中「第147条[調書]」とあるのは「第147条[調書]第1項及び第2項」と、第155条[審判の請求の取下げ]第1項中「審決が確定するまで」とあるのは「判定の謄本が送達されるまで」と読み替えるものとする。

前項において読み替えて準用する第135条[不適法な審判請求の審決による却下]の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。

第71条の2

特許庁長官は、裁判所から特許発明の技術的範囲について鑑定の嘱託があつたときは、3名の審判官を指定して、その鑑定をさせなければならない。

第136条[審判の合議制]第1項及び第2項、第137条[審判官の指定]第2項並びに第138条[審判長]の規定は、前項の鑑定の嘱託に準用する。

第72条 (他人の特許発明等との関係)

特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その特許発明がその特許出願の日前の出願に係る他人の特許発明、登録実用新案若しくは登録意匠若しくはこれに類似する意匠を利用するものであるとき、又はその特許権がその特許出願の日前の出願に係る他人の意匠権若しくは商標権と抵触するときは、業としてその特許発明の実施をすることができない。

第73条 (共有に係る特許権)

特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又はその持分を目的として質権を設定することができない。

特許権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定をした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその特許発明の実施をすることができる。

特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その特許権について専用実施権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができない。

第74条 (特許権の移転の特例)

特許が第123条[特許無効審判]第1項第2号に規定する要件に該当するとき(その特許が第38条[共同出願]の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第6号に規定する要件に該当するときは、当該特許に係る発明について特許を受ける権利を有する者は、経済産業省令で定めるところにより、その特許権者に対し、当該特許権の移転を請求することができる。

前項の規定による請求に基づく特許権の移転の登録があつたときは、その特許権は、初めから当該登録を受けた者に帰属していたものとみなす。 当該特許権に係る発明についての第65条[出願公開の効果等]第1項又は第184条の10[国際公開及び国内公表の効果等]第1項の規定による請求権についても、同様とする。

共有に係る特許権について第1項の規定による請求に基づきその持分を移転する場合においては、前条第1項の規定は、適用しない。

第75条

削除

第76条 (相続人がない場合の特許権の消滅)

特許権は、民法第952条第2項の期間内に相続人である権利を主張する者がないときは、消滅する。

第77条 (専用実施権)

専用実施権を設定した場合は、特許賢者は通常実施権をその範囲で設定できない

特許権者は、その特許権について専用実施権を設定することができる。

専用実施権は、同一条件で2つ同時には存在しない

専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を専有する。

専用実施権は、実施の事業とともにする場合、特許権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。

専用実施権者は、特許権者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権について質権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができる。

第73条[共有に係る特許権]の規定は、専用実施権に準用する。

第78条 (通常実施権)

特許権者は、その特許権について他人に通常実施権を許諾することができる。

通常実施権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を有する。

第79条 (先使用による通常実施権)

特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし、又は特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をした者から知得して、特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許出願に係る特許権について通常実施権を有する。

先使用と職務発明の通常使用権は対価不要

第79条の2 (特許権の移転の登録前の実施による通常実施権)

第74条[特許権の移転の特例]第1項の規定による請求に基づく特許権の移転の登録の際現にその特許権、その特許権についての専用実施権又はその特許権若しくは専用実施権についての通常実施権を有していた者であつて、その特許権の移転の登録前に、特許が第123条[特許無効審判]第1項第2号に規定する要件に該当すること(その特許が第38条[共同出願]の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第6号に規定する要件に該当することを知らないで、日本国内において当該発明の実施である事業をしているもの又はその事業の準備をしているものは、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許権について通常実施権を有する。

当該特許権者は、前項の規定により通常実施権を有する者から相当の対価を受ける権利を有する。

第80条 (無効審判の請求登録前の実施による通常実施権)

次の各号のいずれかに該当する者であつて、特許無効審判の請求の登録前に、特許が第123条[特許無効審判]第1項各号のいずれかに規定する要件に該当することを知らないで、日本国内において当該発明の実施である事業をしているもの又はその事業の準備をしているものは、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許を無効にした場合における特許権又はその際現に存する専用実施権について通常実施権を有する。
1. 同一の発明についての2以上の特許のうち、その1を無効にした場合における原特許権者
2. 特許を無効にして同一の発明について正当権利者に特許をした場合における原特許権者
3. 前2号に掲げる場合において、特許無効審判の請求の登録の際現にその無効にした特許に係る特許権についての専用実施権又はその特許権若しくは専用実施権についての通常実施権を有する者

当該特許権者又は専用実施権者は、前項の規定により通常実施権を有する者から相当の対価を受ける権利を有する。

第81条 (意匠権の存続期間満了後の通常実施権)

特許出願の日前又はこれと同日の意匠登録出願に係る意匠権がその特許出願に係る特許権と抵触する場合において、その意匠権の存続期間が満了したときは、その原意匠権者は、原意匠権の範囲内において、当該特許権又はその意匠権の存続期間の満了の際現に存する専用実施権について通常実施権を有する。

第82条

特許出願の日前又はこれと同日の意匠登録出願に係る意匠権がその特許出願に係る特許権と抵触する場合において、その意匠権の存続期間が満了したときは、その満了の際現にその意匠権についての専用実施権又はその意匠権若しくは専用実施権についての通常実施権を有する者は、原権利の範囲内において、当該特許権又はその意匠権の存続期間の満了の際現に存する専用実施権について通常実施権を有する。

当該特許権者又は専用実施権者は、前項の規定により通常実施権を有する者から相当の対価を受ける権利を有する。

第83条 (不実施の場合の通常実施権の設定の裁定)

特許発明の実施が継続して3年以上日本国内において適当にされていないときは、その特許発明の実施をしようとする者は、特許権者又は専用実施権者に対し通常実施権の許諾について協議を求めることができる。 ただし、その特許発明に係る特許出願の日から4年を経過していないときは、この限りでない。

前項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、その特許発明の実施をしようとする者は、特許庁長官の裁定を請求することができる。

第84条 (答弁書の提出)

特許庁長官は、前条第2項の裁定の請求があつたときは、請求書の副本をその請求に係る特許権者又は専用実施権者その他その特許に関し登録した権利を有する者に送達し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。

第84条の2 (通常実施権者の意見の陳述)

第83条[不実施の場合の通常実施権の設定の裁定]第2項の裁定の請求があつたときは、その特許に関し通常実施権を有する者は、前条に規定する期間内に限り、その裁定の請求について意見を述べることができる。

第85条 (審議会の意見の聴取等)

特許庁長官は、第83条[不実施の場合の通常実施権の設定の裁定]第2項の裁定をしようとするときは、審議会等(国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第8条[在外者の特許管理人]に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。

特許庁長官は、その特許発明の実施が適当にされていないことについて正当な理由があるときは、通常実施権を設定すべき旨の裁定をすることができない。

第86条 (裁定の方式)

第83条[不実施の場合の通常実施権の設定の裁定]第2項の裁定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。

通常実施権を設定すべき旨の裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
1. 通常実施権を設定すべき範囲
2. 対価の額並びにその支払の方法及び時期

第87条 (裁定の謄本の送達)

特許庁長官は、第83条[不実施の場合の通常実施権の設定の裁定]第2項の裁定をしたときは、裁定の謄本を当事者、当事者以外の者であつてその特許に関し登録した権利を有するもの及び第84条の2[通常実施権者の意見の陳述]の規定により意見を述べた通常実施権者に送達しなければならない。

当事者に対し前項の規定により通常実施権を設定すべき旨の裁定の謄本の送達があつたときは、裁定で定めるところにより、当事者間に協議が成立したものとみなす。

第88条 (対価の供託)

第86条[裁定の方式]第2項第2号の対価を支払うべき者は、次に掲げる場合は、その対価を供託しなければならない。
1. 対価の弁済の提供をした場合において、その対価を受けるべき者がその受領を拒んだとき。
2. その対価を受けるべき者がこれを受領することができないとき。
3. その対価について第183条[対価の額についての訴え]第1項の訴えの提起があつたとき。
4. 当該特許権又は専用実施権を目的とする質権が設定されているとき。
ただし、質権者の承諾を得たときは、この限りでない。

第89条 (裁定の失効)

通常実施権の設定を受けようとする者が第83条[不実施の場合の通常実施権の設定の裁定]第2項の裁定で定める支払の時期までに対価(対価を定期に又は分割して支払うべきときは、その最初に支払うべき分)の支払又は供託をしないときは、通常実施権を設定すべき旨の裁定は、その効力を失う。

第90条 (裁定の取消し)

特許庁長官は、第83条[不実施の場合の通常実施権の設定の裁定]第2項の規定により通常実施権を設定すべき旨の裁定をした後に、裁定の理由の消滅その他の事由により当該裁定を維持することが適当でなくなつたとき、又は通常実施権の設定を受けた者が適当にその特許発明の実施をしないときは、利害関係人の請求により又は職権で、裁定を取り消すことができる。

第84条[答弁書の提出]第84条の2[通常実施権者の意見の陳述]第85条[審議会の意見の聴取等]第1項、第86条[裁定の方式]第1項及び第87条[裁定の謄本の送達]第1項の規定は前項の規定による裁定の取消しに、第85条[審議会の意見の聴取等]第2項の規定は通常実施権の設定を受けた者が適当にその特許発明の実施をしない場合の前項の規定による裁定の取消しに準用する。

第91条

前条第1項の規定による裁定の取消があつたときは、通常実施権は、その後消滅する。

第91条の2 (裁定についての不服の理由の制限)

第83条[不実施の場合の通常実施権の設定の裁定]第2項の規定による裁定についての行政不服審査法の規定による審査請求においては、その裁定で定める対価についての不服をその裁定についての不服の理由とすることができない。

第92条 (自己の特許発明の実施をするための通常実施権の設定の裁定)

特許権者又は専用実施権者は、その特許発明が第72条[他人の特許発明等との関係]に規定する場合に該当するときは、同条の他人に対しその特許発明の実施をするための通常実施権又は実用新案権若しくは意匠権についての通常実施権の許諾について協議を求めることができる。

前項の協議を求められた第72条[他人の特許発明等との関係]の他人は、その協議を求めた特許権者又は専用実施権者に対し、これらの者がその協議により通常実施権又は実用新案権若しくは意匠権についての通常実施権の許諾を受けて実施をしようとする特許発明の範囲内において、通常実施権の許諾について協議を求めることができる。

第1項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、特許権者又は専用実施権者は、特許庁長官の裁定を請求することができる。

第2項の協議が成立せず、又は協議をすることができない場合において、前項の裁定の請求があつたときは、第72条[他人の特許発明等との関係]の他人は、第7項において準用する第84条[答弁書の提出]の規定によりその者が答弁書を提出すべき期間として特許庁長官が指定した期間内に限り、特許庁長官の裁定を請求することができる。

特許庁長官は、第3項又は前項の場合において、当該通常実施権を設定することが第72条[他人の特許発明等との関係]の他人又は特許権者若しくは専用実施権者の利益を不当に害することとなるときは、当該通常実施権を設定すべき旨の裁定をすることができない。

特許庁長官は、前項に規定する場合のほか、第4項の場合において、第3項の裁定の請求について通常実施権を設定すべき旨の裁定をしないときは、当該通常実施権を設定すべき旨の裁定をすることができない。

第93条 (公共の利益のための通常実施権の設定の裁定)

特許発明の実施が公共の利益のため特に必要であるときは、その特許発明の実施をしようとする者は、特許権者又は専用実施権者に対し通常実施権の許諾について協議を求めることができる。

前項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、その特許発明の実施をしようとする者は、経済産業大臣の裁定を請求することができる。

第94条 (通常実施権の移転等)

通常実施権は、第83条[不実施の場合の通常実施権の設定の裁定]第2項、第92条[自己の特許発明の実施をするための通常実施権の設定の裁定]第3項若しくは第4項若しくは前条第2項、実用新案法第22条第3項又は意匠法第33条第3項の裁定による通常実施権を除き、実施の事業とともにする場合、特許権者(専用実施権についての通常実施権にあつては、特許権者及び専用実施権者)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。

質権の実行によって移転する場合には承諾は不要

通常実施権者は、第83条[不実施の場合の通常実施権の設定の裁定]第2項、第92条[自己の特許発明の実施をするための通常実施権の設定の裁定]第3項若しくは第4項若しくは前条第2項、実用新案法第22条第3項又は意匠法第33条第3項の裁定による通常実施権を除き、特許権者(専用実施権についての通常実施権にあつては、特許権者及び専用実施権者)の承諾を得た場合に限り、その通常実施権について質権を設定することができる。

第83条[不実施の場合の通常実施権の設定の裁定]第2項又は前条第2項の裁定による通常実施権は、実施の事業とともにする場合に限り、移転することができる。

第92条[自己の特許発明の実施をするための通常実施権の設定の裁定]第3項、実用新案法第22条第3項又は意匠法第33条第3項の裁定による通常実施権は、その通常実施権者の当該特許権、実用新案権又は意匠権が実施の事業とともに移転したときはこれらに従つて移転し、その特許権、実用新案権又は意匠権が実施の事業と分離して移転したとき、又は消滅したときは消滅する。

第92条[自己の特許発明の実施をするための通常実施権の設定の裁定]第4項の裁定による通常実施権は、その通常実施権者の当該特許権、実用新案権又は意匠権に従つて移転し、その特許権、実用新案権又は意匠権が消滅したときは消滅する。

実施の事業とは無関係

第73条[共有に係る特許権]第1項の規定は、通常実施権に準用する。

第95条 (質権)

特許権、専用実施権又は通常実施権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定をした場合を除き、当該特許発明の実施をすることができない。

第96条

特許権、専用実施権又は通常実施権を目的とする質権は、特許権、専用実施権若しくは通常実施権の対価又は特許発明の実施に対しその特許権者若しくは専用実施権者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行うことができる。 ただし、その払渡又は引渡前に差押をしなければならない。

第97条 (特許権等の放棄)

特許権者は、専用実施権者又は質権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その特許権を放棄することができる。

専用実施権者は、質権者又は第77条[専用実施権]第4項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権を放棄することができる。

通常実施権者は、質権者があるときは、その承諾を得た場合に限り、その通常実施権を放棄することができる。

第98条 (登録の効果)

次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じない。
1. 特許権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、信託による変更、放棄による消滅又は処分の制限
2. 専用実施権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅混同又は特許権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
3. 特許権又は専用実施権を目的とする質権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅混同又は担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限


前項各号の相続その他の一般承継の場合は、遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出なければならない。

第99条 (通常実施権の対抗力)

通常実施権は、その発生後にその特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。

第100条 (差止請求権)

特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

特許権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(物を生産する方法の特許発明にあつては、侵害の行為により生じた物を含む。第102条[損害の額の推定等]第1項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。

第101条 (侵害とみなす行為)

次に掲げる行為は、当該特許権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
1. 特許が物の発明についてされている場合において、業として、その物の生産にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
2. 特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
3. 特許が物の発明についてされている場合において、その物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為
4. 特許が方法の発明についてされている場合において、業として、その方法の使用にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
5. 特許が方法の発明についてされている場合において、その方法の使用に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
6. 特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、その方法により生産した物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為

ものの発明において、使用のための所持はOK

第102条 (損害の額の推定等)

特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物を譲渡したときは、次の各号に掲げる額の合計額を、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。
1. 特許権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額に、自己の特許権又は専用実施権を侵害した者が譲渡した物の数量(次号において「譲渡数量」という。)のうち当該特許権者又は専用実施権者の実施の能力に応じた数量(同号において「実施相応数量」という。)を超えない部分(その全部又は1部に相当する数量を当該特許権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量(同号において「特定数量」という。)を控除した数量)を乗じて得た額
2. 譲渡数量のうち実施相応数量を超える数量又は特定数量がある場合(特許権者又は専用実施権者が、当該特許権者の特許権についての専用実施権の設定若しくは通常実施権の許諾又は当該専用実施権者の専用実施権についての通常実施権の許諾をし得たと認められない場合を除く。)におけるこれらの数量に応じた当該特許権又は専用実施権に係る特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額

特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。

特許権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対し、その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。

裁判所は、第1項第2号及び前項に規定する特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額を認定するに当たつては、特許権者又は専用実施権者が、自己の特許権又は専用実施権に係る特許発明の実施の対価について、当該特許権又は専用実施権の侵害があつたことを前提として当該特許権又は専用実施権を侵害した者との間で合意をするとしたならば、当該特許権者又は専用実施権者が得ることとなるその対価を考慮することができる。

第3項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。 この場合において、特許権又は専用実施権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。

実施料相当額(ライセンス)以下にはできない

第103条 (過失の推定)

他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定する

第104条 (生産方法の推定)

物を生産する方法の発明について特許がされている場合において、その物が特許出願前に日本国内において公然知られた物でないときは、その物と同一の物は、その方法により生産したものと推定する

第104条の2 (具体的態様の明示義務)

特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、特許権者又は専用実施権者が侵害の行為を組成したものとして主張する物又は方法の具体的態様を否認するときは、相手方は、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない。 ただし、相手方において明らかにすることができない相当の理由があるときは、この限りでない。

制裁はないが、裁判官の心証に影響

第104条の3 (特許権者等の権利行使の制限)

特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、当該特許が特許無効審判により又は当該特許権の存続期間の延長登録が延長登録無効審判により無効にされるべきものと認められるときは、特許権者又は専用実施権者は、相手方に対しその権利を行使することができない。

前項の規定による攻撃又は防御の方法については、これが審理を不当に遅延させることを目的として提出されたものと認められるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。

独立に抗告できない

第123条[特許無効審判]第2項の規定は、当該特許に係る発明について特許無効審判を請求することができる者以外の者が第1項の規定による攻撃又は防御の方法を提出することを妨げない。

利害関係人でなくてもできる

第104条の4 (主張の制限)

特許権若しくは専用実施権の侵害又は第65条[出願公開の効果等]第1項若しくは第184条の10[国際公開及び国内公表の効果等]第1項に規定する補償金の支払の請求に係る訴訟の終局判決が確定した後に、次に掲げる決定又は審決が確定したときは、当該訴訟の当事者であつた者は、当該終局判決に対する再審の訴え(当該訴訟を本案とする仮差押命令事件の債権者に対する損害賠償の請求を目的とする訴え並びに当該訴訟を本案とする仮処分命令事件の債権者に対する損害賠償及び不当利得返還の請求を目的とする訴えを含む。)において、当該決定又は審決が確定したことを主張することができない。
1. 当該特許を取り消すべき旨の決定又は無効にすべき旨の審決
2. 当該特許権の存続期間の延長登録を無効にすべき旨の審決
3. 当該特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正をすべき旨の決定又は審決であつて政令で定めるもの

第105条 (書類の提出等)

裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害行為について立証するため、又は当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。 ただし、その書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。

裁判所は、前項本文の申立てに係る書類が同項本文の書類に該当するかどうか又は同項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、書類の所持者にその提示をさせることができる。 この場合においては、何人も、その提示された書類の開示を求めることができない。

裁判所は、前項の場合において、第1項本文の申立てに係る書類が同項本文の書類に該当するかどうか又は同項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかについて前項後段の書類を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等(当事者(法人である場合にあつては、その代表者)又は当事者の代理人(訴訟代理人及び補佐人を除く。)、使用人その他の従業者をいう。以下同じ。)、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書類を開示することができる。

裁判所は、第2項の場合において、同項後段の書類を開示して専門的な知見に基づく説明を聴くことが必要であると認めるときは、当事者の同意を得て、専門委員(民事訴訟法第1編第5章第2節第1款に規定する専門委員をいう。第105条の2[査証人に対する査証の命令]の6第4項において同じ。)に対し、当該書類を開示することができる。

前各項の規定は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟における当該侵害行為について立証するため必要な検証の目的の提示について準用する。

第105条の2 (査証人に対する査証の命令)

裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、立証されるべき事実の有無を判断するため、相手方が所持し、又は管理する書類又は装置その他の物(以下「書類等」という。)について、確認、作動、計測、実験その他の措置をとることによる証拠の収集が必要であると認められる場合において、特許権又は専用実施権を相手方が侵害したことを疑うに足りる相当な理由があると認められ、かつ、申立人が自ら又は他の手段によつては、当該証拠の収集を行うことができないと見込まれるときは、相手方の意見を聴いて、査証人に対し、査証を命ずることができる。 ただし、当該証拠の収集に要すべき時間又は査証を受けるべき当事者の負担が不相当なものとなることその他の事情により、相当でないと認めるときは、この限りでない。

査証の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
1. 特許権又は専用実施権を相手方が侵害したことを疑うに足りる相当な理由があると認められるべき事由
2. 査証の対象とすべき書類等を特定するに足りる事項及び書類等の所在地
3. 立証されるべき事実及びこれと査証により得られる証拠との関係
4. 申立人が自ら又は他の手段によつては、前号に規定する証拠の収集を行うことができない理由
5. 第105条の2[査証人に対する査証の命令]の4第2項の裁判所の許可を受けようとする場合にあつては、当該許可に係る措置及びその必要性

裁判所は、第1項の規定による命令をした後において、同項ただし書に規定する事情により査証をすることが相当でないと認められるに至つたときは、その命令を取り消すことができる。

査証の命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第105-2-2条 (査証人の指定等)

査証は、査証人がする。

査証人は、裁判所が指定する。

裁判所は、円滑に査証をするために必要と認められるときは、当事者の申立てにより、執行官に対し、査証人が査証をするに際して必要な援助をすることを命ずることができる。

第105-2-3条 (忌避)

査証人について誠実に査証をすることを妨げるべき事情があるときは、当事者は、その査証人が査証をする前に、これを忌避することができる。 査証人が査証をした場合であつても、その後に、忌避の原因が生じ、又は当事者がその原因があることを知つたときは、同様とする。

民事訴訟法第214条第2項から第4項までの規定は、前項の忌避の申立て及びこれに対する決定について準用する。 この場合において、同条第2項中「受訴裁判所、受命裁判官又は受託裁判官」とあるのは、「裁判所」と読み替えるものとする。

第105-2-4条 (査証)

査証人は、第105条の2[査証人に対する査証の命令]第1項の規定による命令が発せられたときは、査証をし、その結果についての報告書(以下「査証報告書」という。)を作成し、これを裁判所に提出しなければならない。

査証人は、査証をするに際し、査証の対象とすべき書類等が所在する査証を受ける当事者の工場、事務所その他の場所(次項及び次条において「工場等」という。)に立ち入り、又は査証を受ける当事者に対し、質問をし、若しくは書類等の提示を求めることができるほか、装置の作動、計測、実験その他査証のために必要な措置として裁判所の許可を受けた措置をとることができる。

執行官は、第105条の2[査証人に対する査証の命令]の2第3項の必要な援助をするに際し、査証の対象とすべき書類等が所在する査証を受ける当事者の工場等に立ち入り、又は査証を受ける当事者に対し、査証人を補助するため、質問をし、若しくは書類等の提示を求めることができる。

前2項の場合において、査証を受ける当事者は、査証人及び執行官に対し、査証に必要な協力をしなければならない。

第105-2-5条 (査証を受ける当事者が工場等への立入りを拒む場合等の効果)

査証を受ける当事者が前条第2項の規定による査証人の工場等への立入りの要求若しくは質問若しくは書類等の提示の要求又は装置の作動、計測、実験その他査証のために必要な措置として裁判所の許可を受けた措置の要求に対し、正当な理由なくこれらに応じないときは、裁判所は、立証されるべき事実に関する申立人の主張を真実と認めることができる。

第105-2-6条 (査証報告書の写しの送達等)

裁判所は、査証報告書が提出されたときは、その写しを、査証を受けた当事者に送達しなければならない。

査証を受けた当事者は、査証報告書の写しの送達を受けた日から2週間以内に、査証報告書の全部又は1部を申立人に開示しないことを申し立てることができる。

裁判所は、前項の規定による申立てがあつた場合において、正当な理由があると認めるときは、決定で、査証報告書の全部又は1部を申立人に開示しないこととすることができる。

裁判所は、前項に規定する正当な理由があるかどうかについて査証報告書の全部又は1部を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等、訴訟代理人、補佐人又は専門委員に対し、査証報告書の全部又は1部を開示することができる。 ただし、当事者等、補佐人又は専門委員に対し、査証報告書の全部又は1部を開示するときは、あらかじめ査証を受けた当事者の同意を得なければならない。

第2項の規定による申立てを却下する決定及び第3項の査証報告書の全部又は1部を開示しないこととする決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第105-2-7条 (査証報告書の閲覧等)

申立人及び査証を受けた当事者は、前条第2項に規定する期間内に査証を受けた当事者の申立てがなかつたとき、又は同項の規定による申立てについての裁判が確定したときは、裁判所書記官に対し、同条第3項の規定により全部を開示しないこととされた場合を除き、査証報告書(同項の規定により1部を開示しないこととされた場合にあつては、当該1部の記載を除く。)の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付を請求することができる。

前項に規定する場合のほか、何人も、その提出された査証報告書の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製を求めることができない。

民事訴訟法第91条第4項及び第5項の規定は、第1項に規定する査証報告書について準用する。 この場合において、同条第4項中「前項」とあるのは「特許法第105条の2の7第1項」と、「当事者又は利害関係を疎明した第3者」とあるのは「申立人又は査証を受けた当事者」と読み替えるものとする。

第105-2-8条 (査証人の証言拒絶権)

査証人又は査証人であつた者が査証に関して知得した秘密に関する事項について証人として尋問を受ける場合には、その証言を拒むことができる。

民事訴訟法第197条第2項の規定は、前項の場合に準用する。

第105-2-9条 (査証人の旅費等)

査証人に関する旅費、日当及び宿泊料並びに査証料及び査証に必要な費用については、その性質に反しない限り、民事訴訟費用等に関する法律(昭和46年法律第40号)中これらに関する規定の例による。

第105-2-10条 (最高裁判所規則への委任)

この法律に定めるもののほか、第105条の2[査証人に対する査証の命令]から前条までの規定の実施に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

第105-2-11条 (第3者の意見)

民事訴訟法第6条第1項各号に定める裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟の第1審において、当事者の申立てにより、必要があると認めるときは、他の当事者の意見を聴いて、広く一般に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、相当の期間を定めて、意見を記載した書面の提出を求めることができる。

民事訴訟法第6条第1項各号に定める裁判所が第1審としてした特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟についての終局判決に対する控訴が提起された東京高等裁判所は、当該控訴に係る訴訟において、当事者の申立てにより、必要があると認めるときは、他の当事者の意見を聴いて、広く一般に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、相当の期間を定めて、意見を記載した書面の提出を求めることができる。

当事者は、裁判所書記官に対し、前2項の規定により提出された書面の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付を請求することができる。

民事訴訟法第91条第5項の規定は、第1項及び第2項の規定により提出された書面の閲覧及び謄写について準用する。

第105-2-12条 (損害計算のための鑑定)

特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、当事者の申立てにより、裁判所が当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な事項について鑑定を命じたときは、当事者は、鑑定人に対し、当該鑑定をするため必要な事項について説明しなければならない。

第105条の3 (相当な損害額の認定)

特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、損害が生じたことが認められる場合において、損害額を立証するために必要な事実を立証することが当該事実の性質上極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。

第105条の4 (秘密保持命令)

裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、その当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法(平成5年法律第47号)第2条[定義]第6項に規定する営業秘密をいう。以下同じ。)について、次に掲げる事由のいずれにも該当することにつき疎明があつた場合には、当事者の申立てにより、決定で、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用し、又は当該営業秘密に係るこの項の規定による命令を受けた者以外の者に開示してはならない旨を命ずることができる。 ただし、その申立ての時までに当事者等、訴訟代理人又は補佐人が第1号に規定する準備書面の閲読又は同号に規定する証拠の取調べ若しくは開示以外の方法により当該営業秘密を取得し、又は保有していた場合は、この限りでない。
1. 既に提出され若しくは提出されるべき準備書面に当事者の保有する営業秘密が記載され、又は既に取り調べられ若しくは取り調べられるべき証拠第105条[書類の提出等]第3項の規定により開示された書類、第105条の2[査証人に対する査証の命令]の4第1項の規定により提出された査証報告書の全部若しくは1部又は第105条の7[当事者尋問等の公開停止]第4項の規定により開示された書面を含む。)の内容に当事者の保有する営業秘密が含まれること。
2. 前号の営業秘密が当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、又は当該営業秘密が開示されることにより、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずるおそれがあり、これを防止するため当該営業秘密の使用又は開示を制限する必要があること。

前項の規定による命令(以下「秘密保持命令」という。)の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
1. 秘密保持命令を受けるべき者
2. 秘密保持命令の対象となるべき営業秘密を特定するに足りる事実
3. 前項各号に掲げる事由に該当する事実

秘密保持命令が発せられた場合には、その決定書を秘密保持命令を受けた者に送達しなければならない。

秘密保持命令は、秘密保持命令を受けた者に対する決定書の送達がされた時から、効力を生ずる。

秘密保持命令の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

第105条の5 (秘密保持命令の取消し)

秘密保持命令の申立てをした者又は秘密保持命令を受けた者は、訴訟記録の存する裁判所(訴訟記録の存する裁判所がない場合にあつては、秘密保持命令を発した裁判所)に対し、前条第1項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至つたことを理由として、秘密保持命令の取消しの申立てをすることができる。

秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判があつた場合には、その決定書をその申立てをした者及び相手方に送達しなければならない。

秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

秘密保持命令を取り消す裁判は、確定しなければその効力を生じない。

裁判所は、秘密保持命令を取り消す裁判をした場合において、秘密保持命令の取消しの申立てをした者又は相手方以外に当該秘密保持命令が発せられた訴訟において当該営業秘密に係る秘密保持命令を受けている者があるときは、その者に対し、直ちに、秘密保持命令を取り消す裁判をした旨を通知しなければならない。

第105条の6 (訴訟記録の閲覧等の請求の通知等)

秘密保持命令が発せられた訴訟(すべての秘密保持命令が取り消された訴訟を除く。)に係る訴訟記録につき、民事訴訟法第92条第1項の決定があつた場合において、当事者から同項に規定する秘密記載部分の閲覧等の請求があり、かつ、その請求の手続を行つた者が当該訴訟において秘密保持命令を受けていない者であるときは、裁判所書記官は、同項の申立てをした当事者(その請求をした者を除く。第3項において同じ。)に対し、その請求後直ちに、その請求があつた旨を通知しなければならない。

前項の場合において、裁判所書記官は、同項の請求があつた日から2週間を経過する日までの間(その請求の手続を行つた者に対する秘密保持命令の申立てがその日までにされた場合にあつては、その申立てについての裁判が確定するまでの間)、その請求の手続を行つた者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせてはならない。

前2項の規定は、第1項の請求をした者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせることについて民事訴訟法第92条第1項の申立てをした当事者のすべての同意があるときは、適用しない。

第105条の7 (当事者尋問等の公開停止)

特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟における当事者等が、その侵害の有無についての判断の基礎となる事項であつて当事者の保有する営業秘密に該当するものについて、当事者本人若しくは法定代理人又は証人として尋問を受ける場合においては、裁判所は、裁判官の全員1致により、その当事者等が公開の法廷で当該事項について陳述をすることにより当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に著しい支障を生ずることが明らかであることから当該事項について10分な陳述をすることができず、かつ、当該陳述を欠くことにより他の証拠のみによつては当該事項を判断の基礎とすべき特許権又は専用実施権の侵害の有無についての適正な裁判をすることができないと認めるときは、決定で、当該事項の尋問を公開しないで行うことができる。

裁判所は、前項の決定をするに当たつては、あらかじめ、当事者等の意見を聴かなければならない。

裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、当事者等にその陳述すべき事項の要領を記載した書面の提示をさせることができる。 この場合においては、何人も、その提示された書面の開示を求めることができない。

裁判所は、前項後段の書面を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書面を開示することができる。

裁判所は、第1項の規定により当該事項の尋問を公開しないで行うときは、公衆を退廷させる前に、その旨を理由とともに言い渡さなければならない。 当該事項の尋問が終了したときは、再び公衆を入廷させなければならない。

第106条 (信用回復の措置)

故意又は過失により特許権又は専用実施権を侵害したことにより特許権者又は専用実施権者の業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は、特許権者又は専用実施権者の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、特許権者又は専用実施権者の業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。

第107条 (特許料)

特許権の設定の登録を受ける者又は特許権者は、特許料として、特許権の設定の登録の日から第67条[存続期間]第1項に規定する存続期間(同条第4項の規定により延長されたときは、その延長の期間を加えたもの)の満了までの各年について、1件ごとに、6万1600円を超えない範囲内で政令で定める額に1請求項につき4800円を超えない範囲内で政令で定める額を加えた額を納付しなければならない。

前項の規定は、国に属する特許権には、適用しない。

第1項の特許料は、特許権が国又は第109条[特許料の減免又は猶予]若しくは第109条の2の規定若しくは他の法令の規定による特許料の軽減若しくは免除(以下この項において「減免」という。)を受ける者を含む者の共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、第1項の規定にかかわらず、国以外の各共有者ごとに同項に規定する特許料の金額(減免を受ける者にあつては、その減免後の金額)にその持分の割合を乗じて得た額を合算して得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。

前項の規定により算定した特許料の金額に10円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。

第1項の特許料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。 ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。

第108条 (特許料の納付期限)

前条第1項の規定による第1年から第3年までの各年分の特許料は、特許をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から30日以内に一時に納付しなければならない。

前条第1項の規定による第4年以後の各年分の特許料は、前年以前に納付しなければならない。 ただし、特許権の存続期間の延長登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日(以下この項において「謄本送達日」という。)がその延長登録がないとした場合における特許権の存続期間の満了の日の属する年の末日から起算して前30日目に当たる日以後であるときは、その年の次の年から謄本送達日の属する年(謄本送達日から謄本送達日の属する年の末日までの日数が30日に満たないときは、謄本送達日の属する年の次の年)までの各年分の特許料は、謄本送達日から30日以内に一時に納付しなければならない。

特許庁長官は、特許料を納付すべき者の請求により、30日以内を限り、第1項に規定する期間を延長することができる。

1~3年分のみ

特許料を納付する者がその責めに帰することができない理由により第1項に規定する期間(前項の規定による期間の延長があつたときは、延長後の期間)内にその特許料を納付することができないときは、第1項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその特許料を納付することができる。

第109条 (特許料の減免又は猶予)

特許庁長官は、特許権の設定の登録を受ける者又は特許権者であつて資力を考慮して政令で定める要件に該当する者が、特許料を納付することが困難であると認めるときは、政令で定めるところにより、第107条[特許料]第1項の規定により納付すべき特許料を軽減し若しくは免除し、又はその納付を猶予することができる。

第109条の2

特許庁長官は、特許権の設定の登録を受ける者又は特許権者であつて、中小企業者、試験研究機関等その他の資力、研究開発及び技術開発を行う能力、産業の発達に対する寄与の程度等を総合的に考慮して政令で定める者に対しては、政令で定めるところにより、第107条[特許料]第1項の規定により納付すべき特許料を軽減し若しくは免除し、又はその納付を猶予することができる。

前項の「中小企業者」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。
1. 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第4号までに掲げる業種及び第5号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
2. 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であつて、卸売業(第5号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
3. 資本金の額又は出資の総額が5000万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であつて、サービス業(第5号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
4. 資本金の額又は出資の総額が5000万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人であつて、小売業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
5. 資本金の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であつて、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの
6. 企業組合
7. 協業組合
8. 事業協同組合、事業協同小組合、商工組合、協同組合連合会その他の特別の法律により設立された組合及びその連合会であつて、政令で定めるもの
9. 特定非営利活動法人(特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条[定義]第2項に規定する特定非営利活動法人をいう。)であつて、常時使用する従業員の数が300人(小売業を主たる事業とする事業者については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業者については100人)以下のもの

第1項の「試験研究機関等」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。
1. 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する大学(次号において「大学」という。)の学長、副学長、学部長、教授、准教授、助教、講師、助手若しくはその他の職員のうち専ら研究に従事する者、同条に規定する高等専門学校(同号及び第4号において「高等専門学校」という。)の校長、教授、准教授、助教、講師、助手若しくはその他の職員のうち専ら研究に従事する者又は国立大学法人法(平成15年法律第112号)第2条第3項に規定する大学共同利用機関法人(次号において「大学共同利用機関法人」という。)の長若しくはその職員のうち専ら研究に従事する者
2. 大学若しくは高等専門学校を設置する者又は大学共同利用機関法人
3. 大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律(平成10年法律第52号)第5条第2項に規定する承認事業者
4. 独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条[定義]第1項に規定する独立行政法人をいう。)であつて、試験研究に関する業務を行うもの(次号において「試験研究独立行政法人」という。)のうち高等専門学校を設置する者以外のものとして政令で定めるもの
5. 試験研究独立行政法人であつて政令で定めるもの(以下この号において「特定試験研究独立行政法人」という。)における技術に関する研究成果について、当該研究成果に係る特定試験研究独立行政法人が保有する特許権又は特許を受ける権利の譲渡を受け、当該特許権又は当該特許を受ける権利に基づいて取得した特許権についての譲渡、専用実施権の設定その他の行為により、当該研究成果の活用を行おうとする民間事業者に対し移転する事業を行う者
6. 公設試験研究機関(地方公共団体に置かれる試験所、研究所その他の機関(学校教育法第2条第2項に規定する公立学校を除く。)であつて、試験研究に関する業務を行うものをいう。)を設置する者
7. 試験研究地方独立行政法人(地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条[定義]第1項に規定する地方独立行政法人をいう。)のうち同法第68条第1項に規定する公立大学法人以外のものであつて、試験研究に関する業務を行うものをいう。)

第110条 (特許料を納付すべき者以外の者による特許料の納付)

利害関係人その他の特許料を納付すべき者以外の者は、納付すべき者の意に反しても、特許料を納付することができる。

前項の規定により特許料を納付した者は、納付すべき者が現に利益を受ける限度においてその費用の償還を請求することができる。

第111条 (既納の特許料の返還)

既納の特許料は、次に掲げるものに限り、納付した者の請求により返還する。
1. 過誤納の特許料
2. 第114条[決定]第2項の取消決定又は特許を無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の各年分の特許料
3. 特許権の存続期間の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の各年分の特許料(当該延長登録がないとした場合における存続期間の満了の日の属する年の翌年以後のものに限る。)

前項の規定による特許料の返還は、同項第1号の特許料については納付した日から1年、同項第2号及び第3号の特許料については第114条[決定]第2項の取消決定又は審決が確定した日から6月を経過した後は、請求することができない。

第1項の規定による特許料の返還を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその請求をすることができる。

第112条 (特許料の追納)

特許権者は、第108条[特許料の納付期限]第2項に規定する期間又は第109条[特許料の減免又は猶予]若しくは第109条の2の規定による納付の猶予後の期間内に特許料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、その期間の経過後6月以内にその特許料を追納することができる。

猶予を受けなかった場合1~3年分の追納はできない

前項の規定により特許料を追納する特許権者は、第107条[特許料]第1項の規定により納付すべき特許料のほか、その特許料と同額の割増特許料を納付しなければならない。 ただし、当該特許権者がその責めに帰することができない理由により第108条[特許料の納付期限]第2項に規定する期間又は第109条[特許料の減免又は猶予]若しくは第109条の2の規定による納付の猶予後の期間内にその特許料を納付することができないときは、その割増特許料を納付することを要しない。

前項の割増特許料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。 ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。

特許権者が第1項の規定により特許料を追納することができる期間内に、第108条[特許料の納付期限]第2項本文に規定する期間内に納付すべきであつた特許料及び第2項の規定により納付すべき割増特許料を納付しないときは、その特許権は、同条第2項本文に規定する期間の経過の時に遡つて消滅したものとみなす。

特許権者が第1項の規定により特許料を追納することができる期間内に第108条[特許料の納付期限]第2項ただし書に規定する特許料及び第2項の規定により納付すべき割増特許料を納付しないときは、その特許権は、当該延長登録がないとした場合における特許権の存続期間の満了の日の属する年の経過の時に遡つて消滅したものとみなす。

特許権者が第1項の規定により特許料を追納することができる期間内に第109条[特許料の減免又は猶予]又は第109条の2の規定により納付が猶予された特許料及び第2項の規定により納付すべき割増特許料を納付しないときは、その特許権は、初めから存在しなかつたものとみなす。

第112条の2 (特許料の追納による特許権の回復)

前条第4項若しくは第5項の規定により消滅したものとみなされた特許権又は同条第6項の規定により初めから存在しなかつたものとみなされた特許権の原特許権者は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、同条第4項から第6項までに規定する特許料及び割増特許料を追納することができる。 ただし、故意に、同条第1項の規定により特許料を追納することができる期間内にその特許料及び割増特許料を納付しなかつたと認められる場合は、この限りでない。

前項の規定による特許料及び割増特許料の追納があつたときは、その特許権は、第108条[特許料の納付期限]第2項本文に規定する期間の経過の時若しくは存続期間の満了の日の属する年の経過の時にさかのぼつて存続していたもの又は初めから存在していたものとみなす。

第112条の3 (回復した特許権の効力の制限)

前条第2項の規定により特許権が回復した場合において、その特許が物の発明についてされているときは、その特許権の効力は、第112条[特許料の追納]第1項の規定により特許料を追納することができる期間の経過後特許権の回復の登録前に輸入し、又は日本国内において生産し、若しくは取得した当該物には、及ばない。

前条第2項の規定により回復した特許権の効力は、第112条[特許料の追納]第1項の規定により特許料を追納することができる期間の経過後特許権の回復の登録前における次に掲げる行為には、及ばない。
1. 当該発明の実施
2. 特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
3. 特許が物の発明についてされている場合において、その物を譲渡等又は輸出のために所持した行為
4. 特許が方法の発明についてされている場合において、その方法の使用に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
5. 特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、その方法により生産した物を譲渡等又は輸出のために所持した行為

第5章 特許異議の申立て

第113条 (特許異議の申立て)

何人も、特許掲載公報の発行の日から6月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる。 この場合において、2以上の請求項に係る特許については、請求項ごとに特許異議の申立てをすることができる。
1. その特許が第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願外国語書面出願を除く。)に対してされたこと。
2. その特許が第25条[外国人の権利の享有]第29条[特許の要件]第29条の2第32条[特許を受けることができない発明]又は第39条[先願]第1項から第4項までの規定に違反してされたこと。
3. その特許が条約に違反してされたこと。
4. その特許が第36条[特許出願]第4項第1号又は第6項(第4号を除く。)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたこと。
5. 外国語書面出願に係る特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないこと。

第114条 (決定)

特許異議の申立てについての審理及び決定は、3人又は5人の審判官の合議体が行う。

審判官は、特許異議の申立てに係る特許が前条各号のいずれかに該当すると認めるときは、その特許を取り消すべき旨の決定(以下「取消決定」という。)をしなければならない。

取消決定が確定したときは、その特許権は、初めから存在しなかつたものとみなす。

審判官は、特許異議の申立てに係る特許が前条各号のいずれかに該当すると認めないときは、その特許を維持すべき旨の決定をしなければならない。

前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。

第115条 (申立ての方式等)

特許異議の申立てをする者は、次に掲げる事項を記載した特許異議申立書を特許庁長官に提出しなければならない。
1. 特許異議申立人及び代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 特許異議の申立てに係る特許の表示
3. 特許異議の申立ての理由及び必要な証拠の表示

前項の規定により提出した特許異議申立書の補正は、その要旨を変更するものであつてはならない。 ただし、第113条[特許異議の申立て]に規定する期間が経過する時又は第120条の5[意見書の提出等]第1項の規定による通知がある時のいずれか早い時までにした前項第3号に掲げる事項についてする補正は、この限りでない。

異議申立期間、取り消し理由通知のいずれか早いほう

審判長は、特許異議申立書の副本を特許権者に送付しなければならない。

第123条[特許無効審判]第4項の規定は、特許異議の申立てがあつた場合に準用する。

第116条 (審判官の指定等)

第136条[審判の合議制]第2項及び第137条[審判官の指定]から第144条までの規定は、第114条[決定]第1項の合議体及びこれを構成する審判官に準用する。

第117条 (審判書記官)

特許庁長官は、各特許異議申立事件について審判書記官を指定しなければならない。

第144条の2[審判書記官]第3項から第5項までの規定は、前項の審判書記官に準用する。

第118条 (審理の方式等)

特許異議の申立てについての審理は、書面審理による。

共有に係る特許権の特許権者の1人について、特許異議の申立てについての審理及び決定の手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、共有者全員についてその効力を生ずる。

第119条 (参加)

特許権についての権利を有する者その他特許権に関し利害関係を有する者は、特許異議の申立てについての決定があるまでは、特許権者を補助するため、その審理に参加することができる。

第148条[参加]第4項及び第5項並びに第149条の規定は、前項の規定による参加人に準用する。

第120条 (証拠調べ及び証拠保全)

第150条[証拠調及び証拠保全]及び第151条の規定は、特許異議の申立てについての審理における証拠調べ及び証拠保全に準用する。

第120条の2 (職権による審理)

特許異議の申立てについての審理においては、特許権者、特許異議申立人又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。

特許異議の申立てについての審理においては、特許異議の申立てがされていない請求項については、審理することができない。

第120条の3 (申立ての併合又は分離)

同一の特許権に係る2以上の特許異議の申立てについては、その審理は、特別の事情がある場合を除き、併合するものとする

前項の規定により審理を併合したときは、更にその審理の分離をすることができる。

第120条の4 (申立ての取下げ)

特許異議の申立ては、次条第1項の規定による通知があつた後は、取り下げることができない。

第155条[審判の請求の取下げ]第3項の規定は、特許異議の申立ての取下げに準用する。

第120条の5 (意見書の提出等)

審判長は、取消決定をしようとするときは、特許権者及び参加人に対し、特許の取消しの理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。

特許権者は、前項の規定により指定された期間内に限り、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求することができる。 ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
1. 特許請求の範囲の減縮
2. 誤記又は誤訳の訂正
3. 明瞭でない記載の釈明
4. 他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。

2以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合には、請求項ごとに前項の訂正の請求をすることができる。 ただし、特許異議の申立てが請求項ごとにされた場合にあつては、請求項ごとに同項の訂正の請求をしなければならない。

前項の場合において、当該請求項の中に1の請求項の記載を他の請求項が引用する関係その他経済産業省令で定める関係を有する1群の請求項(以下「1群の請求項」という。)があるときは、当該1群の請求項ごとに当該請求をしなければならない。

審判長は、第1項の規定により指定した期間内に第2項の訂正の請求があつたときは、第1項の規定により通知した特許の取消しの理由を記載した書面並びに訂正の請求書及びこれに添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面の副本を特許異議申立人に送付し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。 ただし、特許異議申立人から意見書の提出を希望しない旨の申出があるとき、又は特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるときは、この限りでない。

審判長は、第2項の訂正の請求が同項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は第9項において読み替えて準用する第126条[訂正審判]第5項から第7項までの規定に適合しないときは、特許権者及び参加人にその理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。

第2項の訂正の請求がされた場合において、その特許異議申立事件において先にした訂正の請求があるときは、当該先の請求は、取り下げられたものとみなす。

第2項の訂正の請求は、同項の訂正の請求書に添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について第17条の5[訂正に係る明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第1項の補正をすることができる期間内に限り、取り下げることができる。 この場合において、第2項の訂正の請求を第3項又は第4項の規定により請求項ごとに又は1群の請求項ごとにしたときは、その全ての請求を取り下げなければならない。

第126条[訂正審判]第4項から第7項まで、第127条第128条第131条[審判請求の方式]第1項、第3項及び第4項、第131条の2[審判請求書の補正]第1項、第132条[共同審判]第3項及び第4項並びに第133条[方式に違反した場合の決定による却下]第1項、第3項及び第4項の規定は、第2項の場合に準用する。 この場合において、第126条[訂正審判]第7項中「第1項ただし書第1号又は第2号」とあるのは、「特許異議の申立てがされていない請求項に係る第1項ただし書第1号又は第2号」と読み替えるものとする。

第120条の6 (決定の方式)

特許異議の申立てについての決定は、次に掲げる事項を記載した文書をもつて行わなければならない。
1. 特許異議申立事件の番号
2. 特許権者、特許異議申立人及び参加人並びに代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
3. 決定に係る特許の表示
4. 決定の結論及び理由
5. 決定の年月日

特許庁長官は、決定があつたときは、決定の謄本を特許権者、特許異議申立人、参加人及び特許異議の申立てについての審理に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。

第120条の7 (決定の確定範囲)

特許異議の申立てについての決定は、特許異議申立事件ごとに確定する。 ただし、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に定めるところにより確定する。

第120条の8 (審判の規定等の準用)

第114条[決定]第5項の規定は、前項において準用する第135条[不適法な審判請求の審決による却下]の規定による決定に準用する。

第6章 審判

第121条 (拒絶査定不服審判)

拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から3月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる。

拒絶査定不服審判を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその請求をすることができる。

第122条

削除

第123条 (特許無効審判)

特許が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許を無効にすることについて特許無効審判を請求することができる。 この場合において、2以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができる。
1. その特許が第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願(外国語書面出願を除く。)に対してされたとき。
2. その特許が第25条[外国人の権利の享有]第29条[特許の要件]第29条の2第32条[特許を受けることができない発明]第38条[共同出願]又は第39条[先願]第1項から第4項までの規定に違反してされたとき(その特許が第38条[共同出願]の規定に違反してされた場合にあつては、第74条[特許権の移転の特例]第1項の規定による請求に基づき、その特許に係る特許権の移転の登録があつたときを除く。)
3. その特許が条約に違反してされたとき。
4. その特許が第36条[特許出願]第4項第1号又は第6項(第4号を除く。)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたとき。
5. 外国語書面出願に係る特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないとき。
6. その特許がその発明について特許を受ける権利を有しない者の特許出願に対してされたとき第74条[特許権の移転の特例]第1項の規定による請求に基づき、その特許に係る特許権の移転の登録があつたときを除く。)
7. 特許がされた後において、その特許権者が第25条[外国人の権利の享有]の規定により特許権を享有することができない者になつたとき、又はその特許が条約に違反することとなつたとき。
8. その特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正が第126条[訂正審判]第1項ただし書若しくは第5項から第7項まで第120条の5[意見書の提出等]第9項又は第134条の2[特許無効審判における訂正の請求]第9項において準用する場合を含む。)第120条の5[意見書の提出等]第2項ただし書又は第134条の2[特許無効審判における訂正の請求]第1項ただし書の規定に違反してされたとき。

補正で無効になるのは新規事項追加禁止のみ
訂正審判による訂正が原因で無効になった場合も特許権ははじめから存在しなかったものになる

特許無効審判は、利害関係人(前項第2号(特許が第38条[共同出願]の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第6号に該当することを理由として特許無効審判を請求する場合にあつては、特許を受ける権利を有する者)に限り請求することができる。

特許異議申し立てと同じ理由でもよい

特許無効審判は、特許権の消滅後においても、請求することができる。

審判長は、特許無効審判の請求があつたときは、その旨を当該特許権についての専用実施権者その他その特許に関し登録した権利を有する者に通知しなければならない。

第124条

削除

第125条

特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、特許権は、初めから存在しなかつたものとみなす。 ただし、特許が第123条[特許無効審判]第1項第7号に該当する場合において、その特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、特許権は、その特許が同号に該当するに至つた時から存在しなかつたものとみなす。

第125条の2 (延長登録無効審判)

第67条の3第3項の延長登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その延長登録を無効にすることについて延長登録無効審判を請求することができる。
1. その延長登録が基準日以後にされていない場合の出願に対してされたとき。
2. その延長登録により延長された期間がその特許権の存続期間に係る延長可能期間を超えているとき。
3. その延長登録が当該特許権者でない者の出願に対してされたとき。
4. その延長登録が第67条の2[存続期間の延長登録]第4項に規定する要件を満たしていない出願に対してされたとき。

前項の延長登録無効審判は、利害関係人に限り請求することができる。

第123条[特許無効審判]第3項及び第4項の規定は、第1項の規定による延長登録無効審判の請求について準用する。

第67条の3第3項の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、その延長登録による特許権の存続期間の延長は、初めからされなかつたものとみなす。 ただし、延長登録が第1項第2号に該当する場合において、その特許権の存続期間に係る延長可能期間を超える期間の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、当該超える期間について、その延長がされなかつたものとみなす。

前項本文の規定により初めからされなかつたものとみなされた延長登録による特許権の存続期間の延長に係る当該延長の期間又は同項ただし書の規定により延長がされなかつたものとみなされた期間内にされた第67条[存続期間]第4項の延長登録の出願が特許庁に係属しているときは、当該出願は、取り下げられたものとみなす。

第4項本文の規定により初めからされなかつたものとみなされた延長登録による特許権の存続期間の延長に係る当該延長の期間又は同項ただし書の規定により延長がされなかつたものとみなされた期間内にされた第67条[存続期間]第4項の延長登録の出願に係る第67条の7第3項の延長登録がされているときは、当該延長登録による特許権の存続期間の延長は、初めからされなかつたものとみなす。

第125条の3

第67条の7第3項の延長登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その延長登録を無効にすることについて延長登録無効審判を請求することができる。
1. その延長登録がその特許発明の実施に第67条[存続期間]第4項の政令で定める処分を受けることが必要であつたとは認められない場合の出願に対してされたとき。
2. その延長登録が、その特許権者又はその特許権についての専用実施権若しくは通常実施権を有する者が第67条[存続期間]第4項の政令で定める処分を受けていない場合の出願に対してされたとき。
3. その延長登録により延長された期間がその特許発明の実施をすることができなかつた期間を超えているとき。
4. その延長登録が当該特許権者でない者の出願に対してされたとき。
5. その延長登録が第67条の5第4項において準用する第67条の2[存続期間の延長登録]第4項に規定する要件を満たしていない出願に対してされたとき。

前条第2項及び第3項の規定は、前項の規定による延長登録無効審判の請求について準用する。

第67条の7第3項の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、その延長登録による特許権の存続期間の延長は、初めからされなかつたものとみなす。 ただし、延長登録が第1項第3号に該当する場合において、その特許発明の実施をすることができなかつた期間を超える期間の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、当該超える期間について、その延長がされなかつたものとみなす。

第126条 (訂正審判)

特許権者は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正をすることについて訂正審判を請求することができる。 ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
1. 特許請求の範囲の減縮
2. 誤記又は誤訳の訂正
3. 明瞭でない記載の釈明
4. 他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。

訂正審判は、特許異議の申立て又は特許無効審判が特許庁に係属した時からその決定又は審決(請求項ごとに申立て又は請求がされた場合にあつては、その全ての決定又は審決)が確定するまでの間は、請求することができない。

2以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合には、請求項ごとに第1項の規定による請求をすることができる。 この場合において、当該請求項の中に1群の請求項があるときは、当該1群の請求項ごとに当該請求をしなければならない。

願書に添付した明細書又は図面の訂正をする場合であつて、請求項ごとに第1項の規定による請求をしようとするときは、当該明細書又は図面の訂正に係る請求項の全て(前項後段の規定により1群の請求項ごとに第1項の規定による請求をする場合にあつては、当該明細書又は図面の訂正に係る請求項を含む1群の請求項の全て)について行わなければならない。

第1項の明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(同項ただし書第2号に掲げる事項を目的とする訂正の場合にあつては、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願に係る特許にあつては、外国語書面))に記載した事項の範囲内においてしなければならない。

第1項の明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであつてはならない。

第1項ただし書第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。

訂正審判は、特許権の消滅後においても、請求することができる。 ただし、特許が取消決定により取り消され、又は特許無効審判により無効にされた後は、この限りでない。

第127条

特許権者は、専用実施権者又は質権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、訂正審判を請求することができる。

第128条

願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正をすべき旨の審決が確定したときは、その訂正後における明細書、特許請求の範囲又は図面により特許出願、出願公開、特許をすべき旨の査定又は審決及び特許権の設定の登録がされたものとみなす。

第129条の130

削除

第131条 (審判請求の方式)

審判を請求する者は、次に掲げる事項を記載した請求書を特許庁長官に提出しなければならない。
1. 当事者及び代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 審判事件の表示
3. 請求の趣旨及びその理由

特許無効審判を請求する場合における前項第3号に掲げる請求の理由は、特許を無効にする根拠となる事実を具体的に特定し、かつ、立証を要する事実ごとに証拠との関係を記載したものでなければならない。

訂正審判を請求する場合における第1項第3号に掲げる請求の趣旨及びその理由は、経済産業省令で定めるところにより記載したものでなければならない。

訂正審判を請求するときは、請求書に訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面を添付しなければならない。

第131条の2 (審判請求書の補正)

前条第1項の規定により提出した請求書の補正は、その要旨を変更するものであつてはならない。 ただし、当該補正が次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
1. 特許無効審判以外の審判を請求する場合における前条第1項第3号に掲げる請求の理由についてされるとき。
2. 次項の規定による審判長の許可があつたものであるとき。
3. 第133条[方式に違反した場合の決定による却下]第1項第120条の5[意見書の提出等]第9項及び第134条の2[特許無効審判における訂正の請求]第9項において準用する場合を含む。)の規定により、当該請求書について補正をすべきことを命じられた場合において、当該命じられた事項についてされるとき。

審判長は、特許無効審判を請求する場合における前条第1項第3号に掲げる請求の理由の補正がその要旨を変更するものである場合において、当該補正が審理を不当に遅延させるおそれがないことが明らかなものであり、かつ、次の各号のいずれかに該当する事由があると認めるときは、決定をもつて、当該補正を許可することができる。
1. 当該特許無効審判において第134条の2[特許無効審判における訂正の請求]第1項の訂正の請求があり、その訂正の請求により請求の理由を補正する必要が生じたこと。
2. 前号に掲げるもののほか当該補正に係る請求の理由を審判請求時の請求書に記載しなかつたことにつき合理的な理由があり、被請求人が当該補正に同意したこと。

前項の補正の許可は、その補正に係る手続補正書が第134条[答弁書の提出等]第1項の規定による請求書の副本の送達の前に提出されたときは、これをすることができない。

第2項の決定又はその不作為に対しては、不服を申し立てることができない。

第132条 (共同審判)

同一の特許権について特許無効審判又は延長登録無効審判を請求する者が2人以上あるときは、これらの者は、共同して審判を請求することができる。

共有に係る特許権について特許権者に対し審判を請求するときは、共有者の全員を被請求人として請求しなければならない。

特許権又は特許を受ける権利の共有者がその共有に係る権利について審判を請求するときは、共有者の全員が共同して請求しなければならない。

第1項若しくは前項の規定により審判を請求した者又は第2項の規定により審判を請求された者の1人について、審判手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。

第133条 (方式に違反した場合の決定による却下)

審判長は、請求書が第131条[審判請求の方式]の規定に違反しているときは、請求人に対し、相当の期間を指定して、請求書について補正をすべきことを命じなければならない。

審判長は、前項に規定する場合を除き、審判事件に係る手続について、次の各号の1に該当するときは、相当の期間を指定して、その補正をすべきことを命ずることができる。
1. 手続が第7条[未成年者、成年被後見人等の手続をする能力]第1項から第3項まで又は第9条[代理権の範囲]の規定に違反しているとき。
2. 手続がこの法律又はこの法律に基づく命令で定める方式に違反しているとき。
3. 手続について第195条[手数料]第1項又は第2項の規定により納付すべき手数料を納付しないとき。

審判長は、前2項の規定により、審判事件に係る手続について、その補正をすべきことを命じた者がこれらの規定により指定した期間内にその補正をしないとき、又はその補正が第131条の2[審判請求書の補正]第1項の規定に違反するときは、決定をもつてその手続を却下することができる。

前項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。

第133条の2 (不適法な手続の却下)

審判長は、審判事件に係る手続(審判の請求を除く。)において、不適法な手続であつてその補正をすることができないものについては、決定をもつてその手続を却下することができる。

前項の規定により却下しようとするときは、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明書を提出する機会を与えなければならない。

第1項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。

第134条 (答弁書の提出等)

審判長は、審判の請求があつたときは、請求書の副本を被請求人に送達し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。

審判長は、第131条の2[審判請求書の補正]第2項の規定により請求書の補正を許可するときは、その補正に係る手続補正書の副本を被請求人に送達し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。 ただし、被請求人に答弁書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるときは、この限りでない。

審判長は、第1項又は前項本文の答弁書を受理したときは、その副本を請求人に送達しなければならない。

審判長は、審判に関し、当事者及び参加人を審尋することができる。

第134条の2 (特許無効審判における訂正の請求)

特許無効審判の被請求人は、前条第1項若しくは第2項、次条、第153条第2項又は第164条の2[特許無効審判における特則]第2項の規定により指定された期間内に限り、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求することができる。 ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
1. 特許請求の範囲の減縮
2. 誤記又は誤訳の訂正
3. 明瞭でない記載の釈明
4. 他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。

2以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合には、請求項ごとに前項の訂正の請求をすることができる。 ただし、特許無効審判が請求項ごとに請求された場合にあつては、請求項ごとに同項の訂正の請求をしなければならない。

前項の場合において、当該請求項の中に1群の請求項があるときは、当該1群の請求項ごとに当該請求をしなければならない。

審判長は、第1項の訂正の請求書及びこれに添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面を受理したときは、これらの副本を請求人に送達しなければならない。

審判官は、第1項の訂正の請求が同項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は第9項において読み替えて準用する第126条[訂正審判]第5項から第7項までの規定に適合しないことについて、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。 この場合において、当該理由により訂正の請求を認めないときは、審判長は、審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。

第1項の訂正の請求がされた場合において、その審判事件において先にした訂正の請求があるときは、当該先の請求は、取り下げられたものとみなす。

第1項の訂正の請求は、同項の訂正の請求書に添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について第17条の5[訂正に係る明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第2項の補正をすることができる期間内に限り、取り下げることができる。 この場合において、第1項の訂正の請求を第2項又は第3項の規定により請求項ごとに又は1群の請求項ごとにしたときは、その全ての請求を取り下げなければならない。

第155条[審判の請求の取下げ]第3項の規定により特許無効審判の請求が請求項ごとに取り下げられたときは、第1項の訂正の請求は、当該請求項ごとに取り下げられたものとみなし、特許無効審判の審判事件に係る全ての請求が取り下げられたときは、当該審判事件に係る同項の訂正の請求は、全て取り下げられたものとみなす。

一群の場合でも特定の請求項が取り下げられた場合は、その請求項のみ取り下げとみなす

第126条[訂正審判]第4項から第8項まで、第127条第128条第131条[審判請求の方式]第1項、第3項及び第4項、第131条の2[審判請求書の補正]第1項、第132条[共同審判]第3項及び第4項並びに第133条[方式に違反した場合の決定による却下]第1項、第3項及び第4項の規定は、第1項の場合に準用する。 この場合において、第126条[訂正審判]第7項中「第1項ただし書第1号又は第2号」とあるのは、「特許無効審判の請求がされていない請求項に係る第1項ただし書第1号又は第2号」と読み替えるものとする。

第134条の3 (取消しの判決があつた場合における訂正の請求)

審判長は、特許無効審判の審決(審判の請求に理由がないとするものに限る。)に対する第181条[審決又は決定の取消し]第1項の規定による取消しの判決が確定し、同条第2項の規定により審理を開始するときは、その判決の確定の日から1週間以内に被請求人から申立てがあつた場合に限り、被請求人に対し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求するための相当の期間を指定することができる。

第135条 (不適法な審判請求の審決による却下)

不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないものについては、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもつてこれを却下することができる。

第136条 (審判の合議制)

審判は、3人又は5人の審判官の合議体が行う。

前項の合議体の合議は、過半数により決する。

審判官の資格は、政令で定める。

第137条 (審判官の指定)

特許庁長官は、各審判事件第162条の規定により審査官がその請求を審査する審判事件にあつては、第164条第3項の規定による報告があつたものに限る。)について前条第1項の合議体を構成すべき審判官を指定しなければならない。

特許庁長官は、前項の規定により指定した審判官のうち審判に関与することに故障がある者があるときは、その指定を解いて他の審判官をもつてこれを補充しなければならない。

第138条 (審判長)

特許庁長官は、前条第1項の規定により指定した審判官のうち1人を審判長として指定しなければならない。

審判長は、その審判事件に関する事務を総理する。

第139条 (審判官の除斥)

審判官は、次の各号のいずれかに該当するときは、その職務の執行から除斥される。
1. 審判官又はその配偶者若しくは配偶者であつた者が事件の当事者、参加人若しくは特許異議申立人であるとき、又はあつたとき。
2. 審判官が事件の当事者、参加人若しくは特許異議申立人の4親等内の血族、3親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあつたとき。
3. 審判官が事件の当事者、参加人又は特許異議申立人の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。
4. 審判官が事件について証人又は鑑定人となつたとき。
5. 審判官が事件について当事者、参加人若しくは特許異議申立人の代理人であるとき、又はあつたとき。
6. 審判官が事件について不服を申し立てられた査定に審査官として関与したとき。
7. 審判官第67条[存続期間]第2項の延長登録の出願に係る事件についてその特許権に係る特許出願の審査においてその査定に審査官として関与したとき。
8. 審判官が事件について直接の利害関係を有するとき。

第140条

前条に規定する除斥の原因があるときは、当事者又は参加人は、除斥の申立をすることができる。

第141条 (審判官の忌避)

審判官について審判の公正を妨げるべき事情があるときは、当事者又は参加人は、これを忌避することができる。

当事者又は参加人は、事件について審判官に対し書面又は口頭をもつて陳述をした後は、審判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があることを知らなかつたとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。

第142条 (除斥又は忌避の申立の方式)

除斥又は忌避の申立をする者は、その原因を記載した書面を特許庁長官に提出しなければならない。 ただし、口頭審理においては、口頭をもつてすることができる

除斥又は忌避の原因は、前項の申立をした日から3日以内に疎明しなければならない。 前条第2項ただし書の事実も、同様とする。

第143条 (除斥又は忌避の申立についての決定)

除斥又は忌避の申立があつたときは、その申立に係る審判官以外の審判官が審判により決定をする。 ただし、その申立に係る審判官は、意見を述べることができる。

前項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。

第1項の決定又はその不作為に対しては、不服を申し立てることができない。

第144条

除斥又は忌避の申立があつたときは、その申立についての決定があるまで審判手続を中止しなければならない。 ただし、急速を要する行為については、この限りでない。

第144条の2 (審判書記官)

特許庁長官は、各審判事件第162条の規定により審査官がその請求を審査する審判事件にあつては、第164条第3項の規定による報告があつたものに限る。)について審判書記官を指定しなければならない。

審判書記官の資格は、政令で定める。

特許庁長官は、第1項の規定により指定した審判書記官が審判に関与することに故障があるときは、その指定を解いて他の審判書記官を指定しなければならない。

審判書記官は、審判事件に関し、調書の作成及び送達に関する事務を行うほか、審判長の命を受けて、その他の事務を行う。

第139条[審判官の除斥](第6号及び第7号を除く。)及び第140条から前条までの規定は、審判書記官について準用する。 この場合において、除斥又は忌避の申立てに係る審判書記官は、除斥又は忌避についての審判に関与することができない。

第145条 (審判における審理の方式)

特許無効審判及び延長登録無効審判は、口頭審理による。 ただし、審判長は、当事者若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書面審理によるものとすることができる。

前項に規定する審判以外の審判は、書面審理による。 ただし、審判長は、当事者の申立により又は職権で、口頭審理によるものとすることができる。

審判長は、第1項又は前項ただし書の規定により口頭審理による審判をするときは、その期日及び場所を定め、当事者及び参加人に対し、期日の呼出しを行わなければならない。

民事訴訟法第94条(期日の呼出し)の規定は、前項の期日の呼出しに準用する。

第1項又は第2項ただし書の規定による口頭審理は、公開して行う。 ただし、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるときは、この限りでない。

審判長は、当事者若しくは参加人の申立てにより又は職権で、経済産業省令で定めるところにより、審判官及び審判書記官並びに当事者及び参加人が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、第3項の期日における手続を行うことができる。

第3項の期日に出頭しないで前項の手続に関与した当事者及び参加人は、その期日に出頭したものとみなす。

第146条

民事訴訟法第154条(通訳人の立会い等)の規定は、審判に準用する。

第147条 (調書)

第145条[審判における審理の方式]第1項又は第2項ただし書の規定による口頭審理による審判については、審判書記官は、期日ごとに審理の要旨その他必要な事項を記載した調書を作成しなければならない。

審判書記官は、前項の調書の作成又は変更に関して審判長の命令を受けた場合において、その作成又は変更を正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添えることができる。

民事訴訟法第160条第2項及び第3項(口頭弁論調書)の規定は、第1項の調書に準用する。

第148条 (参加)

第132条[共同審判]第1項の規定により審判を請求することができる者は、審理の終結に至るまでは、請求人としてその審判に参加することができる。

前項の規定による参加人は、被参加人がその審判の請求を取り下げた後においても、審判手続を続行することができる。

補助参加の場合はできない

審判の結果について利害関係を有する者は、審理の終結に至るまでは、当事者の一方を補助するためその審判に参加することができる。

前項の規定による参加人は、一切の審判手続をすることができる。

第1項又は第3項の規定による参加人について審判手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、被参加人についても、その効力を生ずる。

第149条

参加を申請する者は、参加申請書を審判長に提出しなければならない。

審判長は、参加の申請があつたときは、参加申請書の副本を当事者及び参加人に送達し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えなければならない。

参加の申請があつたときは、その申請をした者が参加しようとする審判の審判官が審判により決定をする。

前項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。

第3項の決定又はその不作為に対しては、不服を申し立てることができない。

第150条 (証拠調及び証拠保全)

審判に関しては、当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠調をすることができる。

審判に関しては、審判請求前は利害関係人の申立により、審判の係属中は当事者若しくは参加人の申立により又は職権で、証拠保全をすることができる。

前項の規定による審判請求前の申立は、特許庁長官に対してしなければならない。

特許庁長官は、第2項の規定による審判請求前の申立てがあつたときは、証拠保全に関与すべき審判官及び審判書記官を指定する。

審判長は、第1項又は第2項の規定により職権で証拠調又は証拠保全をしたときは、その結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。

第1項又は第2項の証拠調又は証拠保全は、当該事務を取り扱うべき地の地方裁判所又は簡易裁判所に嘱託することができる。

第151条

第145条[審判における審理の方式]第6項及び第7項並びに第147条[調書]並びに民事訴訟法第93条第1項(期日の指定)第94条[通常実施権の移転等](期日の呼出し)第179条[被告適格]から第181条[審決又は決定の取消し]まで、第183条[対価の額についての訴え]から第186条[証明等の請求]まで、第188条[虚偽表示の禁止]第190条第191条第195条[手数料]から第198条[虚偽表示の罪]まで、第199条[偽証等の罪]第1項、第201条[両罰規定]から第204条まで、第206条、第207条、第210条から第213条まで、第214条第1項から第3項まで、第215条から第222条まで、第223条第1項から第6項まで、第226条から第228条まで、第229条第1項から第3項まで、第231条、第232条第1項、第233条、第234条、第236条から第238条まで、第240条から第242条まで(証拠)及び第278条(尋問等に代わる書面の提出)の規定は、前条の規定による証拠調べ又は証拠保全に準用する。 この場合において、同法第179条中「裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実」とあるのは「顕著な事実」と、同法第204条及び第215条の3中「最高裁判所規則」とあるのは「経済産業省令」と読み替えるものとする。

第152条 (職権による審理)

審判長は、当事者又は参加人が法定若しくは指定の期間内に手続をせず、又は第145条[審判における審理の方式]第3項の規定により定めるところに従つて出頭しないときであつても、審判手続を進行することができる。

第153条

審判においては、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。

審判長は、前項の規定により当事者又は参加人が申し立てない理由について審理したときは、その審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。

審判においては、請求人が申し立てない請求の趣旨については、審理することができない。

第154条 (審理の併合又は分離)

当事者の双方又は一方が同一である2以上の審判については、その審理の併合をすることができる。

前項の規定により審理の併合をしたときは、さらにその審理の分離をすることができる。

第155条 (審判の請求の取下げ)

審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。

審判の請求は、第134条[答弁書の提出等]第1項の答弁書の提出があつた後は、相手方の承諾を得なければ、取り下げることができない。

2以上の請求項に係る特許の2以上の請求項について特許無効審判を請求したときは、その請求は、請求項ごとに取り下げることができる。

請求項ごとに又は1群の請求項ごとに訂正審判を請求したときは、その請求の取下げは、その全ての請求について行わなければならない。

第156条 (審理の終結の通知)

審判長は、特許無効審判以外の審判においては、事件が審決をするのに熟したときは、審理の終結を当事者及び参加人に通知しなければならない。

審判長は、特許無効審判においては、事件が審決をするのに熟した場合であつて第164条の2[特許無効審判における特則]第1項の審決の予告をしないとき、又は同項の審決の予告をした場合であつて同条第2項の規定により指定した期間内に被請求人が第134条の2[特許無効審判における訂正の請求]第1項の訂正の請求若しくは第17条の5[訂正に係る明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第2項の補正をしないときは、審理の終結を当事者及び参加人に通知しなければならない。

審判長は、必要があるときは、前2項の規定による通知をした後であつても、当事者若しくは参加人の申立てにより又は職権で、審理の再開をすることができる。

審決は、第1項又は第2項の規定による通知を発した日から20日以内にしなければならない。 ただし、事件が複雑であるとき、その他やむを得ない理由があるときは、この限りでない。

第157条 (審決)

審決があつたときは、審判は、終了する。

審決と取り下げで終了

審決は、次に掲げる事項を記載した文書をもつて行わなければならない。
1. 審判の番号
2. 当事者及び参加人並びに代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
3. 審判事件の表示
4. 審決の結論及び理由
5. 審決の年月日

特許庁長官は、審決があつたときは、審決の謄本を当事者、参加人及び審判に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。

第158条 (拒絶査定不服審判における特則)

審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においても、その効力を有する。

第159条

第53条[補正の却下]の規定は、拒絶査定不服審判に準用する。 この場合において、第53条[補正の却下]第1項中「第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第1項第1号又は第3号」とあるのは「第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第1項第1号、第3号又は第4号」と、「補正が」とあるのは「補正(同項第1号又は第3号に掲げる場合にあつては、拒絶査定不服審判の請求前にしたものを除く。)が」と読み替えるものとする。

第50条[拒絶理由の通知]及び第50条の2[既に通知された拒絶理由と同1である旨の通知]の規定は、拒絶査定不服審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。 この場合において、第50条[拒絶理由の通知]ただし書中「第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第1項第1号又は第3号に掲げる場合(同項第1号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)」とあるのは、「第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第1項第1号(拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限るものとし、拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)、第3号(拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)又は第4号に掲げる場合」と読み替えるものとする。

第51条[特許査定]第67条の3第2項から第4項まで及び第67条の7第2項から第4項までの規定は、拒絶査定不服審判の請求を理由があるとする場合における当該審判について準用する。

第160条

拒絶査定不服審判において査定を取り消すときは、さらに審査に付すべき旨の審決をすることができる。

前項の審決があつた場合における判断は、その事件について審査官を拘束する。

第1項の審決をするときは、前条第3項の規定は、適用しない。

第161条
第162条

特許庁長官は、拒絶査定不服審判の請求があつた場合において、その請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正があつたときは、審査官にその請求を審査させなければならない。

特許後は明細書等の補正はできないので、延長登録について前置審査はない

第163条

第48条[審査官の除斥]第53条[補正の却下]及び第54条[訴訟との関係]の規定は、前条の規定による審査に準用する。 この場合において、第53条[補正の却下]第1項中「第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第1項第1号又は第3号」とあるのは「第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第1項第1号、第3号又は第4号」と、「補正が」とあるのは「補正(同項第1号又は第3号に掲げる場合にあつては、拒絶査定不服審判の請求前にしたものを除く。)が」と読み替えるものとする。

第50条[拒絶理由の通知]及び第50条の2[既に通知された拒絶理由と同1である旨の通知]の規定は、前条の規定による審査において審判の請求に係る査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。 この場合において、第50条[拒絶理由の通知]ただし書中「第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第1項第1号又は第3号に掲げる場合(同項第1号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)」とあるのは、「第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第1項第1号(拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限るものとし、拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)、第3号(拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)又は第4号に掲げる場合」と読み替えるものとする。

第51条[特許査定]及び第52条[査定の方式]の規定は、前条の規定による審査において審判の請求を理由があるとする場合に準用する。

第164条

審査官は、第162条の規定による審査において特許をすべき旨の査定をするときは、審判の請求に係る拒絶をすべき旨の査定を取り消さなければならない。

審査官は、前項に規定する場合を除き、前条第1項において準用する第53条[補正の却下]第1項の規定による却下の決定をしてはならない。

審査官は、第1項に規定する場合を除き、当該審判の請求について査定をすることなくその審査の結果を特許庁長官に報告しなければならない。

第164条の2 (特許無効審判における特則)

審判長は、特許無効審判の事件が審決をするのに熟した場合において、審判の請求に理由があると認めるときその他の経済産業省令で定めるときは、審決の予告を当事者及び参加人にしなければならない。

審判長は、前項の審決の予告をするときは、被請求人に対し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求するための相当の期間を指定しなければならない。

第157条[審決]第2項の規定は、第1項の審決の予告に準用する。

第165条 (訂正審判における特則)

審判長は、訂正審判の請求が第126条[訂正審判]第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は同条第5項から第7項までの規定に適合しないときは、請求人にその理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。

第166条
第167条 (審決の効力)

特許無効審判又は延長登録無効審判の審決が確定したときは、当事者及び参加人は、同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができない。

第167条の2 (審決の確定範囲)

審決は、審判事件ごとに確定する。 ただし、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に定めるところにより確定する。

第168条 (訴訟との関係)

審判において必要があると認めるときは、特許異議の申立てについての決定若しくは他の審判の審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止することができる。

訴えの提起又は仮差押命令若しくは仮処分命令の申立てがあつた場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、審決が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。

裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に関する訴えの提起があつたときは、その旨を特許庁長官に通知するものとする。 その訴訟手続が完結したときも、また同様とする。

特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、その特許権についての審判の請求の有無を裁判所に通知するものとする。 その審判の請求書の却下の決定、審決又は請求の取下げがあつたときも、また同様とする。

裁判所は、前項の規定によりその特許権についての審判の請求があつた旨の通知を受けた場合において、当該訴訟において第104条の3[特許権者等の権利行使の制限]第1項の規定による攻撃又は防御の方法を記載した書面がその通知前に既に提出され、又はその通知後に最初に提出されたときは、その旨を特許庁長官に通知するものとする。

特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、裁判所に対し、当該訴訟の訴訟記録のうちその審判において審判官が必要と認める書面の写しの送付を求めることができる。

第169条 (審判における費用の負担)

特許無効審判及び延長登録無効審判に関する費用の負担は、審判が審決により終了するときはその審決をもつて、審判が審決によらないで終了するときは審判による決定をもつて、職権で、定めなければならない。

民事訴訟法第61条から第66条[特許権の設定の登録]まで、第69条[特許権の効力が及ばない範囲]第1項及び第2項、第70条[特許発明の技術的範囲]並びに第71条第2項(訴訟費用の負担)の規定は、前項に規定する審判に関する費用に準用する。 この場合において、同法第71条第2項中「最高裁判所規則」とあるのは、「経済産業省令」と読み替えるものとする。

拒絶査定不服審判及び訂正審判に関する費用は、請求人の負担とする。

民事訴訟法第65条(共同訴訟の場合の負担)の規定は、前項の規定により請求人が負担する費用に準用する。

審判に関する費用の額は、請求により、審決又は決定が確定した後に特許庁長官が決定をする。

審判に関する費用の範囲、額及び納付並びに審判における手続上の行為をするために必要な給付については、その性質に反しない限り、民事訴訟費用等に関する法律中これらに関する規定(第2章第1節及び第3節に定める部分を除く。)の例による。

第170条 (費用の額の決定の執行力)

審判に関する費用の額についての確定した決定は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。

第7章 再審

第171条 (再審の請求)

確定した取消決定及び確定審決に対しては、当事者又は参加人は、再審を請求することができる。

民事訴訟法第338条第1項及び第2項並びに第339条(再審の事由)の規定は、前項の再審の請求に準用する。

第172条

審判の請求人及び被請求人が共謀して第3者の権利又は利益を害する目的をもつて審決をさせたときは、その第3者は、その確定審決に対し再審を請求することができる。

前項の再審は、その請求人及び被請求人を共同被請求人として請求しなければならない。

第173条 (再審の請求期間)

再審は、請求人が取消決定又は審決が確定した後再審の理由を知つた日から30日以内に請求しなければならない。

再審を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその請求をすることができる。

請求人が法律の規定に従つて代理されなかつたことを理由として再審を請求するときは、第1項に規定する期間は、請求人又はその法定代理人が送達により取消決定又は審決があつたことを知つた日の翌日から起算する。

取消決定又は審決が確定した日から3年を経過した後は、再審を請求することができない。

再審の理由が取消決定又は審決が確定した後に生じたときは、前項に規定する期間は、その理由が発生した日の翌日から起算する。

第1項及び第4項の規定は、当該審決が前にされた確定審決と抵触することを理由とする再審の請求には、適用しない。

第174条 (審判の規定等の準用)

民事訴訟法第348条第1項(審理の範囲)の規定は、再審に準用する。

第175条 (再審により回復した特許権の効力の制限)

取り消し、若しくは無効にした特許に係る特許権若しくは無効にした存続期間の延長登録に係る特許権が再審により回復した場合又は拒絶をすべき旨の審決があつた特許出願若しくは特許権の存続期間の延長登録の出願について再審により特許権の設定の登録若しくは特許権の存続期間を延長した旨の登録があつた場合において、その特許が物の発明についてされているときは、特許権の効力は、当該取消決定又は審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に輸入し、又は日本国内において生産し、若しくは取得した当該物には、及ばない。

取り消し、若しくは無効にした特許に係る特許権若しくは無効にした存続期間の延長登録に係る特許権が再審により回復したとき、又は拒絶をすべき旨の審決があつた特許出願若しくは特許権の存続期間の延長登録の出願について再審により特許権の設定の登録若しくは特許権の存続期間を延長した旨の登録があつたときは、特許権の効力は、当該取消決定又は審決が確定した後再審の請求の登録前における次に掲げる行為には、及ばない。
1. 当該発明の善意の実施
2. 特許が物の発明についてされている場合において、善意に、その物の生産に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
3. 特許が物の発明についてされている場合において、善意に、その物を譲渡等又は輸出のために所持した行為
4. 特許が方法の発明についてされている場合において、善意に、その方法の使用に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
5. 特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、善意に、その方法により生産した物を譲渡等又は輸出のために所持した行為

第176条

取り消し、若しくは無効にした特許に係る特許権若しくは無効にした存続期間の延長登録に係る特許権が再審により回復したとき、又は拒絶をすべき旨の審決があつた特許出願若しくは特許権の存続期間の延長登録の出願について再審により特許権の設定の登録若しくは特許権の存続期間を延長した旨の登録があつたときは、当該取消決定又は審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に日本国内において当該発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許権について通常実施権を有する。

第177条

削除

第8章 訴訟

第178条 (審決等に対する訴え)

取消決定又は審決に対する訴え及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書又は第120条の5[意見書の提出等]第2項若しくは第134条の2[特許無効審判における訂正の請求]第1項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。

前項の訴えは、当事者、参加人又は当該特許異議の申立てについての審理、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り、提起することができる。

第1項の訴えは、審決又は決定の謄本の送達があつた日から30日を経過した後は、提起することができない。

前項の期間は、不変期間とする。

審判長は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、職権で、前項の不変期間については附加期間を定めることができる

審判を請求することができる事項に関する訴えは、審決に対するものでなければ、提起することができない。

第179条 (被告適格)

前条第1項の訴えにおいては、特許庁長官を被告としなければならない。 ただし、特許無効審判若しくは延長登録無効審判又はこれらの審判の確定審決に対する第171条[再審の請求]第1項の再審の審決に対するものにあつては、その審判又は再審の請求人又は被請求人を被告としなければならない。

第180条 (出訴の通知等)

裁判所は、前条ただし書に規定する訴えの提起があつたときは、遅滞なく、その旨を特許庁長官に通知しなければならない。

裁判所は、前項の場合において、訴えが請求項ごとに請求された特許無効審判又はその審判の確定審決に対する再審の審決に対するものであるときは、当該訴えに係る請求項を特定するために必要な書類を特許庁長官に送付しなければならない。

第180条の2 (審決取消訴訟における特許庁長官の意見)

裁判所は、第179条[被告適格]ただし書に規定する訴えの提起があつたときは、特許庁長官に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、意見を求めることができる。

特許庁長官は、第179条[被告適格]ただし書に規定する訴えの提起があつたときは、裁判所の許可を得て、裁判所に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、意見を述べることができる。

特許庁長官は、特許庁の職員でその指定する者に前2項の意見を述べさせることができる。

第181条 (審決又は決定の取消し)

裁判所は、第178条[審決等に対する訴え]第1項の訴えの提起があつた場合において、当該請求を理由があると認めるときは、当該審決又は決定を取り消さなければならない。

審判官は、前項の規定による審決又は決定の取消しの判決が確定したときは、更に審理を行い、審決又は決定をしなければならない。 この場合において、審決又は決定の取消しの判決が、第120条の5[意見書の提出等]第2項又は第134条の2[特許無効審判における訂正の請求]第1項の訂正の請求がされた1群の請求項のうち1部の請求項について確定したときは、審判官は、審理を行うに際し、当該1群の請求項のうちその他の請求項についての審決又は決定を取り消さなければならない。

第182条 (裁判の正本等の送付)

裁判所は、第179条[被告適格]ただし書に規定する訴えについて次の各号に掲げる場合には、遅滞なく、それぞれ当該各号に定める書類を特許庁長官に送付しなければならない。

第182条の2 (合議体の構成)

第178条[審決等に対する訴え]第1項の訴えに係る事件については、5人の裁判官の合議体で審理及び裁判をする旨の決定をその合議体ですることができる。

第183条 (対価の額についての訴え)

第83条[不実施の場合の通常実施権の設定の裁定]第2項、第92条[自己の特許発明の実施をするための通常実施権の設定の裁定]第3項若しくは第4項又は第93条[公共の利益のための通常実施権の設定の裁定]第2項の裁定を受けた者は、その裁定で定める対価の額について不服があるときは、訴えを提起してその額の増減を求めることができる。

前項の訴えは、裁定の謄本の送達があつた日から6月を経過した後は、提起することができない。

第184条 (被告適格)

前条第1項の訴えにおいては、次に掲げる者を被告としなければならない。
1. 第83条[不実施の場合の通常実施権の設定の裁定]第2項、第92条[自己の特許発明の実施をするための通常実施権の設定の裁定]第4項又は第93条[公共の利益のための通常実施権の設定の裁定]第2項の裁定については、通常実施権者又は特許権者若しくは専用実施権者
2. 第92条[自己の特許発明の実施をするための通常実施権の設定の裁定]第3項の裁定については、通常実施権者又は第72条[他人の特許発明等との関係]の他人

第184条の2

削除

第9章 特許協力条約に基づく国際出願に係る特例

第184条の3 (国際出願による特許出願)

1970年6月19日にワシントンで作成された特許協力条約(以下この章において「条約」という。)第11条[代理権の不消滅](1)若しくは(2)(b)又は第14条[複数当事者の相互代表](2)の規定に基づく国際出願日が認められた国際出願であつて、条約第4条(1)(ii)の指定国に日本国を含むもの(特許出願に係るものに限る。)は、その国際出願日にされた特許出願とみなす。

前項の規定により特許出願とみなされた国際出願(以下「国際特許出願」という。)については、第43条[パリ条約による優先権主張の手続]第43条の2[パリ条約の例による優先権主張]第2項(第43条の3第3項において準用する場合を含む。)及び第43条の3第3項において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。

第184条の4 (外国語でされた国際特許出願の翻訳文)

外国語でされた国際特許出願(以下「外国語特許出願」という。)の出願人は、条約第2条(xi)の優先日(以下「優先日」という。)から2年6月(以下「国内書面提出期間」という。)以内に、前条第1項に規定する国際出願日(以下「国際出願日」という。)における条約第3条(2)に規定する明細書、請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。以下この条において同じ。)及び要約の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。 ただし、国内書面提出期間の満了前2月から満了の日までの間に次条第1項に規定する書面を提出した外国語特許出願(当該書面の提出の日以前に当該翻訳文を提出したものを除く。)にあつては、当該書面の提出の日から2月(以下「翻訳文提出特例期間」という。)以内に、当該翻訳文を提出することができる。

前項の場合において、外国語特許出願の出願人が条約第19条(1)の規定に基づく補正をしたときは、同項に規定する請求の範囲の翻訳文に代えて、当該補正後の請求の範囲の翻訳文を提出することができる。

国内書面提出期間(第1項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間。以下この条において同じ。)内に第1項に規定する明細書の翻訳文及び前2項に規定する請求の範囲の翻訳文(以下「明細書等翻訳文」という。)の提出がなかつたときは、その国際特許出願は、取り下げられたものとみなす。

前項の規定により取り下げられたものとみなされた国際特許出願の出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、明細書等翻訳文並びに第1項に規定する図面及び要約の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。 ただし、故意に、国内書面提出期間内に当該明細書等翻訳文を提出しなかつたと認められる場合は、この限りでない。

前項の規定により提出された翻訳文は、国内書面提出期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。

第1項に規定する請求の範囲の翻訳文を提出した出願人は、条約第19条(1)の規定に基づく補正をしたときは、国内書面提出期間が満了する時(国内書面提出期間内に出願人が出願審査の請求をするときは、その請求の時。以下「国内処理基準時」という。)の属する日までに限り、当該補正後の請求の範囲の日本語による翻訳文を更に提出することができる。

第184条の7[日本語特許出願に係る条約第19条に基づく補正]第3項本文の規定は、第2項又は前項に規定する翻訳文が提出されなかつた場合に準用する。

第184条の5 (書面の提出及び補正命令)

国際特許出願の出願人は、国内書面提出期間内に、次に掲げる事項を記載した書面を特許庁長官に提出しなければならない。
1. 出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 発明者の氏名及び住所又は居所
3. 国際出願番号その他の経済産業省令で定める事項

特許庁長官は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる。
1. 前項の規定により提出すべき書面を、国内書面提出期間内に提出しないとき。
2. 前項の規定による手続が第7条[未成年者、成年被後見人等の手続をする能力]第1項から第3項まで又は第9条[代理権の範囲]の規定に違反しているとき。
3. 前項の規定による手続が経済産業省令で定める方式に違反しているとき。
4. 前条第1項の規定により提出すべき要約の翻訳文を、国内書面提出期間(前条第1項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間)内に提出しないとき。
5. 第195条[手数料]第2項の規定により納付すべき手数料を国内書面提出期間内に納付しないとき。

特許庁長官は、前項の規定により手続の補正をすべきことを命じた者が同項の規定により指定した期間内にその補正をしないときは、当該国際特許出願を却下することができる。

第184条の6 (国際出願に係る願書、明細書等の効力等)

国際特許出願に係る国際出願日における願書は、第36条[特許出願]第1項の規定により提出した願書とみなす。

日本語でされた国際特許出願(以下「日本語特許出願」という。)に係る国際出願日における明細書及び外国語特許出願に係る国際出願日における明細書の翻訳文は第36条[特許出願]第2項の規定により願書に添付して提出した明細書と、日本語特許出願に係る国際出願日における請求の範囲及び外国語特許出願に係る国際出願日における請求の範囲の翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した特許請求の範囲と、日本語特許出願に係る国際出願日における図面並びに外国語特許出願に係る国際出願日における図面(図面の中の説明を除く。)及び図面の中の説明の翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した図面と、日本語特許出願に係る要約及び外国語特許出願に係る要約の翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。

第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第2項又は第6項の規定により条約第19条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合は、前項の規定にかかわらず、当該補正後の請求の範囲の翻訳文を第36条[特許出願]第2項の規定により願書に添付して提出した特許請求の範囲とみなす。

第184条の7 (日本語特許出願に係る条約第19条に基づく補正)

日本語特許出願の出願人は、条約第19条(1)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、同条(1)の規定に基づき提出された補正書の写しを特許庁長官に提出しなければならない。

前項の規定により補正書の写しが提出されたときは、その補正書の写しにより、願書に添付した特許請求の範囲について第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第1項の規定による補正がされたものとみなす。 ただし、条約第20条の規定に基づき前項に規定する期間内に補正書が特許庁に送達されたときは、その補正書により、補正がされたものとみなす。

第1項に規定する期間内に日本語特許出願の出願人により同項に規定する手続がされなかつたときは、条約第19条(1)の規定に基づく補正は、されなかつたものとみなす。 ただし、前項ただし書に規定するときは、この限りでない。

第184条の8 (条約第34条に基づく補正)

国際特許出願の出願人は、条約第34条(2)(b)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、日本語特許出願に係る補正にあつては同条(2)(b)の規定に基づき提出された補正書の写しを、外国語特許出願に係る補正にあつては当該補正書の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。

前項の規定により補正書の写し又は補正書の翻訳文が提出されたときは、その補正書の写し又は補正書の翻訳文により、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第1項の規定による補正がされたものとみなす。 ただし、日本語特許出願に係る補正につき条約第36条(3)(a)の規定に基づき前項に規定する期間内に補正書が特許庁に送達されたときは、その補正書により、補正がされたものとみなす。

第1項に規定する期間内に国際特許出願の出願人により同項に規定する手続がされなかつたときは、条約第34条(2)(b)の規定に基づく補正は、されなかつたものとみなす。 ただし、前項ただし書に規定するときは、この限りでない。

第2項の規定により外国語特許出願に係る願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第1項の規定による補正がされたものとみなされたときは、その補正は同条第2項の誤訳訂正書を提出してされたものとみなす。

第184条の9 (国内公表等)

特許庁長官は、第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項又は第4項の規定により翻訳文が提出された外国語特許出願について、特許掲載公報の発行をしたものを除き、国内書面提出期間(同条第1項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間。以下この項において同じ。)の経過後(国内書面提出期間内に出願人から出願審査の請求があつた国際特許出願であつて条約第21条に規定する国際公開(以下「国際公開」という。)がされているものについては出願審査の請求の後、第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第4項の規定により明細書等翻訳文が提出された外国語特許出願については当該明細書等翻訳文の提出の後)、遅滞なく、国内公表をしなければならない。

国内公表は、次に掲げる事項を特許公報に掲載することにより行う。
1. 出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
2. 特許出願の番号
3. 国際出願日
4. 発明者の氏名及び住所又は居所
5. 第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項に規定する明細書及び図面の中の説明の翻訳文に記載した事項、同項に規定する請求の範囲の翻訳文(同条第2項に規定する翻訳文が提出された場合にあつては、当該翻訳文)及び同条第6項に規定する翻訳文に記載した事項、図面(図面の中の説明を除く。)の内容並びに要約の翻訳文に記載した事項(特許公報に掲載することが公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると特許庁長官が認めるものを除く。)
6. 国内公表の番号及び年月日
7. 前各号に掲げるもののほか、必要な事項

第64条[出願公開]第3項の規定は、前項の規定により同項第5号の要約の翻訳文に記載した事項を特許公報に掲載する場合に準用する。

第64条[出願公開]の規定は、国際特許出願には、適用しない。

国際特許出願については、第48条の5第1項、第48条の6[優先審査]第66条[特許権の設定の登録]第3項ただし書、第128条第186条[証明等の請求]第1項第1号及び第4号並びに第193条[特許公報]第2項第1号、第2号、第7号及び第10号中「出願公開」とあるのは、日本語特許出願にあつては「第184条の9[国内公表等]第1項の国際公開」と、外国語特許出願にあつては「第184条の9[国内公表等]第1項の国内公表」とする。

外国語特許出願に係る証明等の請求については、第186条[証明等の請求]第1項第1号中「又は第67条の5第2項の資料」とあるのは「又は1970年6月19日にワシントンで作成された特許協力条約第3条(2)に規定する国際出願の願書、明細書、請求の範囲、図面若しくは要約(特許権の設定の登録がされた国際特許出願に係るもの又は国際公開がされたものを除く。)」とする。

国際特許出願に関し特許公報に掲載すべき事項については、第193条[特許公報]第2項第3号中「出願公開後における」とあるのは、「国際公開がされた国際特許出願に係る」とする。

第184条の10 (国際公開及び国内公表の効果等)

国際特許出願の出願人は、日本語特許出願については国際公開があつた後に、外国語特許出願については国内公表があつた後に、国際特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対し、その発明が特許発明である場合にその実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。 当該警告をしない場合においても、日本語特許出願については国際公開がされた国際特許出願に係る発明であることを知つて特許権の設定の登録前に、外国語特許出願については国内公表がされた国際特許出願に係る発明であることを知つて特許権の設定の登録前に、業としてその発明を実施した者に対しては、同様とする。

第65条[出願公開の効果等]第2項から第6項までの規定は、前項の規定により請求権を行使する場合に準用する。

第184条の11 (在外者の特許管理人の特例)

在外者である国際特許出願の出願人は、国内処理基準時までは、第8条[在外者の特許管理人]第1項の規定にかかわらず、特許管理人によらないで手続をすることができる。

前項に規定する者は、国内処理基準時の属する日後経済産業省令で定める期間内に、特許管理人を選任して特許庁長官に届け出なければならない。

特許庁長官は、前項に規定する期間内に特許管理人の選任の届出がなかつたときは、第1項に規定する者に対し、その旨を通知しなければならない。

前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、特許管理人を選任して特許庁長官に届け出ることができる。

前項に規定する期間内に特許管理人の選任の届出がなかつたときは、その国際特許出願は、取り下げたものとみなす。

前項の規定により取り下げたものとみなされた国際特許出願の出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、特許管理人を選任して特許庁長官に届け出ることができる。 ただし、故意に、第4項に規定する期間内に特許管理人の選任の届出をしなかつたと認められる場合は、この限りでない。

第4項又は前項の規定によりされた届出は、第2項に規定する期間が満了する時にされた届出とみなす。

第1項に規定する者が、特許管理人により第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第4項の規定による手続をしたときは、第2項から前項までの規定は、適用しない。

第184条の12 (補正の特例)

日本語特許出願については第184条の5[書面の提出及び補正命令]第1項の規定による手続をし、かつ、第195条[手数料]第2項の規定により納付すべき手数料を納付した後、外国語特許出願については第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項又は第4項及び第184条の5[書面の提出及び補正命令]第1項の規定による手続をし、かつ、第195条[手数料]第2項の規定により納付すべき手数料を納付した後であつて国内処理基準時を経過した後でなければ、第17条[手続の補正]第1項本文の規定にかかわらず、手続の補正第184条の7[日本語特許出願に係る条約第19条に基づく補正]第2項及び第184条の8[条約第34条に基づく補正]第2項に規定する補正を除く。)をすることができない。

外国語特許出願が拡大された先願の地位を有数には国際公開が必要。適用範囲は国際出願の明細書の範囲

外国語特許出願に係る明細書、特許請求の範囲又は図面について補正ができる範囲については、第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第2項中「第36条の2第2項の外国語書面出願」とあるのは「第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項の外国語特許出願」と、同条第3項中「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面第36条の2第2項の外国語書面出願にあつては、同条第8項の規定により明細書、特許請求の範囲及び図面とみなされた同条第2項に規定する外国語書面の翻訳文(誤訳訂正書を提出して明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をした場合にあつては、翻訳文又は当該補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)。第34条の2[仮専用実施権]第1項及び第34条の3[仮通常実施権]第1項において同じ。)」とあるのは「第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項の国際出願日(以下この項において「国際出願日」という。)における第184条の3[国際出願による特許出願]第2項の国際特許出願(以下この項において「国際特許出願」という。)の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の同項の翻訳文(同条第2項又は第6項の規定により1970年6月19日にワシントンで作成された特許協力条約第19条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合にあつては、当該翻訳文)又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下この項において「翻訳文等」という。)(誤訳訂正書を提出して明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をした場合にあつては、翻訳文等又は当該補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)」とする。

第184-12-2条 (特許原簿への登録の特例)

日本語特許出願については第184条の5[書面の提出及び補正命令]第1項の規定による手続をし、かつ、第195条[手数料]第2項の規定により納付すべき手数料を納付した後、外国語特許出願については第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項又は第4項及び第184条の5[書面の提出及び補正命令]第1項の規定による手続をし、かつ、第195条[手数料]第2項の規定により納付すべき手数料を納付した後であつて国内処理基準時を経過した後でなければ、第27条[特許原簿への登録]第1項第4号の規定にかかわらず、仮専用実施権の登録を受けることができない。

第184条の13 (特許要件の特例)

第29条の2に規定する他の特許出願又は実用新案登録出願が国際特許出願又は実用新案法第48条の3第2項の国際実用新案登録出願である場合における第29条の2の規定の適用については、同条中「他の特許出願又は実用新案登録出願であつて」とあるのは「他の特許出願又は実用新案登録出願第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第3項又は実用新案法第48条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされた第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項の外国語特許出願又は同法第48条の4第1項の外国語実用新案登録出願を除く。)であつて」と、「出願公開又は」とあるのは「出願公開、」と、「発行が」とあるのは「発行又は1970年6月19日にワシントンで作成された特許協力条約第21条に規定する国際公開が」と、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは「第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項又は実用新案法第48条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」とする。

第184条の14 (発明の新規性の喪失の例外の特例)

第30条[発明の新規性の喪失の例外]第2項の規定の適用を受けようとする国際特許出願の出願人は、その旨を記載した書面及び第29条[特許の要件]第1項各号のいずれかに該当するに至つた発明が第30条[発明の新規性の喪失の例外]第2項の規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を、同条第3項の規定にかかわらず、国内処理基準時の属する日後経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出することができる。

第184条の15 (特許出願等に基づく優先権主張の特例)

国際特許出願については、第41条[特許出願等に基づく優先権主張]第1項ただし書及び第4項並びに第42条[先の出願の取下げ等]第2項の規定は、適用しない。

仮専用実施権者の承認は不要

日本語特許出願についての第41条[特許出願等に基づく優先権主張]第3項の規定の適用については、同項中「又は出願公開」とあるのは、「又は1970年6月19日にワシントンで作成された特許協力条約第21条に規定する国際公開」とする。

外国語特許出願についての第41条[特許出願等に基づく優先権主張]第3項の規定の適用については、同項中「特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」とあるのは「第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」と、「又は出願公開」とあるのは「又は1970年6月19日にワシントンで作成された特許協力条約第21条に規定する国際公開」とする。

第41条[特許出願等に基づく優先権主張]第1項の先の出願が国際特許出願又は実用新案法第48条の3第2項の国際実用新案登録出願である場合における第41条[特許出願等に基づく優先権主張]第1項から第3項まで及び第42条[先の出願の取下げ等]第1項の規定の適用については、第41条[特許出願等に基づく優先権主張]第1項及び第2項中「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは「第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項又は実用新案法第48条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」と、同項中「同項」とあるのは「前項」と、同条第3項中「先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは「先の出願の第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項又は実用新案法第48条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」と、「同項」とあるのは「第1項」と、「について出願公開」とあるのは「について1970年6月19日にワシントンで作成された特許協力条約第21条に規定する国際公開」と、第42条[先の出願の取下げ等]第1項中「その出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した時」とあるのは「第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第6項若しくは実用新案法第48条の4第6項の国内処理基準時又は第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項若しくは同法第48条の4第1項の国際出願日から経済産業省令で定める期間を経過した時のいずれか遅い時」とする。

第184条の16 (出願の変更の特例)

実用新案法第48条の3第1項又は第48条の16第4項の規定により実用新案登録出願とみなされた国際出願の特許出願への変更については、同法第48条の5第4項の日本語実用新案登録出願にあつては同条第1項、同法第48条の4第1項の外国語実用新案登録出願にあつては同項又は同条第4項及び同法第48条の5第1項の規定による手続をし、かつ、同法第54条第2項の規定により納付すべき手数料を納付した後(同法第48条の16第4項の規定により実用新案登録出願とみなされた国際出願については、同項に規定する決定の後)でなければすることができない。

第184条の17 (出願審査の請求の時期の制限)

国際特許出願の出願人は、日本語特許出願にあつては第184条の5[書面の提出及び補正命令]第1項、外国語特許出願にあつては第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項又は第4項及び第184条の5[書面の提出及び補正命令]第1項の規定による手続をし、かつ、第195条[手数料]第2項の規定により納付すべき手数料を納付した後、国際特許出願の出願人以外の者は、国内書面提出期間第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間)の経過後でなければ、国際特許出願についての出願審査の請求をすることができない。

第184条の18 (拒絶理由等の特例)

外国語特許出願に係る拒絶の査定、特許異議の申立て及び特許無効審判については、第49条[拒絶の査定]第6号、第113条[特許異議の申立て]第1号及び第5号並びに第123条[特許無効審判]第1項第1号及び第5号中「外国語書面出願」とあるのは「第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項の外国語特許出願」と、第49条[拒絶の査定]第6号、第113条[特許異議の申立て]第5号及び第123条[特許無効審判]第1項第5号中「外国語書面に」とあるのは「第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に」とする。

第184条の19 (訂正の特例)

外国語特許出願に係る第120条の5[意見書の提出等]第2項及び第134条の2[特許無効審判における訂正の請求]第1項の規定による訂正及び訂正審判の請求については、第126条[訂正審判]第5項中「外国語書面出願」とあるのは「第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項の外国語特許出願」と、「外国語書面)」とあるのは「第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面)」とする。

第184条の20 (決定により特許出願とみなされる国際出願)

条約第2条(vii)の国際出願の出願人は、条約第4条(1)(ii)の指定国に日本国を含む国際出願(特許出願に係るものに限る。)につき条約第2条(xv)の受理官庁により条約第25条(1)(a)に規定する拒否若しくは同条(1)(a)若しくは(b)に規定する宣言がされ、又は条約第2条(xix)の国際事務局により条約第25条(1)(a)に規定する認定がされたときは、経済産業省令で定める期間内に、経済産業省令で定めるところにより、特許庁長官に同条(2)(a)に規定する決定をすべき旨の申出をすることができる。

外国語でされた国際出願につき前項の申出をする者は、申出に際し、明細書、請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。)、要約その他の経済産業省令で定める国際出願に関する書類の日本語による翻訳文を特許庁長官に提出しなければならない。

特許庁長官は、第1項の申出があつたときは、その申出に係る拒否、宣言又は認定が条約及び特許協力条約に基づく規則の規定に照らして正当であるか否かの決定をしなければならない。

前項の規定により特許庁長官が同項の拒否、宣言又は認定が条約及び特許協力条約に基づく規則の規定に照らして正当でない旨の決定をしたときは、その決定に係る国際出願は、その国際出願につきその拒否、宣言又は認定がなかつたものとした場合において国際出願日となつたものと認められる日にされた特許出願とみなす。

前項の規定により特許出願とみなされた国際出願についての出願公開については、第64条[出願公開]第1項中「特許出願の日」とあるのは「第184条の4[外国語でされた国際特許出願の翻訳文]第1項の優先日」と、同条第2項第6号中「外国語書面出願」とあるのは「外国語でされた国際出願」と、「外国語書面及び外国語要約書面」とあるのは「第184条の20[決定により特許出願とみなされる国際出願]第4項に規定する国際出願日となつたものと認められる日における国際出願の明細書、請求の範囲、図面及び要約」とする。

第184条の3[国際出願による特許出願]第2項、第184条の6[国際出願に係る願書、明細書等の効力等]第1項及び第2項、第184条の9[国内公表等]第6項、第184条の12[補正の特例]から第184条の14[発明の新規性の喪失の例外の特例]まで、第184条の15[特許出願等に基づく優先権主張の特例]第1項、第3項及び第4項並びに第184条の17[出願審査の請求の時期の制限]から前条までの規定は、第4項の規定により特許出願とみなされた国際出願に準用する。 この場合において、これらの規定の準用に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

第10章 雑則

第185条 (2以上の請求項に係る特許又は特許権についての特則)

2以上の請求項に係る特許又は特許権についての第27条[特許原簿への登録]第1項第1号、第65条[出願公開の効果等]第5項第184条の10[国際公開及び国内公表の効果等]第2項において準用する場合を含む。)第80条[無効審判の請求登録前の実施による通常実施権]第1項、第97条[特許権等の放棄]第1項、第98条[登録の効果]第1項第1号、第111条[既納の特許料の返還]第1項第2号、第114条[決定]第3項第174条[審判の規定等の準用]第1項において準用する場合を含む。)第123条[特許無効審判]第3項、第125条第126条[訂正審判]第8項第134条の2[特許無効審判における訂正の請求]第9項において準用する場合を含む。)第128条第120条の5[意見書の提出等]第9項及び第134条の2[特許無効審判における訂正の請求]第9項において準用する場合を含む。)第132条[共同審判]第1項第174条[審判の規定等の準用]第3項において準用する場合を含む。)第175条[再審により回復した特許権の効力の制限]第176条若しくは第193条[特許公報]第2項第5号又は実用新案法第20条第1項の規定の適用については、請求項ごとに特許がされ、又は特許権があるものとみなす。

第186条 (証明等の請求)

何人も、特許庁長官に対し、特許に関し、証明、書類の謄本若しくは抄本の交付、書類の閲覧若しくは謄写又は特許原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている事項を記載した書類の交付を請求することができる。 ただし、次に掲げる書類については、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるときは、この限りでない。
1. 願書、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、図面若しくは要約書若しくは外国語書面若しくは外国語要約書面若しくは特許出願の審査に係る書類(特許権の設定の登録又は出願公開がされたものを除く。)又は第67条の5第2項の資料
2. 判定に係る書類であつて、当事者から当該当事者の保有する営業秘密が記載された旨の申出があつたもの
3. 裁定に係る書類であつて、当事者、当事者以外の者であつてその特許に関し登録した権利を有するもの又は第84条の2[通常実施権者の意見の陳述]の規定により意見を述べた通常実施権者からこれらの者の保有する営業秘密が記載された旨の申出があつたもの
4. 拒絶査定不服審判に係る書類(当該事件に係る特許出願について特許権の設定の登録又は出願公開がされたものを除く。)
5. 特許無効審判若しくは延長登録無効審判又はこれらの審判の確定審決に対する再審に係る書類であつて、当事者又は参加人から当該当事者又は参加人の保有する営業秘密が記載された旨の申出があつたもの
6. 個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがあるもの
7. 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるもの

特許庁長官は、前項第1号から第6号までに掲げる書類について、同項本文の請求を認めるときは、当該書類を提出した者に対し、その旨及びその理由を通知しなければならない。

特許に関する書類及び特許原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)の規定は、適用しない。

特許に関する書類及び特許原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている保有個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第60条第1項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第5章第4節の規定は、適用しない。

第187条 (特許表示)

特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、経済産業省令で定めるところにより、物の特許発明におけるその物若しくは物を生産する方法の特許発明におけるその方法により生産した物(以下「特許に係る物」という。)又はその物の包装にその物又は方法の発明が特許に係る旨の表示(以下「特許表示」という。)を附するように努めなければならない。

第188条 (虚偽表示の禁止)

何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
1. 特許に係る物以外の物又はその物の包装に特許表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為
2. 特許に係る物以外の物であつて、その物又はその物の包装に特許表示又はこれと紛らわしい表示を付したものの譲渡等又は譲渡等のための展示をする行為
3. 特許に係る物以外の物の生産若しくは使用をさせるため、又は譲渡等をするため、広告にその物の発明が特許に係る旨を表示し、又はこれと紛らわしい表示をする行為
4. 方法の特許発明におけるその方法以外の方法を使用させるため、又は譲渡し若しくは貸し渡すため、広告にその方法の発明が特許に係る旨を表示し、又はこれと紛らわしい表示をする行為

第189条 (送達)

送達する書類は、この法律に規定するもののほか、経済産業省令で定める。

第190条

民事訴訟法第98条第2項、第99条[通常実施権の対抗力]から第103条[過失の推定]まで、第105条[書類の提出等]第106条[信用回復の措置]第107条[特許料]第1項(第2号及び第3号を除く。)及び第3項並びに第109条[特許料の減免又は猶予](送達)の規定は、この法律又は前条の経済産業省令で定める書類の送達に準用する。 この場合において、同法第98条第2項及び第100条[差止請求権]中「裁判所書記官」とあるのは「特許庁長官の指定する職員又は審判書記官」と、同法第99条第1項中「郵便又は執行官」とあるのは「郵便」と、同法第107条第1項中「場合には、裁判所書記官」とあるのは「場合及び審査に関する書類を送達すべき場合には、特許庁長官の指定する職員又は審判書記官」と、「最高裁判所規則」とあるのは「経済産業省令」と読み替えるものとする。

第191条

特許庁長官の指定する職員又は審判書記官は、次に掲げる場合には、公示送達をすることができる。
1. 送達を受けるべき者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合
2. 前条において準用する民事訴訟法第107条第1項(第2号及び第3号を除く。)の規定により送達をすることができない場合
3. 次条第2項の規定により書類を発送することが困難な状況が6月間継続した場合

公示送達は、送達する書類を送達を受けるべき者に何時でも交付すべき旨を官報及び特許公報に掲載するとともに、その旨を特許庁の掲示場に掲示し、又は特許庁の事務所に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をすることができる状態に置くことにより行う。

公示送達は、官報に掲載した日から20日を経過することにより、その効力を生ずる。

第192条

在外者に特許管理人があるときは、その特許管理人に送達しなければならない。

在外者に特許管理人がないときは、書類を航空扱いとした書留郵便等(書留郵便又は信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして経済産業省令で定めるものをいう。次項において同じ。)に付して発送することができる。

前項の規定により書類を書留郵便等に付して発送したときは、発送の時に送達があつたものとみなす。

第193条 (特許公報)

特許庁は、特許公報を発行する。

特許公報には、この法律に規定するもののほか、次に掲げる事項を掲載しなければならない。
1. 出願公開後における拒絶をすべき旨の査定若しくは特許出願の放棄、取下げ若しくは却下又は特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ
2. 出願公開後における特許を受ける権利の承継
3. 出願公開後における第17条の2[願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正]第1項の規定による願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正(同項ただし書各号の規定によりしたものにあつては、誤訳訂正書の提出によるものに限る。)
4. 第48条の3[出願審査の請求]第5項(同条第7項において準用する場合を含む。)の規定による出願審査の請求
5. 特許権の消滅(存続期間の満了によるもの及び第112条[特許料の追納]第4項又は第5項の規定によるものを除く。)又は回復第112条の2[特許料の追納による特許権の回復]第2項の規定によるものに限る。)
6. 特許異議の申立て若しくは審判若しくは再審の請求又はこれらの取下げ
7. 特許異議の申立てについての確定した決定、審判の確定審決又は再審の確定した決定若しくは確定審決(特許権の設定の登録又は出願公開がされたものに限る。)
8. 訂正した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容(訂正をすべき旨の確定した決定又は確定審決があつたものに限る。)
9. 裁定の請求若しくはその取下げ又は裁定
10. 第178条[審決等に対する訴え]第1項の訴えについての確定判決(特許権の設定の登録又は出願公開がされたものに限る。)

第194条 (書類の提出等)

特許庁長官又は審査官は、当事者に対し、特許異議の申立て、審判又は再審に関する手続以外の手続を処理するため必要な書類その他の物件の提出を求めることができる。

特許庁長官又は審査官は、関係行政機関又は学校その他の団体に対して審査に必要な調査を依頼することができる。

第195条 (手数料)

次に掲げる者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。
1. 第4条[期間の延長等]第5条第1項若しくは第108条[特許料の納付期限]第3項の規定による期間の延長又は第5条第2項の規定による期日の変更を請求する者
2. 特許証の再交付を請求する者
3. 第34条第4項の規定により承継の届出をする者
4. 第186条[証明等の請求]第1項の規定により証明を請求する者
5. 第186条[証明等の請求]第1項の規定により書類の謄本又は抄本の交付を請求する者
6. 第186条[証明等の請求]第1項の規定により書類の閲覧又は謄写を請求する者
7. 第186条[証明等の請求]第1項の規定により特許原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている事項を記載した書類の交付を請求する者

別表の中欄に掲げる者は、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内において政令で定める額の手数料を納付しなければならない。

特許出願人でない者が出願審査の請求をした後において、当該特許出願の願書に添付した特許請求の範囲についてした補正により請求項の数が増加したときは、その増加した請求項について前項の規定により納付すべき出願審査の請求の手数料は、同項の規定にかかわらず、特許出願人が納付しなければならない。

納付しなかった場合は、当該特許出願を却下できる。補正の却下ではない点に注意

前3項の規定は、これらの規定により手数料を納付すべき者が国であるときは、適用しない。

特許権又は特許を受ける権利が国と国以外の者との共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、国と国以外の者が自己の特許権又は特許を受ける権利について第1項又は第2項の規定により納付すべき手数料(出願審査の請求の手数料以外の政令で定める手数料に限る。)は、これらの規定にかかわらず、これらの規定に規定する手数料の金額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。

特許を受ける権利が国又は次条若しくは第195条の2[出願審査の請求の手数料の減免]の2の規定若しくは他の法令の規定による出願審査の請求の手数料の軽減若しくは免除(以下この項において「減免」という。)を受ける者を含む者の共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、これらの者が自己の特許を受ける権利について第2項の規定により納付すべき出願審査の請求の手数料は、同項の規定にかかわらず、国以外の各共有者ごとに同項に規定する出願審査の請求の手数料の金額(減免を受ける者にあつては、その減免後の金額)にその持分の割合を乗じて得た額を合算して得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。

前2項の規定により算定した手数料の金額に10円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。

第1項から第3項までの手数料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。 ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。

出願審査の請求をした後において、次に掲げる命令、通知又は査定の謄本の送達のいずれかがあるまでの間にその特許出願が放棄され、又は取り下げられたときは、第2項の規定により納付すべき出願審査の請求の手数料を納付した者の請求により政令で定める額を返還する。
1. 第39条[先願]第6項の規定による命令
2. 第48条の7[文献公知発明に係る情報の記載についての通知]の規定による通知
3. 第50条[拒絶理由の通知]の規定による通知
4. 第52条[査定の方式]第2項の規定による査定の謄本の送達

前項の規定による手数料の返還は、特許出願が放棄され、又は取り下げられた日から6月を経過した後は、請求することができない。

過誤納の手数料は、納付した者の請求により返還する。

前項の規定による手数料の返還は、納付した日から1年を経過した後は、請求することができない。

第9項又は第11項の規定による手数料の返還を請求する者がその責めに帰することができない理由により、第10項又は前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、これらの規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でこれらの規定に規定する期間の経過後6月以内にその請求をすることができる。

第195条の2 (出願審査の請求の手数料の減免)

特許庁長官は、自己の特許出願について出願審査の請求をする者であつて資力を考慮して政令で定める要件に該当する者が、出願審査の請求の手数料を納付することが困難であると認めるときは、政令で定めるところにより、前条第2項の規定により納付すべき出願審査の請求の手数料を軽減し、又は免除することができる。 ただし、当該者のうち経済的困難その他の事由により出願審査の請求の手数料を納付することが特に困難であると認められる者として政令で定める者以外の者に対しては、政令で定める件数を限度とする。

第195-2-2条

特許庁長官は、自己の特許出願について出願審査の請求をする者であつて、第109条の2第1項の政令で定める者に対しては、政令で定めるところにより、第195条[手数料]第2項の規定により納付すべき出願審査の請求の手数料を軽減し、又は免除することができる。 ただし、当該者のうち第109条の2第3項に規定する試験研究機関等その他の研究開発及び技術開発を行う能力又は産業の発達に対する寄与の程度が特に高いと認められる者として政令で定める者以外の者に対しては、政令で定める件数を限度とする。

第195条の3 (行政手続法の適用除外)

この法律又はこの法律に基づく命令の規定による処分については、行政手続法(平成5年法律第88号)第2章及び第3章の規定は、適用しない。

第195条の4 (行政不服審査法の規定による審査請求の制限)

査定、取消決定若しくは審決及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書若しくは第120条の5[意見書の提出等]第2項若しくは第134条の2[特許無効審判における訂正の請求]第1項の訂正の請求書の却下の決定並びにこの法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分又はこれらの不作為については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができない。

第11章 罰則

第196条 (侵害の罪)

特許権又は専用実施権を侵害した者第101条[侵害とみなす行為]の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第196条の2

第101条[侵害とみなす行為]の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第197条 (詐欺の行為の罪)

詐欺の行為により特許、特許権の存続期間の延長登録、特許異議の申立てについての決定又は審決を受けた者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。

第198条 (虚偽表示の罪)

第188条[虚偽表示の禁止]の規定に違反した者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。

第199条 (偽証等の罪)

この法律の規定により宣誓した証人、鑑定人又は通訳人が特許庁又はその嘱託を受けた裁判所に対し虚偽の陳述、鑑定又は通訳をしたときは、3月以上10年以下の懲役に処する。

前項の罪を犯した者が事件の判定の謄本が送達され、又は特許異議の申立てについての決定若しくは審決が確定する前に自白したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。

第200条 (秘密を漏らした罪)

特許庁の職員又はその職にあつた者がその職務に関して知得した特許出願中の発明に関する秘密を漏らし、又は盗用したときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

第200条の2

査証人又は査証人であつた者が査証に関して知得した秘密を漏らし、又は盗用したときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

第200条の3 (秘密保持命令違反の罪)

秘密保持命令に違反した者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

第1項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。

第201条 (両罰規定)

法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号で定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。

前項の場合において、当該行為者に対してした前条第2項の告訴は、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴は、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。

第1項の規定により第196条[侵害の罪]第196条の2又は前条第1項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による。

第202条 (過料)

第151条第71条第3項、第120条[証拠調べ及び証拠保全]第174条[審判の規定等の準用]第1項において準用する場合を含む。)及び第174条[審判の規定等の準用]第2項から第4項までにおいて準用する場合を含む。)において準用する民事訴訟法第207条第1項の規定により宣誓した者が特許庁又はその嘱託を受けた裁判所に対し虚偽の陳述をしたときは、10万円以下の過料に処する。

第203条

この法律の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から呼出しを受けた者が、正当な理由がないのに出頭せず、又は宣誓、陳述、証言、鑑定若しくは通訳を拒んだときは、10万円以下の過料に処する。

第204条

証拠調又は証拠保全に関し、この法律の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から書類その他の物件の提出又は提示を命じられた者が正当な理由がないのにその命令に従わなかつたときは、10万円以下の過料に処する。